産業技術総合研究所(産総研)   地質調査総合センター(地調)

浅間火山のページ

                   by A.Tomiya (2009/5/28改訂)
目次

はじめに
浅間山2009年噴火情報
浅間山2008年噴火情報
浅間山2004年噴火に関する最近の話題
浅間山2004年噴火の概要(推移)
2004年9月1日噴火はどんな噴火だったのか?
2004年9月1日噴火で飛んできた/降ってきたもの
2004年9月1日噴火の音
2004年噴火に関して出された気象庁の火山観測情報
浅間火山関連情報(リンクなど)


つくばから見た浅間山 (2004/9/14)
浅間山の「2004年9月14日15時36分噴火」により放出された火山灰が漂うのをつくばから見た様子:
浅間山は,つくばから直線距離で約150km離れていますが,条件に恵まれたときに見えることがあります.写真は,2004年9月14日17:58頃につくば市(産業技術総合研究所)から見た浅間山,および漂う火山灰(と思われるもの)です.

はじめに

このページの文責は東宮個人にあります.
その内容は産業技術総合研究所の公式見解というわけではありませんので,お読みの際にはその点ご注意下さい.
また,「 http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/ 」以下にある全てのコンテンツの著作権は東宮昭彦に所属します.web掲載された情報は,研究・教育・報道目的に関してはご自由に(事前の承諾無しに)お使いください.ただし,ご使用にあたっては「産業技術総合研究所 東宮撮影」などと明記していただくとともに,事後で構いませんので東宮までご連絡下さいますようお願いいたします.著作物使用許諾に関してご不明な点がありましたら,産総研 地質調査情報センター 地質情報整備室(TEL:029-861-3601)までお問い合わせ願います.

なお,東宮は浅間山の専門家と言うわけではありませんので, 浅間山の噴火についての詳細は,早川由紀夫氏(群馬大学),荒牧重雄氏(リンク先は日本大学;現在は山梨県環境科学研究所所長),安井真也氏(日本大学),高橋正樹氏(日本大学)といった浅間山の専門家にお尋ねになるのが良いかと存じます.

火山や地震等に関する各種ご質問・お問い合わせについては,
地質相談所(産総研 地質標本館)または
火山学者に聞いてみよう!(日本火山学会)を御利用下さい.


<浅間山2009年噴火情報>

☆噴火:2009年5月27日にごく小規模な噴火. (2009/5/28掲載)
2009年5月27日01:41頃,浅間火山でごく小規模な噴火がありました. 浅間山での噴火の発生は5月3日以来です.
この噴火による噴煙の高度は火口縁上600m,山麓での降灰は確認されていません.

☆噴火:2009年4月30日・5月3日にごく小規模な噴火. (2009/5/2掲載→5/28改訂)
2009年4月30日20:02頃,浅間火山でごく小規模な噴火がありました. 浅間山での噴火の発生は4月14日以来です.
この噴火による噴煙の高度は火口縁上500m,山麓での降灰は確認されていません.
また,5月3日03:20頃にもごく小規模な噴火がありました. 噴煙の高度は火口縁上400m,山麓での降灰は確認されていません.

☆噴火:2009年4月14日にごく小規模な噴火. (2009/4/16掲載)
2009年4月14日07:32頃,浅間火山でごく小規模な噴火がありました. 浅間山での噴火の発生は3月15日以来です.
この噴火による噴煙の高度は火口縁上400m,山麓での降灰は確認されていません.

☆レベル:噴火警戒レベルを2に引き下げ. (2009/4/9掲載)
2009年4月7日,浅間山の噴火警戒レベルがそれまでの「3」(入山規制)から「2」(火口周辺規制)に引き下げられました. これにより,火口から2km以内まで立ち入りが可能になりました.

 → 噴火警戒レベルとは(気象庁サイト)

☆噴火:2009年3月15日にごく小規模な噴火. (2009/3/17掲載)
2009年3月15日23:48頃,浅間火山でごく小規模な噴火がありました. 浅間山での噴火の発生は2月17日以来になります.
この噴火による噴煙の高度は火口縁上200mと低く,山麓での降灰は確認されていません.

☆噴火:2009年2月16日・17日にごく小規模な噴火. (2009/2/18掲載→2/23改訂)
2009年2月16日13:00頃,浅間火山でごく小規模な噴火がありました.
16日は,16:35頃にもごく小規模な噴火がありました.この噴火で,山頂火口の東側山麓でわずかな降灰が確認されています.
さらに翌17日の18:33頃にもごく小規模な噴火がありました.
いずれの噴火も爆発的なものではなく,灰混じりの噴煙をもくもく上げるタイプ(灰噴火)のようです.
浅間山では大量の火山ガス放出に伴う噴煙活動が活発に続いており,その中でときどき咳き込むように火山灰を噴き出している(=灰噴火),というのが現在の状態ということになりましょう.
18日以降しばらく噴火が見られませんが(2月23日現在),火山ガスの活発な放出は続いており,当面は目を離せない状況です. 火山ガス放出量は,二酸化硫黄の量で1日当たり3000-4000トンに達します. これは最近の三宅島や桜島の放出量より多く,浅間山は現在日本で最も火山ガス放出量の多い火山になっています.

