三宅島ヘリ観察報告:2002.07.12
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 観察・報告:宮城磯治 (産総研・国際部門国際地質協力室)
- 同乗者:地震研 金子さん,気象庁 中堀さん,宮下さん
- ヘリ:東京消防庁・つばめ (クルー4名)
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目次 |
概要:
行程:
つくば発 5:52,東京ヘリポート着 7:15,東京ヘリポート離陸 9:05,火口観測開始 9:40,観測終了 10:25,神津島着陸 10:35,給油・昼食,COSPEC隊 神津島離陸 12:40(宮城・金子は神津島で待機),COSPEC隊 神津島着陸 14:03,給油,神津島離陸 14:40,逗子 15:10,東京ヘリポート着陸 15:30.
観測内容:
視程は比較的良く,新島東方海上から三宅島と噴煙が目視できた.白色噴煙.高さは山頂から200m程度で,ほぼ一定している.少なくとも火口観察時間内には,単発的に上昇するプリュームは発生しなかった.噴煙な西風に流され,水蒸気を主とする白色煙は島内で消滅し,一方,青白色ガスはサタドー岬を中心に,標高100〜500m程度を,三池浜北端〜ひょうたん山の幅で,延々と流れていた.
カルデラ南部の火孔群の上方は常に白煙があり,火孔を直接目視することは困難だったが,顕著な変化はない模様.すおう穴下方の斜面は地形が新しそうで,単調に崩落が続いている模様.火口内の池は,先日(7月9日)の台風のためか,面積が拡大していた.これまで赤黒かった西側の池は白緑色を主体とする色に変化し,池東がわの池ほど赤みが強い.
気象庁によれば,赤外カメラによる火孔の観測最高温度は,249℃.また,COSPECは三宅島東方海上火口から5マイルでライントラバースを行なった.観測時,海面300フィートは南南西の風5m/s,上空3500フィートは西の風17m/s.8000〜12000 ton/day.その前の観測が3〜5千トンだったので,多め.「揺らぎながら減少」の範囲内か.
三宅島まで
:お世話になったへり.
[1]
:離陸後すぐ東京湾内へ.
高度200mを240km/hで南下.視程は可〜良.
:大島の東を通過. [6]
天気は良いが,先日(7/9)の台風の名残か,風はある.[7]
三宅島
噴煙遠望
:新島の東付近から,三宅島と噴煙を確認.
[8]
:北からみた噴煙.
西風により,東に流れている.
相変わらず多量の火山ガスが放出されているが,一頃のような猛烈な量ではない.
噴煙到達高度は,標高900m程度.
:噴煙.20分後.
陥没カルデラ内
:陥没カルデラ内を北から見る.
多量の噴煙のため,火孔の様子は目視できず.
カルデラ底の池は,面積を拡大させていた.東がわほど赤みが強い.
:熱赤外カメラを用いた火孔温度観測.気象庁中堀氏.
[16]
:陥没カルデラ内.
火山ガスが滞留し,視程が悪い.
陥没カルデラ外周
:北東山麓
:すおう穴の西側に,亀裂を確認.
[23]
:北西〜西のリム.
カルデラリムの内側にも雨裂がみられた(左).
:陥没カルデラ外周「a-i位まで」
※後日,画面中にインデックスを入れる予定です.
参考:http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/myk/caldera_rim.html
植生回復の様子
植生の回復は地域差が大きい.
概して,卓越風の風下および標高の高い部分は,ダメージが大きいようです.
以下時計まわりに:
三池→空港→坪田→村営牧場
:植生,村営牧場と上流部.
:植生,伊ケ谷と上流部
:植生,伊豆と上流部
:植生,海岸付近の様子.伊豆,三宅支庁,大久保浜.
:植生,神着と上流部
:植生,神着.
:火口観測終了.三宅島を離脱して,神津島に向かう.
左ひざをへりのこの金具に打ち付け,悶絶.
神津島
:給油と昼食後,COSPEC観測のため,再び神津島を離陸(宮城・金子は神津島空港で待機).
:COSPEC観測終了.
給油後,全員を乗せて神津島を離陸.東京ヘリポートに向かう.
午後になって雲がでてきた.COSPEC観測はぎりぎり間に合った(中堀氏談).
帰投
:今日は警視庁コース(逗子・江ノ島付近から上陸する).
:東京へリポートに到着.
ヘリクルーの皆さま,ありがとうございました.