産業技術総合研究所   地質調査総合センター

富士火山のページ

                   by A.Tomiya (2014/8/4改訂)

(Since 2001/01/26)

目次

はじめに
富士火山に関する最近の話題
富士火山の歴史時代の噴火
富士火山関連情報
富士の空撮写真のページ(別ページに飛ぶ)
富士山と吊るし雲のページ(別ページに飛ぶ)

富士山と吊るし雲 富士山と吊るし雲(2003年2月8日東宮撮影)
 → この吊るし雲についての詳細(もう1つの東宮のページ)

はじめに

このページの文責は東宮個人にあります.
その内容は産業技術総合研究所の公式見解というわけではありませんので,お読みの際にはその点ご注意下さい.
また,「 https://staff.aist.go.jp/a.tomiya/ 」以下にある全てのコンテンツの著作権は東宮昭彦に所属します.web掲載された情報は,研究・教育・報道目的に関してはご自由に(事前の承諾無しに)お使いください.ただし,ご使用にあたっては「産業技術総合研究所 東宮撮影」などと明記していただくとともに,事後で構いませんので東宮までご連絡下さいますようお願いいたします.著作物使用許諾に関してご不明な点がありましたら,産総研 地質調査情報センター までお問い合わせ願います.

本ページの内容は,富士山に関する紹介記事を中心とし,今のところ東宮のオリジナルデータは含まれておりません.
富士山の噴火についての詳細は,静岡大学・小山真人氏産総研・高田亮氏といった富士山の専門家にお尋ねになるのが良いかと存じます.
また,火山や地震等に関する一般的なご質問については, 地質相談所(地質標本館)または 火山学者に聞いてみよう!(日本火山学会)を御利用下さい.


富士火山に関する最近の話題

富士山では2000年秋に「低周波地震」が急増しました(防災科学技術研究所の観測による).低周波地震とは,ふつうの地震に比べて揺れの周波数が低い(=揺れの周期が長い)タイプの地震のことです.活火山付近の低周波地震は地下のマグマの動きによって起こると考えられていることから,富士山の地下でマグマの活動が活発化したためとは言えそうです. ただし,マグマの上昇をとらえるような証拠が見つからなかったことから,噴火が切迫しているとまでは言えませんでした. 2001年4-5月頃と9月上旬にも同様に低周波地震の活発化がありました.
2011年3月15日には,東北地方太平洋沖地震 (2011年3月11日) に誘発されるように,富士山のほぼ直下で大きな地震(静岡県東部地震,M6.4(暫定))がありましたが,火山活動には特に変化がありませんでした.

☆新組織:山梨県に「富士山科学研究所」 (2014/4/3掲載)
2014年4月1日,旧・山梨県環境科学研究所が改組され,「富士山科学研究所」となりました. 初代所長には,火山噴火予知連絡会長の藤井敏嗣氏が就任しました.
→ 富士山科学研究所

ちなみに,同4月1日,産総研でも新部門「活断層・火山研究部門」が設立され,火山研究者のほとんどがこの新部門に移りました.
→ 新部門設立について(ニュース:平成26年度 研究推進組織の設立について)

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☆新刊:富士山噴火をテーマにした本「昼は雲の柱」 (2006/12/3掲載→2014/4/3改訂)
富士山噴火をテーマにした小説「昼は雲の柱」が出版されました.
著者は,火山小説「死都日本」や震災小説「震災列島」を執筆した石黒耀氏です.
→その後刊行された文庫本ではタイトルが「富士覚醒」と改められました.
→漫画化もされました.「セクターコラプス −富士山崩壊−」(後に「富士山崩壊」と改題).

☆新刊:東海地震をテーマにした本「震災列島」 (2004/10/23掲載→2004/11/1改訂→2014/4/3改訂)
富士火山の活動に関しては,来るべき東海地震との連関の可能性がしばしば議論されています.その東海地震をテーマにした小説「震災列島」が最近出版されています.
ちなみに著者は,あの傑作火山小説「死都日本」を執筆した石黒耀氏です.
 → 「震災列島」の書評(個人ページへ飛ぶ)
 → 東海地震と富士山との関係?

☆新刊:新しい火山の本「火山 −噴火に挑む−」が刊行されました (2004/3/10掲載→2014/4/3改訂)
新しい火山の本,「火山 −噴火に挑む−」(丸善)が2004年2月に刊行されました.
最近10年ほどの間に社会的に話題となった4つの火山(有珠,三宅島,富士,雲仙) を中心に,最新の火山研究成果が紹介されています. 富士火山については第4章で詳しく取り上げられています.
本書に関する詳細は,下記のページをご覧下さい:
 → 「火山 −噴火に挑む−」(産総研地調・火山活動研究推進部会のページ)

☆速報:2003年秋に見つかった富士山の“噴気”は木材の発酵によるものと判明 (2004/3/8掲載)
2003年秋に富士山の東北東斜面で見つかった“ごく弱い噴気”についてですが,その後の調査により,この蒸気の正体は,地下に埋められていた木材が発酵して発熱したために生じた物であると結論されたそうです.つまり,火山活動とは無関係の現象だったということになります.

