小関 義彦

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
健康医工学研究部門
医療機器研究グループ
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パラレルメカニズム

 パラレルメカニズムはベースから最終出力であるエンドプレートまでが複数のリンクで並列に連結されている機構を言う. これに対してベースからエンドプレートまでが直列なリンクで連結される機構をシリアルメカニズムと呼ぶ. この分類法によれば工業用マニピュレータの多くはこのシリアルメカニズムに属する. またXYZステージもシリアルメカニズムに分類される. 一方で並列機構と直列機構が混在するものをハイブリッド型と呼ぶ. 図1にそれぞれの典型的な例を挙げる.

(a)パラレルメカニズム

(b)シリアルメカニズム

(c)ハイブリッド

図1 : マニピュレータの分類

 またパラレルメカニズムは以下のような特徴を持つ.

作業領域
 一般にパラレルメカニズムの作業領域はシリアルメカニズムに比べて小さい. 作業領域を制限する要因としては,それぞれのリンクの到達範囲,リンク同士の干渉,ボールジョイントなどの関節の可動領域,静力学的特異点が挙げられる. 静力学的特異点の近傍ではアクチュエータがどれほど力を発揮できても外力に対抗することが出来ず,結果として位置姿勢を保つことができないこともパラレルメカニズムの特徴である.
精度
 シリアルメカニズムではリンク連結部の変位誤差やバックラッシュが累積するためエンドプレートの誤差が拡大する. 一方でパラレルメカニズムではエンドプレートまで複数のリンクがあるため個々のジョイントの誤差は平均化される.
剛性
 シリアルメカニズムでは片持ち梁構造になっているが,パラレルメカニズムでは複数のリンクで支持されるため剛性が高い. 特に Stewart Platform 型ではリンクには伸縮だけで曲げの負荷がかからないため剛性が高い.
最大力
 同じく複数のアクチュエータで支持されるためそれぞれの力の合力が出力になるため最大力は大きい. シリアルメカニズムでは先端の反力を根本が支えなければならないので最大力は小さい.
加速度
 シリアルメカニズムではワイヤ駆動でない限りそれぞれの関節にアクチュエータが搭載される. そのため,ある関節の慣性荷重はそこから先のアクチュエータの質量が累積される. パラレルメカニズムでは慣性荷重の累積がないばかりか Hexa 型や直動固定型ではアクチュエータはベースに固定されているためアクチュエータの重量は全く慣性荷重に反映されない.
順運動学/逆運動学
 パラレルメカニズムの順運動学(ある入力に対する出力を求めること)の求解は複雑で困難である. 一方で逆運動学(ある出力に対する入力を求めること)は容易である. シリアルメカニズムではそれぞれが全く逆になる.

 図2に典型的なパラレルメカニズムの例を3つ挙げる. しかし,以下の3種以外にも数種のパラレルメカニズムが考案されている.

(a)Stewart Platform型

(b)Hexa型

(c)直動固定型

図2 : パラレルメカニズムの例

 現在のところ,その高い剛性から工作機械などに実用例が見られるが,シリアルメカニズムに比較すると実用例は極めて少ない. その他には,3次元測定器やマニピュレータの手首,力覚提示装置などへの応用が考えられている.

参考文献

  1. 特集/パラレルメカニズム, 日本ロボット学会誌, Vol. 10, No. 6, 1992
  2. 特集/パラレルメカニズムが機械を変える, 日経メカニカル, 1995.3.20
  3. 特集/パラレルメカニズム, 精密工学会誌, Vol. 63, No. 12, 1997
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