割れ目噴火

噴火の割れ目を噴火割れ目と呼ぶこともある.山腹で割れ目噴火する場合を,山腹噴火とか側噴火と呼ぶ.

1回の割れ目噴火の噴火経緯(図1(右)):応力場により,割れ目の長さと噴出量に正の相関があるように見える(図2).同じ応力場では,噴火割れ目の長さが長いものは噴出量が大きい.割れ目噴火の割れ目の長さと継続時間では,噴火がすぐに終了するものと中心噴火の
ように長く継続する噴火が見られる.Etna, Hawaiiでは両者の中間も観察されている(図3).

図2 割れ目噴火の割れ目の長さ(縦軸)と噴出量(横軸)を対数でプロット.左上の右上がりのトレンドは,Icelandなどのより引張な応力場での噴火.Kilauea, Mauna Loa, Etna, 大島,三宅島などの複成火山の噴火は,各火山ごとにプロットされる範囲が広い.噴火時期の応力場が異なる可能性がある.


図3 割れ目噴火の割れ目の長さ(縦軸)と継続時間(横軸)を対数でプロット.Icelandなどのより引張な応力場での噴火は,左上の右上がりのトレンドにのる.Kilauea, Mauna Loa, Etna, 大島,三宅島などの複成火山の噴火は,右下がりから水平のトレンドにのる.右に行くほど,継続時間が長い.KilaueaのPuuOo噴火のように準安定火道を使った継続時間の長い噴火も含まれる.

1回の割れ目噴火の火口の移動:山頂から山腹へ移動する場合が多い.しかし,いったん山腹でとまり,より山頂側で再噴火したり(例:Kilauea1955),反対側の山腹で再噴火(貫入)する場合もある(例:Etna2001).

1回の割れ目噴火の火口分布と配列:噴火位置,割れ目の数・分布は様々である.片側の山腹で割れ目噴火する場合が多いが,山頂を挟んで両山腹に噴火割れ目が現れたり,放射状に複数の噴火割れ目が現れる例は,Hekla, Etna, Hawaii, Piton de la Fournaise, Nyiragongoなどで観測されている.1日から1週間程度の間に複数の噴火割れ目がおこる.

割れ目噴火の配列から山体の応力場を読みとれる.雁行の噴火割れ目が山腹に現れることがある.Kilauea(Hawaii)とPiton de la Fournaise (Re Union)で顕著.山体斜面の不安定の程度の指標となる(高田,2003).


図4 雁行噴火割れ目の例(高田,2003).Kilauea(右)では,1971-1974年に雁行割れ目噴火が起こっている.そのあと,1975年にM=7の地震で山体が右下に動いた


マグマのドレーンバックによる噴火(図5(下左)):観測された例としては,Kilauea, Nyiragongoなど.噴火→火口に溶岩湖→溶岩が地下に逆流(ドレーンバック)(場合によっては山腹で噴火)→脱ガス対流という時系列である.Izu-Oshima1987の場合は,噴火せずに貫入して終了した.


噴火史の中での割れ目噴火位置の時間変化(図6(上右)):世界の火山の割れ目噴火位置の時間変化の時系列情報.一般には,山腹噴火卓越の時期と山頂噴火卓越の時期を応力緩和機構を利用して交互に繰り返す(Takada, 1997; 1999).山腹噴火の位置を,例えば山頂からの距離で表現すると,噴火史の中で山頂に近づいたり離れたりして振動することもあるが,全体として時間とともに山頂へ収斂するものが多い.


図 Etnaの割れ目噴火位置の時間変化(Takada,1997).縦軸は噴火位置の山頂からの距離.上は北山腹;下は南山腹.最近は中心噴火や中心付近の割れ噴火が多い.10-1000年程度の間隔で収斂と拡大を繰り返す場合が多い.

山腹(割れ目)噴火の分布限界:火山の裾野で噴火が起こることもある.火山からどれだけ離れれば直接の噴火が起こらないか重要な問題である(図6参照).一般には,火山体の成長規模と山腹噴火の分布限界には正の相関がある.火山全体が顕著な引張場におかれている,または,火山の外に顕著な引張場がある場合を除く(Takada, in press).


図 長期火山成長にともなう山腹噴火の分布限界の拡大(Takada, in press).分布限界は火山の規模に依存する.縦軸は山頂からの距離.






マグマの上昇に関する文献(高田亮 発表)

1989-2010;年代順)


誌上発表(年代順)

高田亮 (1989) 個々のメカニズム解明から全体の火山システム構築へ,火山,34, 283.

Takada, A., (1989) Magma transport and reservoir formation by a system of propagating cracks. Bull. Volcanol., 52: 118-126.

Takada A (1990) Experimental study on propagation of liquid-filled crack in gelatin: shape and velocity in hydrostatic condition. J. Geophys. Res.

高田亮 (1991) マグマで満たされたクラックの輸送過程からみた火山の形成・発展機構,月刊地球,13, 332-340.

Takada, A. (1994a) Development of a subvolcanic structure by the interaction of liquid-filled cracks. J. Volcanol. Geotherm. Res., 61: 207-224.

Takada, A. (1994b) The influence of regional stress and magmatic input on styles of monogenetic and polygenetic volcanism. J. Geophys. Res., 99: 13563-13573.

Takada, A. (1994c) Accumulation of magma in space and time by crack interaction. In: M. P. Ryan (Editor), Magmatic Systems. Academic Press, San Diego, California, pp. 241-257.

