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研究の概要:100℃で働くDNA複製装置の産業応用を行っている。

研究のアピールポイント:
1.新規ファミリーD DNAポリメラーゼ (PolD) の機能構造解明に成功
2.ファミリーB DNAポリメラーゼ (PolB) の市販化
3.遺伝性有口赤血球症に関連する膜タンパク質ストマチンの分子構造とその特異的膜プロテアーゼの機能構造解明に成功
1.新規ファミリーD DNAポリメラーゼ (PolD) の機能構造解明に成功
PolDは、我々ヒトを含む真核生物のゲノム複製を司るDNAポリメラーゼの先祖であり、古細菌のゲノム複製の中心装置である。しかし、その機能的重要性にもかかわらず、触媒残基の種類や位置を含め、その分子機能は全く不明であった。我々はPolDの大小サブユニットがどの様に集合し、ポリメラーゼ活性発現を制御するかを明らかにした(図1)。また、PolD大サブユニットのN-末端に存在する新規DNA結合ドメインの分子構造を決定した(図2)。そのN-末端50残基は電子密度が収束せず構造を決めることはできなかった。興味深いことに、その未知領域は両親媒性α-へリックスを構成すると予測され、疎水的表面で触媒反応中心と相互作用し、触媒ドメインの親水性を調整し、サブユニット内の自己環状化を司る極めて重要な機能を有することが明らかになった(図3A)。このN-末端50残基が構成するα-へリックスの両親媒性はメタン菌を含む主要な古細菌で必ず保存されていることも発見した(図3B)。
今までこのタイプのDNAポリメラーゼの機能・構造情報は全く報告されていない。PolDの大小サブユニットからなる2:2ヘテロテトラマー構造は古細菌-真核生物型ゲノム複製装置の必須かつ未知な機能解明に貢献した。


PolDの2:2ヘテロテトラマーのトポロジー   図1. PolDの2:2ヘテロテトラマーのトポロジー。

(A) 大小サブユニットのドメイン構成。

(B) 2:2ヘテロテトラマー構造。黄色の矢印はドメイン間の相互作用を表わす。
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DNA結合活性を示すPolD大サブユニットの新規N-末端ドメイン構造   図2. DNA結合活性を示すPolD大サブユニットの新規N-末端ドメイン構造。

(A) 赤い点線領域は構造が決まらなかった重要な機能領域を示す。

(B) 予測されるα-へリックス(対称分子で青色とシアンで表示した)は結晶パッキング中にぴったり収まった。
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N-末端α-へリックスの両親媒性は良く保存させている   図3. N-末端α-へリックスの両親媒性は良く保存させている。

(A) L(8-33)のヘリカルホイール投射分析の結果を示す。芳香族性および疎水性アミノ酸残基を赤字で右肩に残基番号を付して示した。

(B) P. horikoshiiのL(1-50)とそれに相当する代表的古細菌のポリペプチド領域のマルチプルアライメント。灰色の背景は疎水性プロフィールを示す。 
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2.ファミリーB DNAポリメラーゼ (PolB) の市販化
100℃で働くDNA複製分子装置を構成するファミリーB DNAポリメラーゼ (PolB)の市販化を行った。また、Flapエンドヌクレアーゼ、DNAプライマーゼ、DNAヘリカーゼ、DNA複製因子(PCNA、RFC)等の分子機能を解析し、特許出願を完了した。これらの耐熱性酵素の市販化を進めている。

商品化DNAポリメラーゼ (PolB) のホームページ
http://nippongene.com/pages/products/pcr/pho_dna_poly/index.htm


3.遺伝性有口赤血球症に関連する膜タンパク質ストマチンの分子構造とその特異的膜プロテアーゼの機能構造解明に成功
関連研究として、戦略的国際科学技術協力推進事業「日本(JST)-フランス(CNRS)研究交流」を推進し、JST-CNRS 合同「マリーンゲノム・バイオ分野」セミナー 2009(http://staff.aist.go.jp/ik-matsui/jst_j.html)と同セミナー 2010を開催した。


膜タンパク質ストマチンの分子構造   図4. 膜タンパク質ストマチンの分子構造。

(A) ストマチン中核ドメインPhStoCD三量体の空間充填モデル。疎水性残基を白色、酸性および塩基性残基を赤色と青色で示した。

(B) PhStoCDの予測される生体膜との相互作用。
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