☆噴火:2009年2月9日から12日にかけて,ごく小規模な噴火. (2009/2/9掲載→2/10,12,13,18改訂)
2009年2月9日午前7:46頃,浅間火山でごく小規模な噴火があり,10:15頃まで継続しました.
その後,同日(9日)11:30頃より再度ごく小規模な噴火が始まり,12日8時頃まで継続しました. この間,噴煙高度は火口縁から数百mで推移しましたが,9日17:08や11日02:50には火口縁上1000mに達しました.
これらの噴火により,火口から東側の軽井沢町などで微量の降灰が確認されています.
監視カメラ映像を見た感じでは,今回の噴火は爆発的なものではなく,灰混じりの噴煙をもくもく上げるようなタイプ(灰噴火)のようです.
12日は,8時に一旦治まった後も,夕方から夜にかけ断続的にごく小規模な噴火が起こりました.

☆噴火:2009年2月2日未明,小規模な噴火. (2009/2/6掲載)
2009年2月2日午前1時51分頃,浅間火山が噴火しました.浅間山で噴火が確認されたのは2008年8月以来です.
噴火は小規模なものでしたが,強い北西風に乗って火山灰が東京都を含む南関東まで達しました.なお,火山灰の分布範囲は細長く伸びており,この分布範囲から東西に少し外れた地域や山の北側には火山灰が降っていません.
監視カメラの映像を見ると,噴火が活発だったのは02:00〜02:12頃で,02:01頃と02:08頃にピークがあるように見えます.
この噴火の後,浅間山は小康状態を保っていますが,再び噴火する可能性も考えられ,引き続き注意が必要とされています.

噴火に先立って,「山上がり」の地殻変動(山体の膨張を意味する変動)や地震活動などが観測されたため,気象庁は前日(2月1日)に噴火警戒レベルをそれまでの2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げたばかりでした.その意味で,この噴火の発生は直前にうまく予知されたと言って良いでしょう.
爆発による空振(爆発の衝撃が空気中を伝わるもの)は軽井沢測候所で7パスカルと,2004年の爆発的噴火に比べて小さいものでした.爆発音はほとんど聞かれていないようです.そのかわり,ゴーという地鳴りのような音が多くの人に聞かれています. 参考までに,2004年9月1日の爆発的噴火(ブルカノ式噴火)では約200パスカル(=2ヘクトパスカル)を記録しており,大きな爆発音がたくさんの人に聞こえました.

 

■ 2009年噴火に関する情報

[噴火の観測調査]
浅間火山2009年噴火(産総研地質調査総合センター:火山灰の分布や噴出量など)
2009年2月 浅間山火山活動について(東大地震研:様々な観測データや写真)
浅間山噴火映像−2009年2月2日(月) 未明−(まえちゃんねっと:噴火の迫力ある写真と動画)

[気象庁発表の様々な情報]
噴火予報・警報(主に噴火警戒レベルに関する発令)
火山の状況に関する解説情報(噴火予報・警報以外の情報)
浅間山噴火関連情報(2008年8月〜)(PDFにまとめられた情報など)

[火山灰が降ってきたときの対応]
パンフレット「火山灰から身を守ろう」「降灰への備え」「火山灰の健康影響」(国際火山災害健康リスク評価ネットワーク IVHHN;防災科学技術研究所)
火山灰への備え(産総研地質調査総合センター 宮城磯治まとめ)

[リンク集]
日本火山の会・浅間山関連リンク集(緊急調査報告,マスコミ報道,浅間山の基本情報,観光情報,ほか)

[その他]
火山列島ニッポンで火山の防災力は低下する一方(「記者の目:迫る巨大噴火、低下する防災力=山崎太郎」『毎日新聞』2008年4月16日付;新首都圏ネットワーク)


<浅間山2008年噴火情報>

☆速報:8月14日,またごく小規模な噴火. (2008/8/14掲載)
8月14日07時59分頃,山頂火口でごく小規模の噴火が発生し,噴煙が火口縁上400mまで上がったとのことです.
火山性地震が引き続きやや多い状態が続いており,噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が継続しています.

  → 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第7号(8月14日16時00分発表,気象庁のページ)

☆速報:11日にもごく小規模な噴火. (2008/8/13掲載)
8月10日未明に引き続き,8月11日20時05分頃にも山頂火口でごく小規模の噴火が発生し,噴煙が火口縁上200mまで上がったとのことです.
火山性地震が引き続きやや多い状態が続いており,噴火警戒レベル2(火口周辺規制)が継続しています.

  → 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第5号(8月12日16時00分発表,気象庁のページ)

☆速報:浅間山でごく小規模な噴火.噴火警戒レベルは2が継続. (2008/8/10掲載)
2008年8月10日の午前2時37分頃,浅間山の山頂火口でごく小規模の噴火が発生したとのことです. 浅間山の噴火は2004年12月9日以来のことです.
この噴火で噴煙が火口縁上400mまで上がりましたが,降灰は認められておらず,噴火に伴う空振も観測されていないとのことです.
詳細は気象庁発表の解説情報をご覧下さい.

  → 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第2号(8月10日03時56分発表,気象庁のページ)
  → 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第3号(8月10日16時20分発表,気象庁のページ)

なお,噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)が継続しています.

☆速報:浅間山の火山活動が高まる.噴火警戒レベルを1から2に引き上げ. (2008/8/8掲載→8/10追記)
2008年8月8日15時気象庁発表の浅間山噴火予報・警報第1号において,噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げる,と発表されました(以下に情報を抜粋).

