青ヶ島火山の噴火史

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日本の第4紀火山データベース(青ヶ島火山)

地形と地質:青ヶ島火山は,水深700mを基盤深度とすると,比高約1,100m,総体積30km3の火山である.このうち,海面上に現れている火山体は,推定総体積3km3である.島の南半分には池の沢火口(径1.7kmx1.5km,深さ300m以上)があり,その中央に丸山がある.島の最高点は,外輪山の北東部に位置する大凸部(おおとんぶ)423mである.島の北半部は,北北西に向かって傾いた緩斜面(標高250-300m)で覆われ,集落(東京都青ヶ島村)がある.人口200名前後.島は海食崖でとり囲まれているので,成層火山の断面がよく露出している.海面上の青ヶ島火山は,北部の黒崎火山とそれを覆う南部の主成層火山の2つの火山体からなる(Isshiki,1955; 東京都,1990;Takada et al.,1992).青ヶ島火山(SiO2=49-63%)の大部分を占めるのはソレアイト質玄武岩である.


図 簡略化した火山地質図(高田ほか,1994).

黒崎火山:比高300m程度,総体積0.3km3の小成層火山.

主成層火山主部:玄武岩質の降下スコリアと溶岩流の互層からなる高さ約420m以上,総体積3km3の山体.安山岩の量比は少ない.主成層火山に属する岩脈は放射状である.主成層火山主部形成の後期には,島の南東部で径約1.5kmの火口状凹地が形成された.

無斑晶玄武岩類:約3500年前の島の北部を中心にした割れ目噴火からの火砕物と溶岩流である.噴火量は0.01ー0.1km3程度.

尾白池サージ堆積物:約3,000年前に火山豆石を含む尾白池サージ堆積物が全島を覆った.

金太ケ浦溶岩類:約 3,000-2,400年前の間に,上記の南東部の火口状凹地を,主として玄武岩からなる金太ケ浦溶岩類が埋めた.青ヶ島東部および北部では,休戸郷降下堆積物が降下した.金太ケ浦溶岩に関連した岩脈は,北北東の走向が卓越している.金太ケ浦溶岩類と休戸郷(やすんどごう)降下堆積物の総噴出量は,0.6km3程度.

流坂岩屑なだれ堆積物:岩屑なだれが発生し,最終的に現在の池の沢火口(径1.7kmx1.5km,深さ300m以上)が形成されたらしい.

天明年間以前の異常現象1652年(承応元年)と,1670年(寛文10年)には,池の沢で砂がわき出したことが記録されている(小林,1980).

1781-1785年(天明)の噴火(総噴出量は0.08km3程度):1781年(天明元年)5月4日に池の沢で小規模の噴火が起こった.1783年4月10日-11日に,池の沢で爆発を伴う噴火が起こった(天明降下堆積物1). 1785年4月18日には再噴火した(天明降下堆積物2).6月4日に,八丈島からの救援船で避難できたのは島民の半数(160人前後)であった.このころ,丸山火砕丘の一部から天明溶岩流が流出した.天明の噴火の溶岩は単斜輝石斜方輝石含有無斑晶安山岩である.

火山に関する参考文献

青ヶ島村教育委員会・同役場 (1984) 第3章 地形・地質, 83-114.
荒牧重雄(1989)青ヶ島,空から見る日本の火山,丸善,169-171.
Isshiki ,N. (1955) Ao-ga-shima volcano.Jpn.J. Geol. Geogr.26, 209-218.
小林亥一(1980) 青ヶ島島史,青ヶ島村役場,601p.
高田亮・湯浅真人(1990) 20万分の1地質図「八丈島」,地質調査所.
高田亮 (1989) 青ヶ島火山(口絵写真解説),火山,34, 177-179.
高田亮・村上文敏・湯浅真人 (1994) 青ケ島および伊豆諸島南方海底火山地質図.地質調査所,火山地質図7.
Takada, A, Oshima, O., Aramaki, S., Ono, K., Yoshida, T., and Kajima, K. (1992) Geology of Aogashima volcano, Izu Islands, Japan. Bull. Volcanol. Soc. Japan, 37, 233-250.
東京都 (1992) 青ヶ島の地質,伊豆諸島における火山噴火の特質および火山防災に関する調査研究資料集, 地学編,65-112.
東京都防災会議 (1990) 青ヶ島の地質,伊豆諸島における火山噴火の特質等に関する調査・研究報告書, 青ヶ島編,88p.