テラヘルツバイオロジー研究会

Terahertz Biology Study Group

研究会概要

DNA二重らせん構造の発見以降、物質科学と、生物現象を遺伝子(対象)と変異(摂動)という抽象概念で捉える遺伝学が結びつき、物理学の演繹的思考を取り入れた分子生物学が誕生しました。極めて学際的な議論から発展したこの学問は、遺伝情報の解読やDNA組換え技術を通じて細胞生物学を飛躍させました。しかしその一方で、生物の分子機能を深く理解するという当初の理念に立ち返るための、新たな視点や切り口が求められているように思われます。

生物の機能は水中で発現し、水素結合ネットワークが形成する協調的な相互作用や、生体分子界面における水和構造の動的変化に支えられています。「電磁波の視点」から生物を眺めると、水との相互作用から生じるダイナミクスが最も鋭敏に現れる領域がテラヘルツ周波数域です。すなわち、「テラヘルツという周波数を切り口」にすると、水素結合ネットワークの揺らぎや分子集団の振動モードが広帯域誘電応答の高周波側で特に顕著に現れるため、生物分子機能の基盤を成すダイナミクスを捉えるユニークな観測窓が得られます。

さらに、この周波数域の電磁波照射は、生体分子・水系が生み出す分子機能に対して非熱的応答を誘起し得るという点で、従来の生物学には無かった物理的摂動としての魅力的な側面を備えています。「観測」と「摂動」の両面から生物の分子機能を理解し、制御へとつなげる新たな学問分野を拓くことを目的に、テラヘルツバイオロジー研究会(テラバイオ研究会)が発足しました。

本研究会の主な活動

年1回の学術討論会の開催、生物分子機能の理解に向けた新たな概念の創出と発信です。討論会は、対象をテラヘルツ周波数域の観測やテラヘルツ波摂動に限定することなく、水との相互作用によって生み出される分子機能の本質的な面白さや未解決問題に焦点を当てています。これらの主題に関心をもち、自然科学の関連分野で研究されている方であれば、運営委員会の同意を得て参加できます。

最新ニュース

  • サイト開設のお知らせ
    テラヘルツバイオロジー研究会の公式サイトを公開しました。今後、討論会のご案内等を随時掲載します。
  • 近日公開
    次回討論会のご案内
    開催日・会場などの詳細は決まり次第、本ページでお知らせします。

イベント情報

  • テラバイオワークショップ 2025 開催のお知らせ
    「マイクロ波からテラヘルツ波に対する応答から生体分子機能を再考する」
    開催日時:2025 年 9 月 23 日(火曜日)