有珠山2000年4月1日噴火推移

有珠山2000年4月1日噴火推移


by 地質グループ(道立地質研究所,地質調査所,北海道大学理学部地球惑星科学
    教室,北海道教育大)


(観察者;広瀬,田近,和田,櫻井)


有珠山では,4月1日昼に,洞爺湖温泉から1kmの位置に新たな火口が形成され,
31日および1日早朝に形成された有珠山西側の火口とともに活発な噴火活動が継
続している.

ここでは,噴火開始約20分後から有珠山の北約10kmの洞爺病院および北約9kmの
サイロ展望台から観察した噴火の推移を速報として報告する.ビデオ時刻は前日
午前にラジオの時報にて時刻合わせ済み.誤差は±5秒以内.それ以外の時刻は
広瀬の腕時計による.ラジオ時報より20秒遅れている.


1日

11時 30分すぎ(正確な開始時刻不明)
     噴火開始.噴火位置は金毘羅山の西山腹.噴火は自動車で移動中に
     開始されていたため,観測は噴火開始の約20分後に開始した.
11時50分 白い噴煙が100〜500m前後上昇している.
12時10分 白い噴煙が高度1000mに達する.
12時15分 31日火口付近から,白い噴煙が上昇する.
12時18分 31日火口からの噴煙は停止する.

サイロ展望台へ移動

12時30分 31日火口から白い噴煙が上昇開始する.
12時45分 31日火口から黒い噴煙が勢い良く上昇する.噴煙上部は白く,噴煙
     高度1500m.勢い良くコックステイルジェットが活動する.金毘羅山
     の新火口からも黒い噴煙が上昇する.
13時00分 金毘羅山の新火口のやや北西から白い噴煙が上がる..
13時03分 31日火口から黒い噴煙が非常に高速で上昇.噴煙高1000〜1500m.
     金毘羅山の火口の噴煙は弱まる.
13時14分 金毘羅山の火口から再び白い噴煙が上昇し始める.31日火口の噴煙は
     白くなる
13時23分 ビデオスタート.
13時29分 金毘羅山の火口から黒い噴煙が勢い良く上昇開始.8分程度継続した後
     白煙に変わる.
13時30分 31日火口からも黒い噴煙が上昇開始する.56分までコックステイル
     ジェットが頻繁に観察されされた後に弱まる.
13時54分 金毘羅山の火口でコックステイルが顕著に観察されはじめる.
14時09分 金毘羅山の火口で著しく勢い良く黒煙が上昇.黒煙の高さは1000mに
     達する.
14時12分 31日火口から高さ500mのコックステイルが観察される.白い噴煙がそ
     れに続き13分には高さ1000mに達する.その後も18分前後まで高さ200
     〜800mの黒煙が頻繁に上昇し,南東に多量の降灰をもたらす.
14時22分 金毘羅山の噴煙は弱まる.
14時25分 金毘羅山の白い噴煙が再び強くなり,コックステイルジェットを頻繁に
     交える.
14時31分 金毘羅山の噴煙は弱まる.
14時34分 31日火口から高さ200m前後のコックステイルが上昇.42分まで断続的に
     白煙とコックステイルが活動する.
14時48分 視界不良のため,観測を中止する.

--ここまで