産業技術総合研究所   地質調査総合センター

三宅島2000年8月18日噴火(速報)

                   by A.Tomiya (2000/08/31, 18:20改訂)
8月18日,三宅島2000年噴火の一連の活動の中でこれまで最大の爆発が起きました.
噴煙は最高15000m以上まで上がった(アジア航測・藤田さんのページ)とのことです. [リンク先修正: 2004/2/24]

地質調査所ではこのときの噴出物の詳細な分析を行なっています.
以下では,その結果の一部を示します.
(試料採取=高田・伊藤;火山灰・火山礫の観察=東宮・斎藤・星住・川辺ほか;火山弾の観察=高田・伊藤・星住・川辺・東宮・斎藤ほか)


A. 火山灰

818ash
8月18日に噴出した火山灰(150-250μmサイズ)の実体顕微鏡写真.阿古集落の北700m外周道路にて8月19日採取.メッシュ(網目)間隔は150μm. 7月14日噴火と同様に,黒色の新鮮な発泡ガラス(Myk2000g2-typical型)がたくさん入っています.

7月14日火山灰に関して行なった分類を用いれば以下の通り:
黒色で光沢のある破片=typical型(微結晶入り発泡ガラス);白っちゃけた破片・赤〜黄色の破片=altered型(変質岩片);灰色でくすんだ破片=古い溶岩のかけら?;ごま塩状の破片=clot型(結晶集合体);透明な破片=斜長石結晶片,まれにglassy型

818typical
8月18日のMyk2000g2-typical型の反射電子像(BEI)写真. これまでに比べて若干発泡度が良い(気泡が大きい)ですが,これは噴火の勢いが強かったことと整合的です.
マグマ起源(本質物)と考えられる「Myk2000g2-typical型」と同様の特徴を持っており,本質物と考えられます.
なお,7月に比べると石基の微結晶の結晶度が高くなりガラス部分がほとんどなくなっているように見えます.また,磁鉄鉱の微斑晶も非常に少なくなっているようです.
818scoria
8月18日火山灰に含まれる“スコリア片”の実体顕微鏡写真(写真提供=地調・斎藤元治).阿古集落の北700m外周道路にて8月19日採取.写真の横一辺は約10.8mm.写真をクリックすると上段の左から2番目の粒子の拡大が得られます.この“スコリア片”も,マグマ起源(本質物)と考えられる「Myk2000g2-typical型」と同様の組織を持っています.

B. 火山礫(レキ)

818lapilli
8月18日に降下した火山レキの写真(写真提供=地調・斎藤元治).阿古集落の北200m外周道路にて8月19日採取.多くの火山レキは山体のかけら(異質岩片)でしたが,一部に表面がモコモコしているものがあり注目されています(写真).写真をクリックすると右から2番目の粒子の拡大が得られます.これらのモコモコしたレキは,"cauliflower bomb"もしくは"cored bomb"(地調・川辺)と考えられます.
これらを分析したところ,上記のスコリア片と特徴が一致し,本質物と考えられることが分かりました.
また,この火山レキは,噴火の末期(大量の火山灰の降下がほぼ終わった後)に降りました.

C. 火山弾

818bomb-1 818bomb-2
8月18日に飛来した火山弾の写真.村営牧場にて8月21日採取.表面がモコモコした“カリフラワー状”を呈する"cauliflower bomb"です.
右側の火山弾は表面に付着していた火山灰を洗浄していない状態のものですが,割れ目の奥の火山灰は酸化して赤くなっており,飛来時に火山弾の内部は高温だった(数百度以上)ことを示します.
なお,最近の地質調査所の調査によって,この酸化が確かに今回の噴火時に起きたことが分かりました.(過去の噴火で出来た火山弾が2次的に飛ばされたのではない.)
写真をクリックすると拡大画像が得られます.
この火山弾を分析したところ,上記のスコリア片および火山レキと特徴が一致し,本質物と考えられることが分かりました.

818bomb-1b
上の2つの火山弾のうち,左側のものをカットした断面. 底面がつぶれてグンニャリと変形している様子が分かります. (パン皮状火山弾よりは柔らかく,牛糞状火山弾よりは硬かった,という感じ?) 火山弾が火口から飛ばされ着地した時にまだ完全に固まっていなかったために変形したと考えられ,飛来時に火山弾の内部は高温だった(数百度以上)ことを示します.
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Created:Aug,20,2000