ロボット・ロボティクス論よりも

ロボティスト・ロボティシャン論を

和田 充雄 (北海道大学)

1.はじめに

 本OS:

 + 著者の未来的な視点を加える.

 

2.ロボットなる言葉

辞書における「ロボット」の意味:

 "robot" :Karell Capek の戯曲「 Rossum's Universal Robots 」の人造人間が語源

  (Merrian Webster's Collegiate Dictionary (10th Ed.1993)より)

 貧困な関連語彙,内容が乏しい。

 まるで、ロボットには重い足枷をはめて、檻の中に閉じ込められたようである。

 robotにはmechanician (機械工)、mechanist (機械論者)に対応する語彙がない。

  → robotician (ロボット家)、robotist (ロボット主義者)?

 

3.ロボットは自動機械か

日本ロボット学会社団法人化の際のロボット・ロボット学の定義

「ロボットとは、人間の手や足などに類似した機構を有し、従来の技術では自動化が困難であった作業を行動プログラムや人間の指令に従って実行する機械であり、ロボット学はこのような機械の実現を目指す学術並びに技術基盤をなすものである」(1990.12 設立趣意書より)

辞書的な定義からの脱却を促す内的な学術的、技術的な力

新しい進化論的な意味合いを持つ形へ展開すべき時期

日本ののロボット研究者にとってのロボットの原点像:手塚治虫の漫画「鉄腕アトム」

ロボットとは、

とすべき時代に来ている。

 前者:ソニーのAIBO に代表される最近のロボットの技術動向を反映

 後者:ホンダヒューマノイドや通産のヒューマノイドプロジェクト

 

4.未来のロボット島の話題から

未来の自己増殖型ロボットの問題:

「無限のパラドックス」(レイモンド・スマリヤン著,原題名:SATAN, CANTOR AND INFINITY AND OTHER MIND- BOGGLING PUZZLES 、長尾訳、白揚社、1994 )より

 

5.未来ロボットとロボティシャン、ロボティスト

ロボティスト:ロボット主義者,(人間機械論者:メカニスト→)人間ロボット論者

 こうした時、人間の持つ信念システム、あるいは信頼システムと類似の物をロボットは有することになろう。

ロボティシャン:以下のような未来ロボットを支える人たちが活躍するであろう。

ロボット博士(Robot Doctor),ロボット遺伝子設計士(Robot Gene Designer) ,ロボット製造/養殖士(Robot Cultivator),ロボット飼育士/調教士(Robot Trainer),ロボット医士/解剖士(Robot Practitioner)

さらに先の将来にロボットの寿命が延びて、人間と拮抗してきたら、人間の意志を離れることになるだろうか?

本来の(自己・他己の区別のない)人間ロボット社会が生まれる可能性がある。

自他の区別からロボットが自動増殖を始めるロボット社会は、著しく複雑な手がつけられないものとなる。

しかし、生物社会では、生命の誕生以来、自己増殖的に増えて絶滅した種はいないと言われている。

環境の激変にたえられなくなった生物はいるが、殆どあらゆる種が適応進化している。

ロボットの寿命が伸びても、人間社会の世代を超えた進化適応性が優勢である。

 

6.おわりに

未来社会:人間はロボットを飼い慣らす(Human domesticated Robots)といういわば他己増殖型ロボット(Non-self Reproductive Robots)による人間共存社会(Human Symbiosis Society with Robots)となる。

特に、ロボットも進化論的議論にのせるべきであると強調した。