産業技術総合研究所   地質調査総合センター

三宅島現地調査:2001年11月26-29日

                   by A.Tomiya (2003/3/19改訂)
去る2001年11月26-29日に,産総研・地質調査総合センターのスタッフ3名により三宅島の現地地質調査が行なわれました. ここでは,調査中に現地で東宮により撮影された写真の一部を公開いたします.
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なお,写真の無断2次使用は御遠慮下さいませ.


目次:
 1.三宅島雄山の活動概況
 2.三宅島現地調査の様子
 3.三宅島調査環境,特に「はまゆう丸」と「クリーンルーム(クリーンハウス)」について
 4.おまけ

1.三宅島雄山の活動概況

DSCN2170s.JPG 神津島沖から見た三宅島.(神津島沖の「はまゆう丸」船上より;2001/11/26, 12:34)
DSCN2181s.JPG 火山ガスの直撃を受ける三池港の様子.濃い二酸化硫黄(SO2)ガスが青く見えている.青いガスを通してみる太陽はオレンジ色であり,その日差しは真昼にもかかわらずまるで夕陽のように辺りを赤く照らす.実に異様な光景である.写真では,海面が赤く照らされている様子がよく分かる.(三宅島東部,三池港;2001/11/26, 13:29)
DSCN2241s.JPG 雄山東麓の三池には季節風(西風が卓越)の関係で火山ガスが集中的に降り注ぐ.そのため,鉄製品は錆だらけである.(三宅島東部,三池港;2001/11/27, 8:52)
DSCN2244s.JPG 二酸化硫黄(SO2)濃度が濃いときはガスマスクを装着する.ガス検知器(右胸に付けた黄色い装置)は必携.SO2=2ppmでピーッピーッ,SO2=5ppmでピーピーピーと警報が鳴る.私の滞在中の最高値は8ppm(11/28朝)だった.(三宅島東部,三池港;2001/11/27, 8:55)

DSCN2245s.JPG DSCN2430s.JPG DSCN2434s.JPG 活発に火山ガス(青白色・半透明)と噴煙(白色・不透明)を吐き続ける雄山.(左:三宅島東部,三池港;2001/11/27, 8:58; 中:三宅島東部,三池港;2001/11/29, 14:38; 右:三宅島の北方海上の「はまゆう丸」船上より;2001/11/29, 15:03)


2.三宅島現地調査の様子

DSCN2189s.JPG 火山ガス成分分析(吸収)用のアルカリ溶液の設置状況.溶液を実験室に持ち帰って化学分析し,設置場所付近に流れてきたガスの組成を知ることを目的として設置している.今回は,この溶液の回収・交換作業も行なった.(三宅島南西部,富賀神社前=雄山登山道入口;2001/11/26, 15:14)
DSCN2205s.JPG 降下してくる火山灰を採取するためのトレーのメンテナンス作業の様子. 前回設置したとき以来たまっていた火山灰を回収し,トレーを洗浄して,再び設置する. 回収した火山灰は実験室に持ち帰り,分析に用いられる. 付近にいた猫が作業に興味をそそられて寄ってきた.猫は元気そうであった. (三宅島北西部,伊豆の保健所前;2001/11/26, 16:06)

DSCN2254s.JPG 村営牧場付近の様子.数cmの火山灰に覆われ,所々に噴石が落ちている.建物の屋根には噴石の直撃で開いた穴が見られる.(三宅島南部,雄山中腹のレストハウス付近;2001/11/27, 10:06)

DSCN2272s.JPG 雄山の山頂付近(カルデラ南縁から数百m以内)の様子.植生は破壊され,岩と灰の荒涼とした風景となっている.この一帯には,2000年の8月18日噴火や8月29日噴火を中心とする噴火堆積物が1m以上の厚さで堆積している.ちなみに,撮影者の立っているガリー(浸食でできた小さな谷)の深さは1〜1.5m程度.(三宅島中央部,カルデラ南縁付近;2001/11/27, 12:09)
DSCN2279s.JPG 直前の写真と同じ撮影点から下方を見た様子. 写真中央部の平坦地が村営牧場,奥の小山は1983年噴火で形成された火砕丘の1つ. (三宅島中央部,カルデラ南縁付近;2001/11/27, 12:11)

[参考]
2001年11月現在,雄山の中腹より上(C2-2区域)に立ち入るには気象庁職員の同行が必要である. 11月27日の調査でも気象庁の方に一緒に来ていただいた.ここに感謝の意を表明したい. なお,カルデラ南縁の直近(C2-1区域)への立入には保安要員の同行が必要であり,カルデラ内部(C1区域)は未だ一切立入禁止である.

