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1秒は、セシウム原子に共鳴するマイクロ波の周波数(9 192 631 770 Hz)に基づいて定義されています。 現在この周波数を最も正確に決定する手法は、原子泉と呼ばれるものです。 原子泉では、大雑把にいって
といったプロセスを経て、共鳴マイクロ波の周波数を得ます。 ただし、磁場、黒体輻射および原子間の衝突などの影響を受けて共鳴周波数がずれてしまうので、 こうしたシフト量を実験的・理論的に見積もってその分を補正します。 我々は産総研における原子泉2号器のNMIJ-F2(右写真)を作製し、シフト量と不確かさの評価を完了しました。不確かさは典型値で4.6×10-16(約7000万年に1秒の精度)です。 また、
といった工夫がされていることが特徴です。 当原子泉は、世界の標準時の元となっている国際原子時の校正に用いられます。 |
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レーザ冷却などの原子操作を行うには、原子の狭い共鳴線にレーザの周波数をロックする必要があります。 しかし、レーザが壊れたわけでもないのに、モードホップと呼ばれる現象が起き、周波数ロックが外れることが時々あります。 ロックが外れると、例えば原子泉の長期連続運転が止まってしまいます。 そこで、半永久的に周波数ロックをかけ続けることができるレーザの開発に取り組んでいます。 装置としては、外部共振器半導体レーザ(ECDL)と呼ばれる10 cm程度のサイズのコンパクトなもので、
といった工夫により、1か月以上の連続的な周波数ロックを実現しました。 |
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前述の原子泉は高さ2 m以上に及ぶ比較的大きな装置ですが、 小型化や省電力化を目指した原子時計の研究も盛んに行われています。 1 cm角以下のサイズのガスセルを用いたチップスケール原子時計の研究にも参加しています。
| 1998年3月 | 東京工業大学 理学部 応用物理学科 卒業 |
| 2000年3月 | 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 電子システム専攻 修士課程修了 |
| 2003年3月 | 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 電子機能システム専攻 博士課程修了(博士(工学)取得) |
| 2003年4月 | (独)科学技術振興機構 ERATO大津局在フォトンプロジェクト 研究員 |
| 2003年10月 | (独)科学技術振興機構 ERATO大野半導体スピントロニクスプロジェクト 研究員 |
| 2004年4月 | 日本学術振興会特別研究員(ミュンヘン大学物理学科) |
| 2005年8月 | 同上(慶應義塾大学理工学部電子工学科) |
| 2007年4月 | (独)産業技術総合研究所 計測標準研究部門 時間周波数科 時間標準研究室 研究員 |
| 組織変更等のあと、現在に至る |
応用物理学会、日本物理学会