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■ 概 要 ■

 独立行政法人 産業技術総合研究所【理事長 吉川 弘之】(以下「産総研」という)人
間福祉医工学研究部門【部門長 斎田 真也】は,社団法人 人間生活工学研究センター【会長 野村 明雄】】(以下「HQL」という)と共同で,株式会社 豊田中央研究所【代表取締役所長 石川 宣勝】,マツダ株式会社【代表取締役社長 井巻 久一】,日産自動車株式会社【社長兼最高経営責任者 カルロス ゴーン】,横河電機株式会社【代表取締役社長 内田 勲】らとともに,実際の路上での多くの一般ドライバーの運転行動を計測して,自動車運転行動データベースを開発した.また,このデータベースを用いて運転行動を客観的に把握することで,普段とは異なる運転行動をした時に危険が高まることをドライバーに伝える車載型の運転支援システムのプロトタイプを開発した.本研究成果は,独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構【理事長 牧野 力】(以下「NEDO技術開発機構」という)の平成11年から5年計画で実施されてきた委託事業,産業技術基盤研究開発プロジェクト「人間行動適合型生活環境創出システム技術」の最終成果の一部である.

■ 研究の背景・経緯 ■
〔安全運転支援システム〕

 安全運転支援システムとしては,ITSにおいて種々の衝突警報システムの研究開発が進められているが,これらは衝突の直前に警報を出すといった直接的な事故回避・低減のための装置である.このような警報システムは衝突ギリギリのところで作動するために,ドライバーの緊急回避能力や車両の性能などとの関係で効果が違ってくるものであった.そこで本研究開発では,衝突直前ではなく,ドライバーが運転のリスクが高まりつつある状態になっているかを事前にドライバーに伝えることで,ドライバーがリスクの高い状況に置かれるのを防止するシステムの開発を目指した.すなわち,通常からの逸脱をドライバーに伝えることで,事故のリスクが高まる状態になるのを未然に防ぐように運転してもらうという,新しい考え方に基づく安全運転支援システムである.これまでに開発されてきたACC(車間距離自動制御装置)や衝突軽減装置(プリクラッシュ装置)は,先行車への追従や目前の障害物への衝突といった,比較的単純な状況下での運転支援システムであった.これに対して,本システムは,人間が通常行なっている転状況下での運転支援システムである.

通常からの逸脱検知によってウッカリミスを防止する運転支援システムのコンセプト図

■ 研究の内容 ■

 
運転行動の通常からの逸脱の検知技術は、最も多い事故形態の一つである出合い頭の事故に関わる運転行動に注目して、一時停止交差点における(非優先道路での)減速停止行動に注目し、データベースに蓄積された一般ドライバーの減速停止行動データを用いて開発した。減速停止の多数のデータを用いることで、通常どのように行動しているかを、交差点までの残り距離や速度や加速度から把握し、通常の運転におけるこれらの相互関係を通常運転のモデルとした。そして、これを参照して、実際の走行場面において、このモデルからどれだけ危険側にずれているか通常からの逸脱度としてドライバーに呈示するものである。装置の構成としては,運転行動を検知するためのハンドルやペダルのセンサ,通常運転のモデルが組込まれた車載コンピュータ,そしてドライバーへの逸脱度の呈示装置(ディスプレイ)からなる.車載コンピュータでは,その時点での運転行動と通常運転のモデルとを比較計算して,モデルと比べて危険側に外れているかを判断する.また、ドライバーに呈示する方法としては、従来の警報のように注意を引き過ぎる可能性があるものではなく、運転中にも煩わしくなく目に情報として入る表示を、人間の視覚特性の分析を基に開発した。これによって、運転中に自分がどの程度普段の運転行動から逸脱しているかを知ることができ、未然に危険な状態に陥ることを防ぐことが可能になる.

運転支援システムのプロトタイプの構成図







2004 Akamatsu Lab.