詳細は,下記の火山観測情報のページをご覧下さい.
  → 浅間山 噴火予報・警報 第1号(8月8日15時00分発表,気象庁のページ)
  → 浅間山 火山の状況に関する解説情報 第1号(8月9日16時00分発表,気象庁のページ)

2006年9月に「静穏な状態」と判断された浅間山ですが,再び火山活動が高まりつつあるようです.
なお,2006年に「火山活動度」と呼ばれていたレベル分けは,その後「噴火警戒レベル」に改訂されています. 噴火警戒レベルについての詳細は下記ページをご覧下さい:
  → 噴火警戒レベルとは(気象庁のページ)

“弾道を描いて飛散する大きな噴石”ですが,大雑把には直径10cm程度以上の岩塊が秒速数十m以上の高速で飛んでくる,とお考え下さい.
  → 大きな噴石の弾道飛行のイメージ


<浅間山2004年噴火情報>

☆速報:浅間山の火山活動は静穏な状態に.火山活動度レベルを2から1に引き下げ. (2006/9/22掲載)
2006年9月22日14時の浅間山火山観測情報第38号において,火山活動度レベルを2(やや活発な火山活動)から1(静穏な火山活動)に引き下げる,と発表されました(以下に情報を抜粋).

また,これにより火口から500mまでの立ち入りが可能になりました.
詳細は,下記の火山観測情報のページをご覧下さい.
  → 浅間山火山観測情報 第38号(気象庁のページ)

☆速報:2005年6月21日,火山噴火予知連絡会で浅間山の火山活動に関する統一見解.火山活動度レベルを3から2に引き下げ. (2005/6/22掲載)
2005年6月21日に気象庁で開かれた第101回火山噴火予知連絡会において,浅間山の火山活動に関する報告・議論が行なわれ,「浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解」が発表されました.それによると,

などとされています.詳細は,下記の統一見解のページをご覧下さい.
  → 浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解(火山観測情報第175号;気象庁のページ)

☆速報:2005年2月23日,火山噴火予知連絡会で浅間山の火山活動に関する統一見解 (2005/2/23掲載)
2005年2月23日に気象庁で開かれた第100回火山噴火予知連絡会において,浅間山の火山活動に関する報告・議論が行なわれ,「浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解」が発表されました.それによると,

などとされています.詳細は,下記の統一見解のページをご覧下さい.
  → 浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解(火山観測情報第57号;気象庁のページ)

☆速報:2005年2月21日17時頃から一時的にわずかな山上がりの変化と地震回数の増加,その後は元に戻る (2005/2/22掲載→2/23改訂)
気象庁の火山観測情報第55号(23日09時00分)より抜粋します:

参考までに,「山上がり」とは,山が膨張するセンスを意味し,山体内部の圧力が高まった徴候と見られます.
また「昨年発生した4回の中規模の噴火」は,「中爆発」(ブルカノ式の爆発;噴石が数kmまで飛ぶタイプ)です.
今回の一連の現象に関する火山観測情報は下記の通りです:
  → 浅間山 火山観測情報第53号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第54号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第55号(気象庁のページ)

☆速報:12月9日,ごく小さな噴火 (2004/12/11掲載)
2004年12月9日16時27分にごく小さな噴火がありました. 空振が観測されていないことなどから,ごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと考えられます.
気象庁発表火山観測情報 第172号によれば,
「灰白色の噴煙が火口縁上200メートルまで上がり、北東に流れました」
とのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第172号(気象庁のページ)

☆速報:11月17日・18日,ごく小さな噴火が続く (2004/11/18, 17:20掲載)
11月17日16時49分および18日02時15分に,それぞれごく小さな噴火がありました. 空振が観測されていないことなどから,ごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと考えられます.
気象庁発表火山観測情報 第150号によれば,17日16時49分噴火では火口縁上300メートル,18日02時15分噴火では火口縁上200メートルまで灰白色の噴煙が上がったとのことです.
なお,11月17日に気象庁と東京大学が上空から群馬県防災ヘリで火口内の観測を行ないましたが,火口底の地形には前回(11月10日)と比べて大きな変化は見られなかったとのことです.
浅間山の火山活動度レベルは,依然として「3」(山頂火口で小〜中噴火が発生する可能性がある)です.

  → 浅間山 火山観測情報第150号(気象庁のページ)

☆速報:11月15日・16日,ごく小さな噴火が続く (2004/11/17, 00:15am掲載)
11月15日19時55分および16日15時23分に,それぞれごく小さな噴火がありました. 空振が観測されていないことなどから,ごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと考えられます.
気象庁発表火山観測情報 第148号によれば,15日19時55分噴火では火口縁上200メートル,16日15時23分噴火では火口縁上300メートルまで灰白色の噴煙が上がったとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第148号(気象庁のページ)

☆速報:11月14日20時59分頃,「中規模の噴火」(中爆発)発生 (2004/11/15, 11:30掲載)
浅間山で,11月14日20時59分に中規模の爆発的噴火(中爆発)が発生しました. 観測された「空振」の強さや「噴石」の飛散状況(下記)などから,ブルカノ式噴火であったと考えられます.
なお,今回の爆発の少し前(13日19時頃)から,傾斜計による地殻変動観測でわずかな「山上がり」の変化が観測されており(火山観測情報第141号),爆発の前兆現象であったと考えられます.
以下,気象庁発表の火山観測情報 第144号・第145号より抜粋します:

