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2008年岩手・宮城内陸地震の地震動分布推定

松岡 昌志(産業技術総合研究所 情報技術研究部門)

(公開:2008/6/14)
(更新 / KiK-netデータ追加:6/15)
(更新 / kmlファイル:6/16)
(更新 / IWTH25, AKTH04を考慮:6/17)


地震観測点が無い地域を含む広域かつ詳細な地震動分布を,震源情報,強震記録,さらに,地盤条件に係わるデータセットを利用して推定した。面的な地盤条件の評価には
日本の地形・地盤デジタルマップ*1に含まれる地質,標高,傾斜データおよび250mメッシュ地形・地盤デジタルマップ*2に含まれる地形データから推定した地盤の平均的なS波速度(Vs30)*3を用いた。
Fig. 1には,日本全国を統一的に分類した地形分類図,Fig. 2にはVs30マップを示す。



Fig. 1: Geomorphologic classificatoin map. Area (Lat, Lon in degree): N20.0 - N46.0, E122.0 - E154.0. high-resolution image



Fig. 2: Average shear-wave velocity map derived from geomorphologic classificatoin map. Area (Lat, Lon in degree): N20.0 - N46.0, E122.0 - E154.0. high-resolution image



強震記録は防災科学技術研究所の強震観測網(K-NETKiK-net)を利用した。まず,観測データから地震動の最大速度(PGV)を計算し(地震動の最大速度の説明),Vs30が推定可能な645観測地点のPGVをVs30から推定される増幅度で除して硬質地盤上での値に戻し,震源からの距離を考慮したKrigingによる空間補間を行うことで,硬質地盤でのPGVの分布を推定している。さらに,硬質地盤でのPGVにFig. 2のVs30マップから得られる増幅度分布を乗じることで,任意の地域の地表での最大速度の分布を推定している。なお,非常に大きな地震動を観測したKiK-net観測点のIWTH25(一関西)とAKTH04(東成瀬)も計算に考慮されている。

約250m四方の分解能で推定した広域PGV分布をFig. 3に示す。解析範囲は旧測地系で北緯36度40分から41度20分,東経137度から145度,1ピクセルは基準地域メッシュを4分割した大きさ(緯度方向に7.5秒, 経度方向に11.25秒)に対応している。低地などの地盤が軟弱な地域においては,震源から遠くても大きなPGVが観測されており,その結果,震度分布が空間的に複雑な形状になっている。


Fig. 3: Estimated high-resolution PGV distribution (250m grid-cells) for the 2008 Iwate-Miyagi Nairiku earthquake. Area (Lat, Lon in degree): N36.66667 - N41.33333, E137 - E145. Pixel size (Lat, Lon in arc-second): 7.5, 11.25. download original data google earth kml file



より広域について,約1km四方の分解能で推定したPGV分布をFig. 4に示す。解析範囲は旧測地系で北緯34度40分から43度20分,東経134度から148度,1ピクセルは基準地域メッシュの大きさ(緯度方向に30秒, 経度方向に45秒)に対応している。


Fig. 4: Estimated 1km grid-resolution PGV distribution for the 2008 Iwate-Miyagi Nairiku earthquake. Area (Lat, Lon in degree): N34.66667 - N43.33333, E134 - E148. Pixel size (Lat, Lon in arc-second): 30, 45. download original data


[参考文献]

*1: 若松加寿江,久保純子,松岡昌志,長谷川浩一,杉浦正美,"日本の地形・地盤デジタルマップ," 東京大学出版会, 112p., 2005.
*2: 若松加寿江,松岡昌志,"250mメッシュ地形・地盤デジタルマップ",科学技術振興調整費 重点課題解決型研究 「統合化地下構造データベースの構築」(代表:藤原広行)で作成中のプロトタイプデータ.
*3: Masashi MATSUOKA, Kazue WAKAMATSU, Kazuo FUJIMOTO and Saburoh MIDORIKAWA, "Average Shear-wave Velocity Mapping Using Japan Engineering Geomorphologic Classification Map," Journal of Structural Engineering and Earthquake Engineering, Japan Society of Civil Engineers, Vol.23, No.1, pp.57s-68s, 2006.

[謝辞]

主たる計算は防災科学技術研究所地震防災フロンティア研究センター川崎ラボラトリーの地震動分布推定シミュレータを利用している。末冨岩雄博士(現 日本技術開発),橋本光史氏(構造計画研究所)をはじめとする関係各位に感謝いたします。また,観測記録は防災科学技術研究所のK-NETとKiK-netを利用しました。