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インドネシアを例にした比較島弧火山活動の研究

島弧に沿った火山活動のバリエーション: Sunda列島からSangihe諸島まで総延長6000km以上に及ぶインドネシア島弧では,様々なテクトニクス場での火山が分布する.斜め沈み込み帯のスマトラ島,高角の直交沈み込み帯のジャワ島,オーストラリア大陸の衝突の影響を受けているフローレス島など.火山活動の中長期将来予測に必要な火山活動のバリエーションを知るために,インドネシアは最適な島弧といえる.過去200年間で,日本では最近経験したことのないカルデラ形成を伴う大規模噴火も2回起こった

図 インドネシア,ジャワからフローレスにかけての活動的火山とカルデラ.赤のマークは,過去1000年間でカルデラ形成を伴う大規模噴火が起こった火山.

産総研とインドネシア火山地質災害防災局(旧名称:インドネシア火山調査所)との共同研究:島弧火山活動の比較という視点で,人口密度の高いJava島からBali,Lombok,Sumbawa島にいたる火山に着目して,1996年から,を行っている.衛星画像解析,現地地質調査,年代測定,岩石学的研究などより,時空分布,噴火履歴,噴火経緯の研究を行い,それら対応したマグマ供給系のモデル化も行われている.

1996-1997年Tambora火山(Sumbawa島)調査.1815年の大規模噴火で約9万人の犠牲者が出た.大規模噴火にいたる火山活動履歴とカルデラ形成時の噴火経緯について研究を行った.約20万年間で1000km3の山体を形成したこと,大規模噴火前の最後1万年間に,噴出量,噴火場所,噴火タイプ,マグマの組成に関する変化があったことが認められた(Takada et al., 2000; Matsumoto and Takada, 2000).また,カルデラ形成にいたる大規模噴火の過程が明かとなった(Yamamoto et al., 2000).Tambora火山の火山地質図は,インドネシア火山地質災害防災局から出版予定である.Tambora火山の写真

図上は,Tambora火山の噴出率(上),噴火位置(山頂を中心とした時計回りの方位)(下)の時間変化.

図 1815年の噴火経緯.

1998年East Java調査.East Javaでは約70km間隔で火山クラスターを作っている.この中では,カルデラのある火山とない火山があり,その違いの原因を探るための研究調査を行った.より短い期間に大きな山体をつくる火山に大きなカルデラが多いようである(Takada et al., 2000).East Java火山の写真

2000年:Bali島のAgung火山予察.Baliの火山の写真

2002-2004年Rinjani火山(Lombok島)とBali島のカルデラを含む火山の時空分布調査.Lombok島の火山群は,中心火道がシフトしやすいタイプの火山群である.Rinjani火山のカルデラ形成を伴う大規模噴火は,13世紀に起こったことが明かとなり,大規模噴火前の最後1万年間に,噴出量,噴火場所,噴火タイプ,マグマの組成に関する変化があったこと認められた(Takada et al., 2003; Nasution et al., 2003).10km3以上におよぶ大規模噴火の噴火経緯が解析された(Furukawa et al, 2004).Bali島には,複数のカルデラがあり,それを含む火山発達史を調査中である.Rinjani火山の写真

図 Rinjani火山のマグマ供給系の進化

2005年-:インドネシアの火山の時空分布,活動的火山の履歴,火山の内部構造の3テーマで研究の計画を進めている.

誌上発表(年代順)

Takada, A., Yamamoto, T., Kartadinata, N., Budianto, A., Munandar, A., Matsumoto, A., Suto, S. and Campos Venuti, M. (2000) Eruptive history and magma plumbing system of Tambora volcano, Indonesia, Report of ITIT Projects, Research on Volcanic Hazard Assessment in Asia (アジア地域における火山災害予測技術に関する報告書,地質調査所), 42-79.

Matsumoto, A., Takada, A. (2000) K-Ar ages determination of lavas around Tambora volcano, Indonesia, 同上,83-85.

Yamamoto, T., Takada, A., Munandar, A. T., Kartadinata, N., Budianto, A. (2000) Stratigraphy of the 1815 deposits of Tambora volcano, Indonesia,同上,80-82.

Urai. M. (2000)Geologic interpretation of JERS-1 SAR imagery at Tambora volcano, Sumbawa Islnad, Indonesia, 同上,88-90.

Takada, A., Sinulingga, I.1, Surmayadi, M.1 and Urai, M. (2000) Comparison among volcano complexes with a caldera and without a caldera,East Java (Preliminary report), 同上,93-115.

Takada, A., Yamamoto, T., Kartadinata, N., Budianto, A., Munandar, A., Matsumoto, A., Suto, S. and Campos Venuti, M. (投稿中) Eruptive history and magma plumbing system of Tambora volcano, Indonesia,

高田亮,山元孝広(印刷中)Tambora火山,火山の事典,朝倉書店.

学会発表(年代順)

高田亮,山元孝広,松本哲一,須藤茂,Kartadinata, N.1, Budianto, A.1, Munandar (1999)インドネシア,タンボラ火山のマグマ供給系の進化:大規模噴火への準備過程,地球惑星関連科学合同大会1999大会.

高田亮,山元孝広,須藤茂,松本哲一,Kartadinata, N.1, Budianto, A.1, Munandar (1999)インドネシア,タンボラ火山の地質:カルデラ壁,床の観察,地球惑星関連科学合同大会1999大会.

Takada, A., Yamamoto, T., Kartadinata, N., Budianto, A., Munandar, A., Matsumoto, A., Suto, S. and Campos Venuti, M. (2000) Eruptive history and magma plumbing system of Tambora volcano, Indonesia, 2000 IAVCEI meeting.

Yamamoto, T., Takada, A., Munandar, A. T., Kartadinata, N., Budianto, A. (2000) Stratigraphy of the 1815 deposits of Tambora volcano, Indonesia, 2000 IAVCEI meeting.

高田亮,Sinulingga, I., Surmayadi, M., 浦井稔 (2000) カルデラのある火山とない火山(予報)ーインドネシアを例にしてー.日本地質学会.

小澤拓,高田亮,村上亮 (2002) JERS-1の干渉SAR法により得られたタンボラ火山・インドネシアの地殻変動

Takada, A., Nasution, A., Mulyana, R. (2003) Eruptive history during the last 10 ky for the caldera formation od Rinjani volcano, Indonesia. 地球惑星関連科学合同大会2003大会.

Ozawa, T., Takada, A., Murakami, M. (2003) Crustal deformation of Tambora volcano, Indonesia, derived from JERS-1 SAR interferometry,2003 IUGG meeting.

Nasution, A., Takada, A., Mulyana, R. (2003) Eruptive history during the last 10 ky for the caldera formation od Rinjani volcano, Indonesia. 2003 IUGG meeting.

Furukawa, R., Takada, A., Nasution, A. (2004) Caldera forming eruption of Rinjani volcano in 13th century, Lombok, Indonesia, 2004 IAVCEI meeting.

Furukawa, R., Takada, A., Nasution, A. (2005) Eruptive sequences of 13th century caldera formation at Rinjani volcano, Lombok, Indonesia, 3rd CCOP Field Workshop for Volcanic Hazard Mitigation in Yogyakarta

古川竜太・高田亮・Nasution, A.(2005)インドネシア,リンジャニ火山の13世紀カルデラ形成噴火,火山学会秋季大会 北海道大学

高田亮(2007)インドネシア島弧におけるカルデラ火山の分布と形成史,日本地質学会.

古川竜太・高田 亮・Nasution, A.(2007) インドネシア,リンジャニ火山の13世紀カルデラ形成噴火推移