参考までに,過去4回のブルカノ式噴火と空振の大きさを比較してみると,下記の通りです(軽井沢測候所の空振計による振幅;火山観測情報 7,46,62,87号による). なお,「空振は10パスカルを超えると身体に感じられるようになり、数百パスカルではガラスが割れるなどの被害を生じることがあります」とのことです. (気象庁火山活動解説資料(平成16年9月1日20時02分頃の噴火) より)

  → 「噴石」「火山れき」とは何か?
  → 「山上がり」とは何か?
  → 「空振」とは何か?(日本火山学会「火山学者に聞いてみよう」のページ)

  → 浅間山 火山観測情報第144号(噴火発生;気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第145号(噴火の続報;気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第141号(前兆の観測;気象庁のページ)

☆速報:10月28日04時24分頃に,ごく小さな噴火 (2004/10/28掲載)
気象庁10月28日10時30分発表の火山観測情報第122号によれば,
灰白色の噴煙が火口縁上400メートルまで上がり,南東に流れたとのことです.
空振が観測されていないことなどから,ごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと考えられます. なお,傾斜計による地殻変動観測では依然として顕著な変化は見られないとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第122号(気象庁のページ)

☆速報:火山噴火予知連絡会の関連資料 (2004/10/28掲載)
10月26日に開かれた第99回火山噴火予知連絡会の関連資料がweb上で見られます.
  → 火山噴火予知連絡会会見資料 [PDF形式:4,333KB](気象庁のページ)
  → 火山噴火予知連絡会に産総研地調が提出した資料 (産総研地調・火山活動研究推進部会のページ)

後者では,「浅間火山2004年9月14-17日噴出火山灰の構成物の時間変化について」が見られます.なお,本報告(構成物の時間変化)における「発泡したガラス片」が,一部機関の発表などで言われている「軽石」に相当します.

☆速報:浅間山火口底が溶岩で覆われる? (2004/10/28掲載)
国土地理院が航空機搭載型合成開口レーダ(航空機SAR)で10月22日に観測したところによると,浅間山の火口底の溶岩(?)が約210万mに増えて,そのピークの高さは火口外縁の最低所から約70m下まで達したことが分かったとのことです. 詳細は,下記ページをご覧下さい.
  → 浅間山火口底が溶岩で覆われる(国土地理院のページ)

なお,10月22日の観測時点で火口底の地形は中央ほど低くなっているほか,10月28日のヘリ観測(火山観測情報 第123号;気象庁ページ)でも火口底は前回観測時(10月1日)より低くなっていると推定されています. このことは,もし火口底を覆うものが溶岩であったとしても,それが現在も噴出し続けているわけではないことを示していると思われます.

☆速報:2004年10月26日,火山噴火予知連絡会で浅間山の火山活動に関する統一見解 (2004/10/26掲載→10/27改訂)
10月26日に気象庁で開かれた第99回火山噴火予知連絡会において,浅間山の火山活動に関する報告・議論が行なわれ,「浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解」が発表されました.それによると,

などとされています.詳細は,下記の統一見解のページをご覧下さい.
  → 浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会統一見解(火山観測情報第119号;気象庁のページ)

上記のうち,山腹で注意すべき「大きな噴石」(あるいは「火山弾」)は,大きさが数十cm以上(場合によっては1m以上)とお考え下さい.これは,火口から直接弾道軌道を描いて「飛んで」来ます.飛来速度は秒速100m(時速360km)以上,山腹まで数十秒で到達します.爆発的噴火の直前予知ができない以上,火口から4km以内に近付くのは危険です.
一方,風下で注意すべき「噴石」(「火山岩塊」と言うべきか)は,大きさは最大でも10cm程度のものです(ちなみに「火山れき」は直径2mm〜64mm,「火山灰」は2mm以下).これらは,火口から一旦上空へ巻き上げられ,風に乗って風下に流されつつ,空から降って来ます.
このように,石の大きさによって振る舞いが違います.これは,大きな石ほど「慣性」(運動の勢い)が大きいため,空気抵抗や風,噴煙の上昇力などの影響を受けにくいことによります.
  → 爆発的噴火で飛んで/降ってくるもの

☆速報:日本火山学会秋季大会で「浅間山2004年噴火」の特別セッション (2004/10/22, 11:20掲載)
10月19〜21日に静岡市で日本火山学会秋季大会が開かれました.浅間山に関しては,21日午後に「浅間山2004年噴火」の特別セッション(ポスターセッション)が行なわれ,約30件のポスター発表がありました(私も共著で1件参加).

  → 日本火山学会のページ

☆速報:10月18日07時36分頃・10時17分頃および19日14時46分に,ごく小さな噴火 (2004/10/18, 13:40掲載→10/19,17:00改訂)
18日07時36分噴火:
気象庁10月18日10時00分発表の火山観測情報第101号によれば,
有色の噴煙が火口縁上500メートルまで上がり、西に流れたとのことです.
18日10時17分噴火:
気象庁10月18日16時15分発表の火山観測情報第102号によれば,
有色の噴煙が火口縁上500メートルまで上がり北に流れたとのことです.
19日14時46分噴火:
気象庁10月19日16時00分発表の火山観測情報第104号によれば,
灰白色の噴煙が火口縁上300メートルまで上がり、南東に流れたとのことです.

