速報4/5(20000406-20.32.17)
From: SHINOHARA
《《 地質調査所 有珠火山噴火対応状況速報 -2000.04.05 》》
■本日の有珠火山活動状況情報
◎地殻変動が活発化
西山北西部の断層群は東西方向に伸び、断層の北側が最大10m隆起。
道央道虻田IC近くのGPS観測点は4月2日から3日にかけて南西に約10cm移動。
◎噴火活動は断続的に継続中
金比羅山西側山麓の火口群(4/1に形成)からは小規模な火山泥流が発生。さらに、
金比羅山の北東斜面に小規模な白煙が上がる(新たな噴火口か?)。
◎地下水位が上昇
伊達市長和中学校校庭にある北海道通産局の観測井の水位は,28日昼から急上昇し、
30日昼頃には溢れ出した。北海道支所からの情報によると,同様な現象は有珠山周辺
各所で起きている。
■地質調査所の調査
◆現地調査
◎道央道虻田IC東近くの断層群の調査
虻田IC東の断層群は、昨日の調査の結果、現在も活動していることが判明。現在、自
動光波測距装置による連続観測の可能性を検討中。
◎洞爺湖東湖畔における地殻変動観測
洞爺湖温泉西部の地殻変動状況を観測するために、セオドライト(測量機器)による
観測を実施。
◎現地に職員2名をさらに派遣
地下水水位測定、地殻変動(傾斜計)、地震活動、地表表面温度観測の準備を進める。
◆分析・解析
◎火山噴出物分析
火山灰中の火山ガラス及び含有鉱物の形態の観察、微小領域の成分分析を実施中。軽
石は化学分析実施中。微量成分分析の可能性を検討中。
【参考】噴出物の形態・組成等を調べ、過去の噴出物などとの比較を行うことによ
り、活動に関与したマグマの特徴などを把握することが可能となる。
◎降灰分布調査結果
3月31日から4月2日の噴火の降灰分布の現地調査結果を火山噴火予知連絡会に送
付した。
◎衛星画像解析
地球資源衛星「Terra」に搭載された資源探査用将来型センサ(ASTER)により、有珠
火山周辺の4月3日時点の降灰分布が明瞭にわかる。この画像と現地調査結果を元に
降灰分布の時間変化の解析を検討している。
【参考】「資源探査用将来型センサ」は通商産業省により資源探査用に開発された光
学センサで、米国航空宇宙局によって打ち上げられた地球資源衛星「Terra」に搭載
されている。
◎地下水調査
伊達市長和中学校にある北海道通産局産業立地課の観測井の水位変動データを火山噴
火予知連に送付した。
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