3/11地震に伴う

リスク評価と避難についての考察

の途中経過

 

産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門

田中敦子


リスクと避難の考察に関しては、ここ数年の間は離れておりましたが、私自身の研究の経歴の中では長く考察してきたテーマでありますので、今回の地震に伴う原発事故のリスクの実態と避難について考察を始めたところです。


リスクの実態

まず、福島第一から南南西方面の放射線量の推移


グラフに掲載した地点

  1. - 福島第一正門
  2. - 福島第一西門

  3. - 福島第一事務本館北

  4. - 福島県(いわき市平,43km)

  5. - 茨城県(北茨城市, 72km)

  6. - 茨城県(大子町, 91km、山かげ側)

  7. - 茨城県(東海村, 原子力科学研究所, 114km)

  8. - 茨城県(水戸市石川町, 130km)

  9. - 茨城県(つくば市, 産総研3階ベランダ, 170km)

  10. - 茨城県(つくば市, 産総研 駐車場, 170km)


データソース

東京電力:福島第一・第二原子力発電所モニタリングによる計測状況

福島県庁:県内7方部 環境放射能測定結果(暫定値) (福島県いわき市)

茨城県庁:茨城県の放射線量の状況(茨城県北茨城市、大子町、水戸市石川町)

産業技術総合研究所(AIST):つくばセンター放射線測定結果(つくば市)

文部科学省:東北地方太平洋沖地震関連情報(東海村)


グラフに関連して、

大子町は福島県から見て、山かげに当たる。

21日未明から二日ほど雨が続き、北風が吹いた。


推定

このまま推移するのであれば、茨城県北部で約1ヶ月後には平常レベル(100nSv未満)に減少するものと推察される。


ここまでが、 2011.4.1



その後の追加。




ごくごく単純計算 

現在の雰囲気中の放射線量から、今後の推移を計算する。



半減期8日の物質が環境中にあり、その物質が出す放射線量が現在 D0 [μSv/hr]の場合

n日後の放射線量 Dn [μSv/hr] を次の式で表わせすものとする。



この単純な仮定に従い、初期値が1000 ~ 0.1 μSv/hr の場合の放射線量の日変化を計算して描いたのが次の2枚のグラフ(図3、図4)である。 (風雨の影響、追加の放射線漏洩、その他は考慮していない。)


  1. 1000μSv/hr (1 マイクロSv/1時間)= 1 mSv/hr (1 ミリSv/1時間)

  2. 200 μSv/hr

  3. 100 μSv/hr

  4. 20 μSv/hr

  5. 10 μSv/hr

  6. 2 μSv/hr

  7. 1 μSv/hr = 1000 nSv/hr (1000 ナノ Sv/hr)

  8. 0.2 μSv/hr = 100 nSv/hr (200 ナノ Sv/hr)

  9. 0.1 μSv/hr = 100 nSv/hr (100 ナノ Sv/hr)




3 半減期8日の場合の放射線量の日変化 ごく単純な試算

 


4 半減期8日の場合の放射線量の日変化 ごく単純な試算

(上の図と同じものを、片対数グラフにした)



さらに、上の単純式について、シンプソンの公式を適用して積分の概算値を得て、半減期8日間の物質の生ずる放射線による積算被曝量を計算して描いたのが次のグラフである。



図5 24時間屋外にいる場合の積算曝露量 



6 24時間屋外にいる場合の積算曝露量 (片対数グラフ)


図5,図6のグラフは、風雨や追加漏洩の影響を無視した、24時間屋外にいる場合の、単純計算による総量を示すものである。 

6から、たとえば、現在20μSvであれば、単純計算をすれば1ヶ月後の積算量は約5mSvに達することが推察される。


しかし、正確な予測には、多様な物質の種類と量、追加漏洩の量、風雨の影響と評価、などのファクターを把握することが必要である。


[この計算とグラフのファイル: simple_calc.xls]



ここまでは、2011.4.13追記




「災害のリスク、マネジメントとコミュニケーション」

(2011.4.15 講演資料 pdf)


原発の避難について、簡単に分析比較を行った。

1)地震をトリガーに発生した福島における原子力災害の経緯のうち、避難指示のリスク・コミュニケーションを取り上げ、スリーマイルアイランドとチェルノブイリにおける避難指示内容の簡単な比較結果を紹介し、さらに、福島におけるリスク評価の簡単な例を示した。

2)工学と社会学のリスクの定義の相違を解説し、さらに、リスクアセスメントに基づくリスク・コミュニケーション、クライシス・マネジメントの方法論の概要を紹介した。

3)今回の地震を受けて、必要と考えられる研究課題をいくつか紹介した。


ここまでは、2011.4.18 追記