1つ目では空振が観測されず,残る2つでも空振は1パスカル未満であることなどから, いずれもごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと思われます. なお,傾斜計による地殻変動観測では顕著な変化は見られないとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第101号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第102号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第104号(気象庁のページ)
  → 同じ“噴火”と言っても……「小噴火」と「中規模の爆発的噴火(中爆発)」

☆速報:10月16日12時06分頃に,ごく小さな噴火 (2004/10/16, 22:50掲載)
気象庁10月16日16時00分発表の火山観測情報第98号によれば,
灰白色の噴煙が火口縁上500メートルまで上がり,南東に流れたとのことです.
空振が観測されていないことなどから,ごく小さな灰噴火(爆発的ではない灰の放出)だったと考えられます. なお,傾斜計による地殻変動観測では依然として顕著な変化は見られないとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第98号(気象庁のページ)

☆速報:10月10日噴火の後,地殻変動が「山下がり」に転じ,現在は変動がほぼ停止中 (2004/10/13, 11:20掲載→10/14, 16:30改訂)
10月10日23時10分の弱い爆発的噴火の後,山体の地殻変動(傾斜計の変化)がそれまでとは反転して「山下がり」(「山上がり」と逆向きの変化)になったとのことです.「山下がり」の傾向は13日昼頃まで続き,その後は顕著な変化が見られなくなっています(14日15時現在).

  → 浅間山 火山観測情報第94号(気象庁のページ)

☆速報:10月10日23時10分に「小規模な噴火」 (2004/10/11, 14:40掲載)
浅間山では,わずかな「山上がり」の変化がしばらく続いていましたが,10月10日23時10分に「小規模な噴火」が発生したとのことです. 空振や火山れきの状況から,弱い爆発的噴火(ブルカノ式噴火)だったと見られます. なお,噴火が確認されたのは,1日17時12分のごく小さな噴火以来です.
気象庁10月11日10時00分発表の火山観測情報第87号によれば,
「23時10分に小規模な噴火が1回発生しました。 軽井沢測候所では爆発音や体感空振は観測されませんでしたが、空振計による振幅は19パスカルでした。」
「山頂の北北東4km付近で、直径約1cmの火山れきが確認されました。」
とのことです.
参考までに,過去3回のブルカノ式噴火(中爆発)と空振の大きさを比較してみると,下記の通りです(軽井沢測候所の空振計による振幅;火山観測情報 7,46,62,87号による).

なお,「空振は10パスカルを超えると身体に感じられるようになり、数百パスカルではガラスが割れるなどの被害を生じることがあります」とのことです. (気象庁火山活動解説資料(平成16年9月1日20時02分頃の噴火) より)

  → 浅間山 火山観測情報第87号(気象庁のページ)
  → 空振とは何か?(日本火山学会「火山学者に聞いてみよう」のページ)
  → 山上がりとは何か?

☆速報:火山噴火予知連の藤井会長が今後の見通しなどを語る (2004/10/8, 18:30掲載)
火山噴火予知連絡会の藤井敏嗣会長(東大地震研究所教授)が,新聞のインタビューに答えて今後の火山活動の見通しなどについて述べています.現時点における的確な判断が示されていると思います.
火山活動の見通しについては,基本的に気象庁の火山観測情報と同様の見解であり,「1日と同程度の中規模噴火や、16日のような連続小噴火の可能性はある」(注:日付けはいずれも2004年9月を指す)とのことです.
このほかにも,噴火予知の可能性について,住民への情報提供に関する問題点,住民が注意すべきこと,など興味深い内容が多いです.

  → ここが聞きたい 火山噴火予知連会長 藤井敏嗣さん(朝日新聞のページ)

☆速報:「中爆発」と呼ぶことに (2004/10/8, 18:30掲載)
気象庁が最近発表した資料(火山活動解説資料 平成16年9月)の表現に合わせ,9月1日・23日・29日の噴火(これまでは“中規模噴火”と呼ばれていた)を「中規模の爆発的噴火」(略して「中爆発」)と呼ぶことにします.同様に,これまで“小規模噴火”と呼ばれていた噴火を「小噴火」と呼ぶことにします.
(なお,中“爆発”と小“噴火”という整合的で無い呼び方になっておりますが,いろいろと事情があってそうなっているようですので,ここでもそのままこれらの用語を使用します.)
  → 火山活動解説資料(平成16年9月) 浅間山(気象庁のページ)

現時点では以下のようにお考え下さい(正確さを欠くかもしれませんがとりあえず):
・中爆発=ブルカノ式噴火(9月1日・23日・29日)
・小噴火=灰噴火(9月14〜16日など)
  → 同じ“噴火”と言っても……「小噴火」と「中規模の爆発的噴火(中爆発)」

本ページのこれまでの記述もこれに従って修正しますが,他の文書からの引用部分については修正いたしません.

☆速報:6日07時頃から傾斜計に変化,同11時頃には元に戻る (2004/10/6, 10:40掲載→ 10/8, 18:30改訂)
10月1日17時12分のごく小さな噴火の後は,8日15時現在まで噴火が観測されていません.
6日07時頃から傾斜計に変化がみられましたが,同日11時頃には元に戻ったとのことです.

