産業技術総合研究所   地質調査総合センター

三宅島空撮:2000年12月13日

                   by A.Tomiya (2001/01/30改訂)
現在,気象庁のアレンジにより,毎週月・水・金の3回,三宅島の上空にヘリコプターを飛ばしており,
大学および地質調査所(※)のスタッフがこれに搭乗して観測にあたっています.
原則的に,月・水は警視庁,金は消防庁のヘリが飛んでいます.

(※) 地質調査所は2001年4月より「産総研 地質調査総合センター」に組織改編しました.
  また,2001年9月現在,ヘリ観測頻度は週に1回となっています.(2001/9/25補足)


ここでは,12月13日に東宮により撮影された写真の一部を公開いたします.
写真をクリックするともっと大きな写真(40-120KB程度)が御覧いただけます.
なお,写真の無断2次使用は御遠慮下さいませ.

<データ>
観測時間  :2000年12月13日(水) 10:00〜10:55(三宅島付近の滞空時間)
ヘリコプター:警視庁「おおとり3号」
搭乗研究者 :大島・金子(隆)(東大),東宮(地調)

  9:05 東京ヘリポート離陸
 10:00 三宅島上空到着(観測開始)
 10:55 三宅島上空出発(観測終了)
 11:15 新島空港着陸(給油・休憩)
 11:47 新島空港離陸
 12:38 東京ヘリポート着陸


DSCN0445s.JPG 相変わらず大量の火山ガスが放出されている.この日は強い西風に流されて噴煙はほぼ真東(三池方面)にたなびいていた.赤場暁上空より10:05撮影.

DSCN0447s.JPG 陥没火口(カルデラ)の中はガスが立ち込めているため霞んでいて良く見えない.見えている池はスオウ穴の池.10:07撮影.

DSCN0459s.JPG 火口の南東側より眺めた純白の噴煙.主成分は水蒸気であり,火山灰はほとんど含まれていない模様.遠景の島は新島.10:15撮影.

DSCN0471s.JPG 雄山南麓のレストハウス付近の様子.泥流が通り過ぎた跡が見える.10:22撮影.

DSCN0474s.JPG 陥没火口内部の様子.霞んでいるものの,内壁の構造が見える.10:24撮影.

DSCN0477s.JPG 陥没火口内部(火口底の南寄り)に形成された火砕丘.現在最も活発に噴煙を上げている火口である.その近辺からも小さな噴煙が多数立ち上っている.10:25撮影.

DSCN0478s.JPG スオウ穴.かつての小火口の跡.その一部はすでに陥没火口の中に崩落している.10:25撮影.

DSCN0482s.JPG 陥没火口の北西縁付近.木は枯れ地面には無数のガリー(浸食によってできた小さな谷)が発達している.10:29撮影.

DSCN0483s.JPG 東側から眺めた噴煙.ときどきパルス状に噴煙が高く登ることがあった.10:30撮影.

DSCN0484s.JPG 陥没火口底の北半分の様子.大きな池が1つと小さな池が2つ見えている.このうち小さな池2つは数日後に起きたカルデラ壁の小崩壊によって埋められた.10:30撮影.

DSCN0485s.JPG 陥没火口の南東縁付近.10:31撮影.

DSCN0486s.JPG 再びスオウ穴のアップ.10:31撮影.

DSCN0488s.JPG 北側から眺めた雄山.10:33撮影.

DSCN0490s.JPG 島の北岸にある大久保浜付近.岸壁が錆だらけになっているのは酸性の火山ガスによるものか.写真右端のオレンジ色の四角い目印は最近作られたヘリポート.10:34撮影.

DSCN0494s.JPG 南側から眺めた雄山.陥没火口の西側(写真左側)がギザギザしているのが目を引く.手前には1983年噴火の溶岩流が黒い帯のように見えている.10:37撮影.

DSCN0499s.JPG 西側から見た陥没火口の西縁.ギザギザしている.10:44撮影.

DSCN0500s.JPG 南東から見た雄山.白煙(水蒸気主体の噴煙)は斜上方〜ほぼ水平に流されていくが,青白い火山ガス(二酸化硫黄等)は斜面に沿って流れ下っているのが分かる.10:55撮影.

DSCN0501s.JPG 噴煙は海へ.写真の左端に三宅島空港が見えている.10:55撮影.

DSCN0502s.JPG 海に出た後も,噴煙はどこまでも漂っていく.10:55撮影.

DSCN0508s.JPG 今回搭乗した警視庁のヘリ「おおとり3号」.13名乗り.最大速度260km/H.新島空港にて11:19撮影.

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1.概況
天気は晴.高度5000〜6000ft前後に多少雲があったが,それ以下の高度で飛行すれば
観測に支障はなかった.
三宅島上空は強い西風.このため,噴煙はほぼ真東(三池方向)に遠方までたなびく.
噴煙はカルデラ(※)リムからほとんど上に上がらず,高度は900〜1000m程度.
これは最近にしては低いとのこと.

(※)ここでは,2000年に出現した直径約1.4kmの陥没口のことを便宜上“カルデラ”
  と呼ぶことにする.火山学上は直径2km以上にならないとカルデラとは呼ばない
  ことになっているが,雄山の“カルデラ”の中には今や火口(火砕丘)が形成さ
  れており,“火口底”と呼ぶと混乱すると思われるからである.

2.噴煙
例によって,噴煙は純白で濃密なもの(水蒸気主体)と青白く霞むもの(ガス)
とに分かれている.
「純白な方」は,カルデラ底南部の火口(主に2ケ所)からもくもくと上昇し,
カルデラリムの高さに達するとほぼ水平に東方に流れていく.
“もくもく”にはパルス状の強弱がしばしば現れ,
特に活発なパルスのときは噴煙高度が一時的に1200mかそこらに達することがある.
一方「青白い方」は,火口から出た後は一旦カルデラの内部に滞留・充満し,
それがカルデラリムから溢れるように流れ出しているように見える.
溢れた後は斜面に沿って流下し,海上に出た後も海面に沿って這うように漂っていく.

3.カルデラ底・カルデラ壁
濃密なガスと噴煙が立ち込めているため,視界は非常に悪い.特に南半分は絶望的.
(金子隆之さんはレーザー測距による火口の深さの測定をする予定であったが,
 視界が悪いため断念した.)
北側には大きな池が1つと小さな池が2つ見えた.水の色は土色.
カルデラ壁には目立った崩壊跡は見られないが,壁の足元の方では崩壊が進んでいる
らしい(大島さん談).
スオウ穴の池はまだ残っていた.水の色は土色.かつての赤みはほとんどない.

4.山麓・山腹
一周道路沿いでは新たな泥流の跡などは見当たらなかった.
新たな降灰もほとんどなさそうである.
カルデラに近い山腹では樹木は枯れて荒廃している.ガリーも発達している.
(このあたりについては最近あまり変化はないようである.)

参考:飛行コースについて
飛行コースは,島の東部(噴煙)を避けるように,“C”の字を往復する形をとった.
つまり,カルデラを巡るように,北東→北→西→南→南東→南→西→北→北東,
という具合に往復し,それを高度を変えつつ4往復半行なった.
はじめは6000〜5200ftで入り(雲の上だった),それから約3600ft,約2900ft,
そして約2400ft(カルデラリムとほぼ同じ高さ)といった感じで飛んだ.
飛行中は窓を締め切っていたこともあり,ガス臭はまったくしなかった.

以上
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12月20日の空撮写真 を見る.
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Created:Dec,13,2000