DSCN2321s.JPG 坪田付近の地面には1cm程度の小石がたくさん落ちているが,これらはほとんど2000年8月18日 噴火の際に空から降ってきたものである. 本質岩片(噴火に関与したマグマ物質)も2〜3割程度含まれていると見られる. (三宅島南東部,坪田港;2001/11/28, 9:04)

DSCN2324s.JPG 泥流によって寸断された林道雄山環状線(鉢巻道路).以前は黄色線のように道がつながっていたが,もはや徒歩でも通行不能になっていた.(三宅島北東部,"鉢巻道路"と"林道三の宮線"との交差点付近;2001/11/28, 9:49)

DSCN2358s.JPG 2000年噴出物の堆積構造調査の様子.一帯は主に8月18日噴火と8月29日噴火の堆積物によって原地形面が覆われている.調査の際には,泥流堆積物(2次的な堆積物)と噴火堆積物をまず判別し,それから噴火堆積物について詳しく調査する.多数の地点で観察を繰り返し,各層の対比,層厚変化,粒度,堆積構造などを調べると共に,試料採取を行なう.写真の地点では,sortingのよい細粒の火山灰層と,sortingの悪いレキ混じりの火山灰層とが見られた.前者は降下火山灰,後者は火砕流/火砕サージ堆積物と考えられる.(三宅島北東部,"鉢巻道路"と"林道三の宮線"との交差点付近;2001/11/28, 14:59)

DSCN2391s.JPG 三宅村ふれあい広場の様子.この一帯には2000年8月18日噴火のときに多数の噴石が落下した.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 10:01)
DSCN2389s.JPG インパクトクレーター.2000年8月18日噴火の際に吹き飛ばされた岩塊が地面に激突した際に形成されたもの.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 10:00)
DSCN2394s.JPG 噴火堆積物と泥流堆積物で埋められた広場.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 10:06)
DSCN2397s.JPG 火災で焼け落ちた畜産展示資料館.火災は高温の噴出物によって引き起こされた可能性もあるが,詳細は不明.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 10:16)

DSCN2403s.JPG DSCN2405s.JPG 2000年8月18日噴火の本質岩塊,通称「カリフラワー状火山弾」.もこもこした表面が特徴的.左は掘り起こす前.右は掘り起こした後.掘り起こすと,地面に埋まっていた部分は赤くなっているのが分かる(伊藤順一氏のページ).これは,火山弾が落下した時にはまだ充分高温であったため,地面に埋まっていた部分がゆっくり冷える間に高温酸化して赤くなったものと考えられる.火山弾に敷かれていた火山灰層も赤く焼けている.ちなみに,本質岩塊以外の岩片を掘り起こしてみても赤くなっていない.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 11:30〜11:32)

DSCN2420s.JPG 噴石の落下状況.長径10cm以上の岩片だけに限っても,10m四方当たり100個以上落下していた.(三宅島西部,雄山中腹の三宅村ふれあい広場;2001/11/29, 12:30)


3.三宅島調査環境,特に「はまゆう丸」と「クリーンルーム(クリーンハウス)」について

DSCN2168s.JPG 連絡船「はまゆう丸」.2001年11月当時,三宅島と神津島との間は本船によって結ばれていた.三宅島入島許可書が無ければ乗船できなかった.(神津島多幸湾にて;2001/11/26, 11:20)
DSCN2178s.JPG 三宅島三池港に入港直前の「はまゆう丸」.強い西風のために阿古港(島の西部)に接岸できず,風下の三池港に到着が変更になった.しかし,風下ということは雄山からの火山ガスの直撃を受けるということでもある.(三宅島東部,三池港付近;2001/11/26, 13:28)

DSCN2210s.JPG 島内作業のために短期滞在するスタッフ用の簡易宿泊施設. 三宅支庁第2庁舎の会議室に簡易ベッドが12床置かれている. なお,島内常駐者は別の施設に寝泊まりしている.
DSCN2211s.JPG 三宅支庁第2庁舎は通称「クリーンルーム(クリーンハウス)」と呼ばれている.なぜなら,火山ガス中に含まれる有毒な二酸化硫黄や硫化水素を除去するための脱硫装置(外気から二酸化硫黄等をフィルターで除去してクリーンな空気にして室内に送る装置)が備えられているからである.窓枠には目張りがされている.
DSCN2226s.JPG クリーンルーム(三宅支庁第2庁舎)外観.2001年7月に工事が完了した.


4.おまけ

DSCN2454s.JPG 船上から見る夕陽.(浦賀水道を北上中の神津島発-東京(竹芝桟橋)行き「さるびあ丸」船上より;2001/11/30, 16:24)

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独立行政法人・産業技術総合研究所・地球科学情報研究部門 東宮昭彦
  http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/tomiya.html

Created:Dec.,3,2001