気象庁の火山観測情報第76号(6日09時40分)より抜粋:
・傾斜計による地殻変動観測では、6日07時頃からわずかな山上がりの変化がやや大きくなっています。
・同様の変化は、9月1日、9月23日および9月29日の噴火前にも見られました。

同・火山観測情報第77号(6日13時45分)より抜粋:
・11時頃からは07時以前のゆるやかな変化に戻りました。

ここで,「山上がり」とは,山が膨張するセンスを意味し,山体内部の圧力が高まっていると見られます.
また,「9月1日、9月23日および9月29日の噴火」は「中爆発」(ブルカノ式の爆発;噴石が数kmまで飛ぶタイプ)です.

  → 浅間山 火山観測情報第76号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第77号(気象庁のページ)
  → 山上がりとは?

☆速報:噴火の頻度はまた低下.山上がりの変化は継続中.火山活動度レベル3も継続. (2004/10/4, 14:50掲載→10/5,11:00改訂)
10月1日17時12分のごく小噴火の後は,5日10時現在まで噴火が観測されていません. しかし,浅間山の火山活動は活発な状態が続いており,引き続き注意する必要があります.
傾斜計による地殻変動観測では,山上がりの変化が引き続き見られるとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第74号(気象庁のページ)
  → 山上がりとは?
  → 浅間山の「火山活動度レベル」とは?(気象庁のページ)

☆速報:10月1日17時12分,ごく小さな噴火 (2004/10/3, 02:30am掲載)
気象庁10月2日10時00分発表の火山観測情報第68号によれば,
10月1日17時12分,灰白色の噴煙が火口上200メートルまで上がり,北東に流れたとのことです.
また,傾斜計による地殻変動観測では引き続きゆるやかな山上がりの変化が見られるとのことです.

☆速報:10月1日11時18分,ごく小さな噴火 (2004/10/1, 17:00掲載)
気象庁10月1日16時00分発表の火山観測情報第67号によれば,
10月1日11時18分,乳白色の噴煙が火口上200メートルまで上がり,北に流れたとのことです.
(乳白色と白色の違いは微妙だと思いますが...おそらく噴煙中に火山灰がわずかに混じって濁ったような感じに見えた,ということでしょうか.)

また,同火山観測情報によれば,
「傾斜計による地殻変動観測では、昨日昼頃から、ゆるやかな山上がりの変化がみられます」
とのことです.
また,ヘリコプターによる上空からの火口観測も行なわれ,火口底の上昇(今年8月時点に比べて約60m上昇)などが確認されたとのことです.

  → 浅間山 火山観測情報第67号(気象庁のページ)
  → 山上がりとは?

☆速報:9月29日12時17分頃,3度目の「中規模な爆発的噴火」発生 (2004/9/29, 12:40掲載→16:40改訂)
9月29日12時17分頃,9月1日・23日に続く3度目の「中規模な爆発的噴火」(中爆発)が発生しました.
気象庁9月29日12時26分発表の火山観測情報第61号より抜粋します:

12時17分ころ、浅間山が噴火しました。
噴煙の高さは雲のため不明です。
12時現在、浅間山の上空では南南西の風が吹いています。風下にあたる地
域では降灰の可能性があります。
今後の火山活動に十分注意してください。
この噴火で,山頂から4km地点で最大4cmの火山礫が降っています.
また,噴火に伴い,弱い爆発音が軽井沢測候所で観測されています.
爆発による空振の大きさは29パスカルとのことです.
参考までに,3回の「中規模な爆発的噴火」による空振の大きさは下記の通りでした(軽井沢測候所の空振計による振幅;火山観測情報 7,46,62号による). なお,「空振は10パスカルを超えると身体に感じられるようになり、数百パスカルではガラスが割れるなどの被害を生じることがあります」とのことです. (気象庁火山活動解説資料(平成16年9月1日20時02分頃の噴火) より)

  → 浅間山 火山観測情報第61号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第62号(気象庁のページ)
  → 空振とは何か?(日本火山学会「火山学者に聞いてみよう」のページ)
  → 気象庁火山活動解説資料(平成16年9月1日20時02分頃の噴火)(PDF 628KB; 気象庁のページ)

☆速報:28日22時頃から傾斜計に変化 (2004/9/29, 01:15am掲載→9/30,14:55改訂)
浅間山で28日22時頃から傾斜計に変化がみられるとのことです.
気象庁の火山観測情報第58号から抜粋します:

山上がりとは ここで,「山上がり」とは,山が膨張するセンスを意味し(右図),山体内部の圧力が高まっていると見られます(※).
また,「9月1日と9月23日の噴火」は「中規模な爆発的噴火」(ブルカノ式の爆発;噴石が数kmまで飛ぶタイプ)です.

その後,傾斜変化は29日01時頃から一旦やや山下がりになりましたが,06時頃から再び山上がりになり(火山観測情報第59号),29日10時現在も継続中です(火山観測情報第60号).
  → 浅間山 火山観測情報第58号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第59号(気象庁のページ)
  → 浅間山 火山観測情報第60号(気象庁のページ)

(※) 厳密には,「山上がりの変化」は「観測事実」,「山体膨張」は「解釈」 になります.浅間山山麓には傾斜計が1台しかないため,その観測から直接分かることは, 観測地点における傾斜が大きくなったか小さくなったかということだけです. 山体が膨張しているかどうかを確実に言うためには,2台以上の傾斜計が全て山上がりを示すことが必要でしょう.この問題については,近い内に気象庁や大学などが傾斜計をあと3台増設する予定とのことです.

