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2002.12.9 発表

■ 働く人間型ロボットHRP-2 Promet(プロメテ)を開発

− 人間との共同作業の実現を目指して −

人間型ロボットHRP-2プロトタイプの写真1

人間型ロボットHRP-2プロトタイプの写真2

人間型ロボットHRP-2プロトタイプの写真3

● ポイント

概要

デザインイラスト

出渕氏デザイン

 川田工業株式会社【取締役社長 多田 勝彦】(以下「川田工業」という)は、独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)、株式会社安川電機【取締役社長 中山 眞】(以下「安川電機」という)、清水建設株式会社【取締役社長 野村 哲也】(以下「清水建設」という)と共同で、人間型ロボットHRP-2最終成果機を開発いたしました。
 
 
HRP-2は、経済産業省が1998年から5ヵ年計画で実施中の「人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発」【プロジェクトリーダー 井上 博允 教授( 東京大学 )】( HRP:Humanoid Robotics Project )の一環として、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)【理事長 牧野  力】から財団法人製造科学技術センター(MSTC)【理事長 菊池  功】への委託・産総研との共同研究により開発された人間型ロボットの最終成果機です。
 
共同開発の分担は川田工業が主担当として設計製作を行い産総研知能システム研究部門ヒューマノイド研究グループ(金子 健二 主任研究員ら)が全体仕様設計、安川電機が腕部仕様設計、清水建設が視覚部仕様設計をいたしました。
 
 
HRP-2は、身長154cm、体重58kg(バッテリ含む)、腰2軸を含む30自由度を有し、軽量・多自由度を実現しています。また、股関節が片持ち構造で隘路の歩行が可能な点、電装系の高密度実装によりバックパックを不要とした点に特徴があります。
 
 
平成14年3月に発表したHRP-2プロトタイプとは、身長、体重、自由度については同じですが、技術的には最終成果機では次の点が改良されています。
  ・
高性能化−   脚部アクチュエータにクーリングシステムを実装したことにより連続歩行時間が延長。
             
不整地歩行に適した足裏機構の開発。リンクおよび軸剛性を大幅にアップし、歩行機能と作業機能を向上。
  ・
高信頼性化− 電装デバイスのノイズ対策を強化し、システム全体の安定性が向上。
             
コンピュータシステムとアクチュエータドライブシステム周りにクーリングシステムを増設したことにより対温度環境性能が向上。
  ・
小型化− 内部配線を大幅に基板化したこと、専用バッテリパッケージの開発により、胴体部の小型化を実現。
 
また、HRP-2の外観デザインは、「パトレイバー」等のアニメーションのメカデザイナとして著名な出渕裕氏が担当いたしました。さらに、同氏により、HRP-2を「Promet」と命名いたしました。
 
 HRPでは今後、HRP-2を用いて、不整地歩行転倒制御転倒回復技術の実現、屋外共同作業への応用の実現を図ります。また、経済産業省・NEDOが5カ年計画で推進し、今年度、川田工業が、産総研、川崎重工業株式会社【取締役社長 
田ア 雅元】とともに受託した基盤技術研究促進事業「実環境で働く人間型ロボットの基盤技術の研究開発」では、更なる実用化研究のベースとして利用いたします。

*本件に関する川田工業ホームページ【http://www.robo-craft.com/

研究の背景

 我が国の産業用ロボットの市場規模は、世界最大であるとはいえ、1980年代から年間5,000億円〜6,000億円程度で横ばい状態にあります。その最大の理由は、「ロボットに出来る仕事の種類が増えなかったこと」と、「出来る仕事の種類が増えるほど技術革新が進まなかったこと」にあります。ロボットの市場規模を飛躍的に拡大するためには、ロボットに出来る仕事の種類を大きく増やすことが必須であります。
 
 HRPは、人間型ロボットの応用事例を研究することにより、「働く人間型ロボット」の実現可能性を世の中に示すことを目的としております。20世紀最大の商品の一つは自動車であったが、人間型ロボットは21世紀最大の商品の一つになる可能性を秘めており、HRPはその第一歩となるものと期待されております。この様な背景の下で、HRP-2は、「HRPで実施中の応用5分野の一つである屋外共同作業応用を実現するための人間型ロボットHRP-2」として開発されました。

研究の経緯

 HRPは、1998年からの5年計画のプロジェクトであり、前期2年間で研究の共通基盤となるプラットフォームを開発し、後期3年間でプラットフォームを用いた応用研究を実施中であります。前期に開発したプラットフォームは、人間型ロボットHRP-1、遠隔操作コックピット、仮想プラットフォームから構成されています。後期で実施中の応用5分野の内4分野は、HRP-1を用いて研究開発を行っていますが、屋外共同作業は不整地上の歩行、転倒制御、転倒回復等の特別の仕様を要求するため、改良型ロボットHRP-2を開発し、これを用いて実現する計画となっていました。今回、HRP-2ハードウェアの開発を完了したことで、年度末までにシステム実装を含む統合開発が行われます。HRP-2は、人間型ロボットソフトウェアプラットフォームOpenHRPを用いて利用することが可能であります。

用語の説明

◆自由度
ロボットの関節数のこと。[戻る]

◆片持ち構造
一方によって支持された梁構造。本件の場合、股関節が片方で支えられている構造を指す。[戻る]

◆オープンアーキテクチャ
インターフェイス仕様が公開されているシステム。[戻る]

◆不整地歩行
凹凸や傾斜のある路面上の歩行。[戻る]

◆転倒制御
ロボットが転倒した場合にその破損を最小限に抑えるための姿勢制御法。[戻る]

◆転倒回復
転倒した状態から起立状態への姿勢回復制御法。[戻る]

参考

◇HRP-1との比較
 HRP-1は160cm、120kg、HRP-2は154cm、58kg(バッテリ含む)で、大幅な軽量化が実現されている。HRP-1には腰の自由度がないが、HRP-2は2自由度を持つ。HRP-1はバックパックを持つが、HRP-2では不要となった。このような特徴から、HRP-2プロトタイプは、より対人親和性に優れた設計がなされている。

◇本田技研ASIMOとの比較
 ASIMOは各腕5自由度、各脚6自由度であるのに対して、HRP-2 は各腕6自由度、各脚6自由度を持ち、さらに腰2自由度を有している。多自由度を有していることから、「仕事をする人間型ロボット」の実現に適している。また、高密度の電装系実装により、ASIMOに見られる様なバックパックを不要としている。腰2自由度があること及びバックパックがないことにより、転倒制御・転倒回復動作の実現に適している。さらに、ASIMOは身長120cmと小学生サイズであるのに対して、HRP-2は154cmで成人女性に近く、人間の生活空間での作業により適している。
 
 体積が身長の3乗に比例すると仮定して体積重量比を比較すると、ASIMOの120cm,43kgは154cmでは約90kgになり、HRP2は自由度がASIMOより多いにも拘らず58kgで、35%程度体積重量比が向上していると考えられる。

人間型ロボット仕様比較表

 

HRP-2

ASIMO

HRP-1

身長

154cm

120cm

160cm

体重
(バッテリ含む)

58kg*1

52kg*2

120kg

2自由度*3

なし

なし

6自由度

5自由度

7自由度

6自由度*4

6自由度

6自由度

バックパック

不要*3

必要

必要

*1)バッテリ含む
*2)体積が身長の3乗に比例すると仮定し体積重比を比較した場合、154cmでは約110kg相当
*3)転倒制御・転倒回復動作の実現に適している
*4)股関節が片持ち構造であるため、隘路歩行に適する