日本の科学切手 2010年代編


コオロギラン ホテイラン ヒメキリンソウ ジョウロウホトトギス ガマズミ Not So Bad

 牧野富太郎生誕150年 2012.4.24発行

 牧野富太郎は、94年の生涯で50万枚もの標本を採取し、1,500種以上の植物を命名し、「日本植物学の父」と呼ばれています。この切手では富太郎が描いた植物画が題材になってます。五枚もあるのだから一枚くらい富太郎の肖像にしてくれてもいいのに・・・

 左からガマズミ、ジョウロホトトギス、ヒメキリンソウ、ホテイラン、コオロギランです。このセレクションは専門家からすると結構マニアックな物だそうです。
日本国内での最初の新種発表となったヤマトグサや富太郎を支えてくれた亡き妻に感謝して献名したスエコザサはありません。

 また、ジョウロウホトトギスは切手の絵の上下逆に垂れ下がって育ち咲くそうです。これは切手デザイナーのミスではなく、引用した元絵からそうだったようです。



しかの手紙 Thanks

21世紀デザインシリーズ第17集
「第二回野口英世アフリカ賞」 2013.5.31発行

  野口英世またまたまた登場です。
 この切手には母しかの直筆の手紙が描かれてます。小さくて読めないので、ここで紹介します。

おまイの。しせ(出世)には。みなたまけました。わたくしもよろこんでをります。なかた(中田)のかんのんさまに。さまに。ねん(毎年)よこもり(夜籠り)をいたしました。べん京(勉強)なぼでもきりがない。いボし(烏帽子)ほわこまりをりますか。おまいか。きたならば。もしわけ(申訳)かてきまそ。はるになるト。みなほかいド(北海道)に、いてしまいます。わたしもこころぼそくありまする。ドかはやく。きてくだされ。かね(金)を。もろ(貰)たこトたれにも、きかせません。それをきかせるト。みなのれて(皆飲まれて) しまいます。はやくきてくたされ。はやくきてくたされ。はやくきてくたされ。はやくきてくたされ。いしよ(一生)のたのみて。ありまする。にし(西)さむいてわおかみ。おかみ(拝み)。ひかし(東)さむいてわおかみ。しております。きた(北)さむいてわおかみおります。みなみ(南)たむいてわおかんておりまする。ついたち(朔日)にわ しをたち(塩断)をしております。ゐ少さま(栄昌様)に。ついたちにわ。おかん(拝)てもろておりまする。なにおわすれても。これわすれません。さしん(写真)おみるト。いただいておりまする。はやくきてくたされ。いつくるト おせ(教え)てくたされ。これのへんち(返事)まちてをりまする。ねてもねむられません
たどたどしい手紙にもしかの子を思う愛情に溢れています。(つ_;)


L0系リニアモーターカー Not So Bad

「地方自治法施行60周年記念シリーズ 山梨県」 2013.11.15発行

 超伝導磁気を利用したリニアモーターカーの切手は以前にも紹介しましたが、今度のは最新の営業用仕様として製作されたL0系。MLX01をベースとして開発されていますので山梨・都旭局の風景印と良く似ています。

 この車両は2015年4月21日に603km/hの有人試験走行世界最高速度の記録を出している。2027年の開業を目標として今も走り続けています。



五度目の正直 Not So Bad

「地方自治法施行60周年記念シリーズ 福島県」 2016.5.11発行

 野口英世5回目の登場です。 しかもこの20年で4回目。 どんだけ英世好きやねん^^;

五度目の正直  銀色の野口の肖像は、現1000円札や前述の第二回野口英世アフリカ賞切手(右)と同じ物のようです。

 野口の幼名は清作である事は良く知られているが、坪内逍遥の「当世書生気質」に弁舌を弄し借金を重ねる自堕落な登場人物に「野々口精作」というのがいて、(多少身に覚えもあってか)これをいたく嫌い、1898年に自分の名前を英世と改名している。

 注:「当世書生気質」が刊行されたのは1885年(野口が9歳の頃)なので、別に野口をディスっていた訳ではない。



理研黎明期 Not So Bad

「理化学研究所創立100周年」 2017.4.26発行

 久々の直球どストライクの科学切手です。 全部で5種、内容盛りだくさん。順に紹介していきましょう。

 まずは黎明期の理化学研究所の成果物。(これらの実物は理研ギャラリーに展示してある)→
 Vitamin A: ビタミンA鈴木梅太郎研究室の高橋克己氏が1922年にタラの肝油から世界で初めて抽出に成功し、「理研ヴィタミン」の名前で売り出している。これは爆発的に売れまくり、当時苦しかった理化学研究所の財政を一気に好転させた。
 Piston Ring: ピストンリングは、大河内研究室の海老原敬吉氏が材質や形状を改良し性能を向上させた、エンジン等に使われているロングセラー商品。現在でも、理化学研究所から分離したピストンリング製造最大手の株式会社リケンの技術的基礎となっている。
 Ultrazin-Glass: 一つ(何故かまたビタミンAが。。。)飛ばして、ウルトラジン眼鏡。かけるとウルトラセブ・・・じゃなくて、紫外線カット眼鏡の先駆的商品。その為、当時の国産サングラスの代名詞となっていた。
 IM-Fontactoscope: アイエム泉効計は、水中の放射性元素ラドンから出るα線を計測する装置。持ち運びができて簡便かつ安価な為、放射泉の温泉分析用に使われた。
 Almite: アルマイトはアルミニウム表面に分厚い酸化被膜を作り耐食性、耐摩耗性を向上させた商品。当時のレコード盤素材は天然樹脂が主流で割れやすく傷もつきやすかったが、この問題を解決する為にアルマイト盤が作られた。家庭用には弁当箱などにも流用されている。(年配の方なら使っていた人も多いはず)

二番目じゃダメなんでしょうか? 仁科桜
 次はスーパーコンピュータ「京」(左端)。かつて「二番じゃダメなんですか?」と雑言を吐かれたのがコレ。1秒間の1016回(←京の名前の由来)の計算ができ、現在も世界のスパコンランキング等で覇を競っている。神戸在住。

 113番元素 ニホニウム はこちら

 その次は植物・動物組織の顕微鏡写真で、上段から含硫黄代謝物を多く蓄積するアスパラガスの維管束組織、ヒト由来上皮系培養細胞の細胞間接着、金を蓄積したヒョウタンゴケ原糸体、マウス皮膚組織の立毛筋、センニチコウの維管束組織(ここら辺棒読み)。顕微鏡写真と紹介されているが、光学顕微鏡より生体組織では撮影が難しい電子顕微鏡写真じゃないか?と思われる。電子顕微鏡内部は基本真空なので、水を多く含む生体組織では水分が蒸発して元の形状を維持できない事が多い。これを業界では「イカを見ようとしてスルメを見る」と揶揄されている。その為、生体組織の電子顕微鏡撮影は難しく、様々な高度な技術が必要とされる。切手になるくらいだからそれ位ハードルの高い物ではないかと推測している。(もし違ってたら教えてネ

 最後は、リングサイクロトロンで作られた重イオンビームを照射して品種改良された新種のサクラ。重イオンビームによる 突然変異誘発は、自然界で起こる宇宙線などにより起こる自然突然変異と原理は同じで、多種多様な花色変異株や耐病性株、環境耐性株などを高率で得られる特徴があるそうです。上から「仁科乙女」「仁科蔵王」「仁科知花」。仁科は皆さんご存知、理研加速器の父・仁科芳雄博士に由来している。岡山県里庄町にある仁科博士の生家には「仁科蔵王」が咲いているそうです。



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