☆これ以前の速報(バックナンバー)
2004年9月27日以前の速報


<浅間山2004年噴火の概要(推移)>

数日程度の休止を挟んで爆発的噴火(ブルカノ式噴火)を繰り返すのが特徴です.
ただし,9月14〜18日に起こった活発で継続的な活動はやや例外的なものでした. 注:“休止”の間も噴煙や火山ガスは出続けており,火山活動としては活発な状態が続いています.太字は比較的重要と思われる活動.

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浅間山は9月1日20:02頃に噴火しました(「中規模な爆発的噴火」).
噴火は単発的な爆発(ブルカノ式)でしたが,噴石(火山弾)が火山の中腹以上の広範囲にかけて飛散したほか,遠く福島県まで降灰が確認されました.

9月9日に火山噴火予知連絡会の拡大幹事会が臨時に開かれ,
“今後も爆発的噴火を繰り返す可能性は否定できません。引き続き火山活動の状態を注意深く監視していく必要があります。”
との見解が発表されました.
 → 浅間山の火山活動に関する火山噴火予知連絡会拡大幹事会見解(浅間山火山観測情報第18号;気象庁のページ)
 → 同・拡大幹事会(2004年9月9日)に産総研地調が提出した資料(産総研地調・火山活動研究推進部会のページ)

9月1日以後しばらく小康状態にあった浅間山ですが,
14日未明(03時28分頃)にごく小さな噴火(有色噴煙の噴出)があり,山麓で微量の降灰が確認されました.
 → 関連する火山観測情報(浅間山火山観測情報第21号;気象庁のページ)
同日(14日)13時31分頃にもごく小さな噴火が発生しました.

さらに,同日(14日)15時36分頃にも小さな噴火(有色噴煙の噴出)が発生しています.このときの噴煙の高さは火口縁上2500メートルに達しましたが,顕著な空振や噴石は観測されていません.つまり,爆発的ではありませんでした.

9月15日に入ってからは小さな噴火が頻発するようになり,16日早朝4時頃から17日18時30分頃にかけては連続的に噴火が起こりました. このときの噴火は,基本的には火山灰を放出し続けるタイプ(灰噴火)でしたが,活発な時には小規模な爆発を伴っていました.特に16日夜(18時40分頃以降)には「赤熱した噴石」(あるいはマグマの飛沫?)を間欠的に火口周辺に飛散させ,見た目にはストロンボリ式ともいえる噴火様式を示しました. 16日から17日にかけての噴火の火山灰は,東京都を含む南関東にも降っています.

その後,噴火の頻度は低下し,18日21時03分以降は23日まで噴火が確認されませんでした.
しかし,火口底にはマグマが到達して盛り上がったような地形が存在し,火映現象(赤熱したマグマなどが雲や噴煙などを照らすこと)が見られるなど,火山活動は依然として活発な状態が続いていました.

約5日間の噴火休止を経た9月23日19時44分頃,9月1日以来2度目の「中規模な爆発的噴火」が発生しました. 空振の観測記録などから,噴火のタイプは9月1日と同様(爆発的;ブルカノ式噴火),噴火の強さは9月1日よりも若干弱い程度と考えられます.
その後,小噴火が2回ほどあり,再度噴火休止期間に入りました.

9月29日12時17分頃,3度目の「中規模な爆発的噴火」が発生しました. 空振の観測記録などから,やはり爆発的なブルカノ式噴火であり,噴火の強さは3回の「中規模な爆発的噴火」の中で最も弱いと考えられます.

10月に入ってからは活動度は低めで推移しているものの,ときどき噴火を起こしています.

★ 同じ“噴火”と言っても……「小噴火」と「中規模の爆発的噴火(中爆発)」

9月14〜16日に頻発し,その後もしばしば起こっている“小噴火”(「小規模噴火」あるいは「ごく小規模な噴火」)は,「有色噴煙の噴出」あるいは「灰噴火」という現象です. 浅間山は普段からもくもくと噴煙(ただし白色)を出していますが,そこへ一時的に火山灰が多量に混じることによって,灰色〜灰黒色に噴煙の色が変化した状態です.一般に大きな爆発を伴いませんので,麓では爆発音は聞こえないか聞こえても弱いものですし,麓までは噴石も飛びません.ただし少量の火山灰が降ってきます.(なお,活動が活発化した16日夜には赤熱した噴石の飛散が確認されており,一時的にもはや灰噴火とは言えない状況になっていました.)

これに対し,9月1日・23日・29日に起こった“噴火”(=中爆発;当初「中規模噴火」と呼ばれていた)は「爆発」です.同じ“噴火”とは呼んでいますが,現象としてはかなり様子が違いますし,こちらの方が危険性が高いです.9月1日に起こった噴火(爆発)については,下記をご覧ください.


<2004年9月1日噴火はどんな噴火だったのか?>

爆発」という言葉が最も良く当てはまるタイプの噴火と言って良いでしょう.
ドーンという単発的な爆発があり,大小様々な岩片(半ば固結したマグマの破片や火口周辺の山体の破片など)を辺りに吹き飛ばしました. 爆発に伴い,大音響と衝撃波(空振)が発生しました. 同時に,もっと細かく砕かれた砕片,すなわち火山灰がもうもうと撒き上がり,噴煙が数千mの高度まで上がりました. 噴火(爆発)として本質的な現象は,1分間程度のごく短い時間で終わっています.

