有珠山2000年4月3日噴火推移(速報)

有珠山2000年4月3日噴火推移(速報)


by 地質グループ(道立地質研究所,地質調査所,北海道大学理学部
             地球惑星科学教室,北海道教育大)

観察者:遠藤 祐司,野呂田 晋(北海道立地質研究所)
加筆 :広瀬 亘(ビデオ画像に基づく)



有珠山では4/3現在,有珠山西方の国道230号線の洞爺湖温泉・虻田町の間の峠付
近と,洞爺湖温泉から南西へ約1kmの金毘羅山西山腹で,噴煙高が最大で800m前
後に達する噴火を繰り返しているが,観測中は2日以前に比べ,比較的静穏な状
況が続いた.

ここでは,4月3日9時48分から有珠山の北約9kmに位置するサイロ展望台から観察
した噴火の推移を速報として報告する.

なお,文中の”金毘羅0403火口”は暫定的な呼称であり,今後の詳細な検討によ
り変更される可能性が有る.

4月3日 噴火経緯

 9時48分 金毘羅山K2火口(以下,K2火口)から,黒色・白色噴煙上がる.
10時03分 録画スタート.金毘羅山火口から間欠的に白色の噴煙が上がる.
          噴煙高は最大で500m.西山西麓の火口群(以下,西火口群)から
          は高さ数十mの白い噴煙が定常的に上がっている.
10時15分 K2火口から黒色の噴煙(高さ100m前後)を伴って,白色の噴煙
          (高さ800m)がゆっくりと上がる.31-34分,45-47分にも同様の
     噴煙が立ち上がる.
11時02分 K2火口から,高さ300mのコックステイルジェットが立ち上がり,
     次いで,高さ1000m近い黒色(上部は白色)噴煙が立ち上がる.
     03分まで継続し,停止する.
11時40分 K2火口からわずかな黒色の噴煙(高さ100m前後)を伴って,白
     色の噴煙が上昇する.高さは500m程度.49分まで継続し停止.
12時12分 K2火口とK2火口より尾根ひとつ隔てて南側の沢の火口(標高はK2
     火口とほぼ同じ,以下,”金毘羅0403火口”)からほぼ同時に,
     高さ数十〜100mのコックステイルを伴う白色の噴煙が上がる.
12時29分 K2火口より200m前後山頂側で白色の噴煙が上昇し始める.30分に
     は”金毘羅0403火口”から激しいコックステイルジェットを伴う
     白色噴煙が高さ800mに達する.
12時35分 K2火口から高さ300mのコックステイルジェットを伴う白色噴煙が
     勢いよく立ち上がる.K2火口内の小火口(わずかに北寄り)からも,
     小規模なコックステイル上昇.41分まで継続したのち白色噴煙のみ
     となり,44分に停止.この後,K2火口と”金毘羅0403火口”からは,
     断続的に同様の噴火を繰り返す.
13時13分 ”金毘羅0403火口”から,はじめに勢いの良いコックステイルジェ
     ットを伴う,白色噴煙が勢いよく噴出する.14時25分まで継続した
     後は,数分〜10分程度続いて数分の休止期をはさむ,というサイク
     ルをくりかえす.
15時20分 ”金毘羅0403火口”から,下部に黒色の噴煙を伴う白煙が,高さ100
     mまでは勢いよく,100〜400mまでゆっくりと上昇する.
15時34分 ”金毘羅0403火口”付近の数箇所から,白色の噴煙が断続的に上昇
          する.
16時18分 ”金毘羅0403火口”と西火口群の噴気,極めて弱まる.
16時54分 ”金毘羅0403火口”から,黒色の噴煙を伴った白色の噴煙がゆっく
     りと立ち上がる(高さ500m).
17時04分 観測終了.サイロ展望台を撤収.