<関連記事>
・<富士山>噴気は土中の枝葉が発酵 山梨県(毎日新聞 2004/3/5)
・噴気、実は木材の発酵=富士山の活動と勘違い−山梨(時事通信 2004/3/5)
・富士山噴気は木材の発酵 建設業者が不法処理(共同通信 2004/3/5)
・倒木発酵し水蒸気、火山活動とは無関係 富士山中腹噴気(朝日新聞 2004/3/5)
・富士山噴気は木材の発酵 業者が不法に埋設 「火山活動とは無関係」と県 原状回復を勧告(山梨日日新聞社 2004/3/6)

 → 2003/9/26に本項に掲載された噴気に関する速報

☆速報:2004年1月27日,火山噴火予知連絡会で富士山の現況についての報告 (2004/2/20掲載)
2004年1月27日に気象庁で開かれた第97回火山噴火予知連絡会において,富士山についても報告がされました. 気象庁発表の「全国の火山活動について」(報道発表資料)による富士山の概況は次の通りです:

☆速報:雑誌「地質ニュース」で富士山の特集 (2004/1/26掲載→2004/1/27改訂→2014/4/3改訂)
最近発行された雑誌「地質ニュース」の最新号(=2003年10月号および11月号の2冊:実際に発行されたのはどちらも2004年1月)において,富士山の特集が組まれています.富士山ハザードマップの解説,富士山の活動の歴史,富士山の高さにまつわる意外な話,全国各地にある富士山,などなど,おもしろくて分かりやすい記事が多数掲載されています.
・「地質ニュース」2003年10月号:特集:富士山 I
・「地質ニュース」2003年11月号:特集:富士山 II

雑誌「地質ニュース」の記事はPDFで公開されています.下記のページをご覧下さい:
https://www.gsj.jp/publications/pub/chishitsunews/news-contents.html(産総研・地質調査総合センターのページ)

☆これ以前の速報(バックナンバー)
2003年以前の速報


富士火山の歴史時代の噴火

富士山の噴火に関すると思われる古文書の記録は多く残されていますが, 中には信頼性に疑問のある記述もあって混乱の元となっています. 一般には,歴史時代に少なくとも16回の噴火があったなどとされてきましたが, 「本当の回数が何回であるのか」はまだ議論の余地があるようです.
1990年代に入ってから,つじ氏や小山氏を初めとして,史料に立ち返って噴火記録の信頼性を吟味するという研究が進展し,富士山の歴史時代の噴火史は塗り替えられようとしています. 例えば,これまで列挙されていた噴火記録のいくつかはその実在が疑わしいこと,噴火を休んでいる間にも噴煙が出続けていた時期が長かったことなどが,つじ氏の研究等により分かってきました.

下記の表は,「理科年表」に列挙されている噴火記録をベースとしつつ,富士火山地質図(地質調査所),宮地直道(1988),つじよしのぶ(1992),小山真人(1998)といった最近の研究結果をも反映して作成したものです(各文献については富士火山関連情報を参照).
特に,小山真人氏@静岡大の研究成果については,実に詳細なものが小山さんのページにおいて公開されていますので,ぜひ御覧になってみて下さい.

<表:富士火山の歴史時代の噴火> ……本表は2006年当時の知見に基づいており,その後の新発見などはまだ反映されておりませんので,ご了承願います.
リストアップされているものの中には実在が疑わしい噴火もある(備考欄に明記).
確実と思われる噴火は9〜11回といったところ.(富士山ハザードマップ検討委員会・中間報告によれば,「確かな噴火記録だけでも781年以降10回の噴火が確認されている」.)
特に大きい噴火は,延暦(800),貞観(864),宝永(1707)の3回である(表中,太字で表示).

(※)噴火年名称備考
 781天応の噴火テフラの放出
 800〜802延暦の大噴火大量のテフラの放出と溶岩の流出.この噴火の影響により,足柄路が一時放棄され,新たに箱根路が開かれる契機となった.なお,つじ(1992)では800(〜801?)と802の2つの噴火に分割し,802は東斜面(小富士)の側噴火としている.
? 826 実在が疑わしい
+ 834〜848の間 つじ氏の新説.山頂からの軽石噴火? しかし,小山氏のように神津島火山の噴火(838)に対比すべきか.
 864貞観の大噴火北西斜面(現「長尾山」)の側噴火.大量の溶岩流が噴出.このとき流出した「青木ヶ原溶岩」によって当時の「せの海」の一部が埋め立てられ,西湖と精進湖に分離した.(注:本栖湖と精進湖との間は,貞観噴火よりも前から既に分断されていた.)
? 870 実在が疑わしい
? 932 実在が疑わしい
 937承平の噴火北西斜面の側噴火.溶岩噴出.
?-952 実在が疑わしい
?-993 実在が疑わしい
 999長保の噴火南斜面の側噴火
? 1017 実在が疑わしい
 1033長元の噴火南斜面の側噴火.溶岩噴出.
 1083永保の噴火小噴火
?-1435永享の噴火小山氏によれば“噴火したと考えたほうがよいだろう”
? 1511永正の噴火小噴火.北斜面(鎌岩付近)の側噴火.溶岩噴出.
+ 1560 小山氏によれば“存在は疑わしい”.富士火山地質図で1566となっているものか?
+ 1700 実在が疑わしい
 1707宝永の大噴火南東斜面(現「宝永火口」)の側噴火.大量の軽石とスコリアを放出.山麓で大被害.江戸でも大量に降灰.宝永地震(1707)と連動か.
 1854(安政の噴火?)黒煙や火の目撃談があるが,噴火の有無には議論あり.もし実在ならば安政東海地震(1854)と連動か.

(※) 噴火年に付されている記号の意味は次の通り:
? = 理科年表において"?"印が付けられているもの.
+ = 理科年表に無く つじ(1992) にあるもの.
- = 理科年表にあり つじ(1992) に無いもの.


富士火山関連情報

☆他の火山のページ☆
 ●有珠火山について
 ●三宅島火山について
 ●浅間火山について


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 活断層・火山研究部門 マグマ活動研究グループ 東宮昭彦
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Created:Jan,26,2001