このような噴火を「ブルカノ式噴火」と呼んでいます.その語源は,イタリアのブルカーノ火山がこのような噴火を頻繁に繰り返していたことに依っています. 「ブルカノ式」という名称は,単発的爆発,衝撃波,パン皮状火山弾(後述),などといった「地上で見られる現象」の特徴に基づいて与えられます.
一方,報道などで今回の噴火を「マグマ水蒸気爆発」と呼んでいる例をご覧になったかと思います.この名称は,マグマと水(地下水,湖水,海水など)が急激に接することで起こった爆発に対して名付けられます.こちらは,地上で見られる現象ではなく,「爆発の原因」による分類です(→ マグマ水蒸気爆発について).
つまり,「ブルカノ式噴火」と「マグマ水蒸気爆発(マグマ水蒸気噴火)」とは矛盾する解釈ではありません.ただし,両者は異なる視点によって分類された名称であり,意味合いが違うという点に注意が必要です. (例えば,ブルカノ式ではないマグマ水蒸気爆発はたくさんあります.)

なお,今回程度の規模の噴火(爆発)は,浅間火山では21年ぶりでしたが,桜島火山ではごく普通に(多い年では年間数十回程度)起こっています.

<2004年9月1日ブルカノ式噴火で飛んできた/降ってきたもの>

噴石と火山れき 爆発で吹き飛ばされた岩片(噴石)のうち大きなものは1メートル以上ありましたが,そのような大きなものは火口の近傍(山体中腹まで)に弾道軌道を描いて落ちました. 岩片は高温だったため,夜間の映像では赤熱して(赤く光って)飛ぶのが見えました.また,落下点に燃えやすい草木などがあった場所では,山火事(正確には“高山性矮低木群落の火災”)を引き起こしました(→焼け跡の写真;群馬大・早川氏).映像で中腹に見えていた赤い光はこうした岩片や山火事であり,溶岩流ではありません.
岩片の中には「パン皮状火山弾」と呼ばれる特徴的な形のものがしばしば含まれていました(→噴出物の写真;産総研地調).フランスパンのような固い皮(ひび割れている)を持つパンに似た形のため,こう呼ばれています.これは,岩片の表面はカチカチに固まっていたものの,内部がまだ高温で柔らかかった状態であったことを示しています.内部が発泡して膨らもうとして表面の固い部分を内側から押し割ったため,このような火山弾が出来ました.

一方,撒き上がった噴煙は,上空の風によって北東方向に流されて,遠く福島県まで灰を降らせることになりました. 降った灰の量は,5〜20万トン程度(東大地震研,群馬大)と推定されています.これは,三宅島2000年8月18日噴火や有珠2000年3月31日噴火の数分の1程度の量に相当します.

撒き上がった噴煙の中には,小石程度(ふつう数cm以下)の岩片も含まれており,山から比較的近い地域では灰と一緒に小石も降りました. このように,噴煙と共に一旦空に捲き上がってから灰と一緒に「降って」くる小石を,「火山れき」と呼んでいます(※).
弾道軌道 これに対し,前述の「火山弾」(あるいは「噴石」「投出岩塊」)は,火口から直接弾道軌道を描いて「飛んで」来ます. 噴石の射出速度は秒速100m(時速360km)以上,その到達距離は数kmに及びます. 従って,噴石の方が破壊力・殺傷力が大きく,例えば着地点の地面には落下の衝撃で穴ボコ(衝突クレーターあるいはインパクトクレーター)ができるほどです(→衝突クレーターの写真;群馬大・早川氏).

(※) 厳密には,直径2mm〜64mmの範囲内のものが火山れきと呼ばれます.2mm以下ならば火山灰,64mm以上ならば火山岩塊です. 9月1日の噴火では,火口から4km離れた場所でも約10cmの岩片が見つかっています.

<2004年9月1日噴火の音>

9月1日20:02の爆発(噴火)のときの「音」を,皆さんがどのように聞いたかを集めてみました.[2007/11/8,1例追加]
()の中は,その音が聞こえた場所を示します. 総じて,「ドーン」といった低い音を報告されている例が多いのですが,高い音を報告されている例もいくつかあります.
火口からの距離や方角,観測者のいた場所の地形(遮蔽物の有無),などが関係しているのかもしれません.
私自身はこの瞬間の音を聞いていませんが,おそらくは巨大な大砲(口径が400メートル)を撃ったような音,だったかと思います.
また,音とともに,衝撃(風圧や窓ガラスの振動など)が届いたことも伺えます.この衝撃波(空振)は,火口に近かった建物のガラスを割るほどのものでした.

<2004年噴火に関して出された気象庁の火山観測情報>

9月に出されたものを下記ページの表にまとめました.
http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/asama/volcreport.html


浅間火山関連情報

<産総研による情報>

<その他の情報>(産総研以外のサイトに飛びます)

■2008年噴火について ■浅間山全般の解説や2004年噴火について

<他の火山のページ>


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独立行政法人 産業技術総合研究所・地質調査総合センター
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  E-mail:me-ado
  http://staff.aist.go.jp/a.tomiya/tomiya.html

Created:Sep,20,2000 (ver.1); Sep,2,2004 (ver.2)


(Since 2004/9/2)