Koyaguchi, T. and Takada, A. (1994) An experimental study on the formation of composite intrusions from zoned magma chambers. J. Volcanol. Geotherm. Res., 59, 261-267.

高田亮 (1994a) 珪長質マグマの発生と上昇,マグマ溜り,地質学論集,43, 1-19.

高田亮 (1994b) クラックの相互作用からみた玄武岩質火山,火山,39, 155-168.

Takada, A. (1995) Evolution on the growth of a volcano with the cyclic activity of flank and central eruptions, Volcano in Town, Spec. Volume (Extended Abstracts), Periodico di Mineralogia, 64, 279-283.

高田亮  (1995) クラックによるマグマの上昇ーみえないものをみようとするアナログ実験,科学,岩波書店,65,673-685.

高田亮 (1996) マグマ供給システムの自己制御機構ー観測量と力学的モデルとの比較ー,地質学論集,46, 13-28.

Takada, A. (1997) Cyclic flank-vent and central-vent eruption patterns. Bull. Volcanol., 58: 539-556.

Takada, A. (1997) Cyclic flank-vent and central vent eruption patterns. Bull. Volcanol., 58, 539-556.

Takada, A. (1999) Variations in magma supply and magma partioning: the role of tectonic settings. J. Volcanol. Geotherm. Res., 93, 93-110.

高田亮 (2000) 珪長質マグマの輸送メカニズム, 月刊地球,号外 花崗岩研究の最前線,30, 98-104.

東宮昭彦,小屋口剛博,高田亮 (2000) 火道の形状と形成過程およびその噴火時のふるまい,月刊地球,250,30, 219-224.

高田亮 (2001) 玄武岩質火山成長に伴うカルデラ形成ー重力崩壊モデルー, 地学雑誌,110, 245-256.

日本火山学会編 (2001) Q&A 火山噴火,分担執筆 Q29など,ブルーバックス,講談社.

高田亮 (2003) 割れ目噴火と岩脈が語る噴火史,産総研シリーズ「火山 噴火に挑む」4.3章,丸善,233-249.

高田亮 (2004) マグマの上昇から噴火へのメカニズム,AIST Today, v4, n12, 8-9.

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学会発表(1987-2004;年代順)

高田亮 (1987) Crack propagation system としてのmagma上昇のモデル,火山学会春季大会.

高田亮 (1988) ゼラチンを用いたliquid-filled crackの実験 ーその1 密度差の効果ー,地震学会春季大会.

Takada, A. (1988) Propagation system of magma-filled cracks - model and experiments-, Kagoshima international Conference on Volcanoes.

高田亮 (1988) ゼラチンを用いたliquid-filled crackの実験ー静水圧下の場合ー,火山学会秋季大会.

高田亮 (1989) マグマで満たされたクラックの輸送システムーマグマの移動様式.体積・時間間隔ー,火山学会春季大会.

高田亮 (1989) クラックの輸送システムから見たマグマ溜りと火山ー力学的モデルと数値計算ー,日本地質学会.

Takada, A. (1989) Experimental study of liquid-filled cracks in gelatin - velocity and shape-, IAVCEI, Santa Fe, USA.

高田亮 (1989) ゼラチンを用いたliquid-filled crackの実験ーcrackの成長.移動・分裂ー,火山学会秋季大会.

高田亮 (1990) マグマで満たされたクラックの輸送システムー移動様式の変化ー,地球惑星科学関連学会1990年合同大会.

高田亮 (1990) マグマで満たされたクラックの輸送システムー移動様式の変化ー,地球惑星科学関連学会1990年合同大会.

Takada, A. (1990) Variation of magma transport with time, WPGM AGU, Kanazawa.

Takada, A. (1990) Formation of magma reservoir by a system of crack propagation, IAVCEI, Mainz, Germany.

高田亮 (1991) マグマで満たされたクラックの輸送過程から見た火山の形成・発展機構,,地質学会.

高田亮 (1991) 液体で満たされたクッラクの相互作用,地球惑星科学関連学会1991年合同大会.

高田亮 (1991) 相互作用したクッラクの配置と応用,地球惑星科学関連学会1991年合同大会.

Takada, A. (1991) Development of magma chamber in various tectonic conditions by crack propagation model, IUGG, Vienna, Austria.

Takada, A. (1991) Development of a subvolcanic structure by the interaction of liquid-filled cracks, International Conference on Active Volcano and Risk Mitigation, Napoli, Italy.

新谷・高田亮 (1992) いくつかの応力状態における流体を含んだクラックの挙動,火山学会秋季大会.

Takada, A. (1992) Variation of a volcano caused by the propagation and the interaction of liquid-filled cracks , Volcan de Colima 2nd International Reunion on Volcanology. Colima. Mexico.

高田亮 (1992) マグマの集積と通路の形成,地球惑星科学関連学会1992年合同大会.

Takada, A. (1992) Ascent and emplacement of felsic magma , AGU Spring Meeting, Montreal, Canada.

Takada, A. (1992) Role of crack interaction in magma accumulation from segreggation to magma path, IGC Kyoto.

Koyaguchi, T. and Takada, A. (1992) An experimental study on the formation of composite intrusions from zoned magma chamber, IGC Kyoto.

Takada, A. (1992) Ascent and emplacement of felsic magma: Viscosity-controlled magma trap and density-controlled magma trap, Part I,火山学会秋季大会.

Takada, A. (1992) Ascent and emplacement of felsic magma: Viscosity-controlled magma trap and density-controlled magma trap, Part II,火山学会秋季大会.

高田亮 (1992) 割れ目系によるマグマ輸送と地殻応力場,火山学会秋季大会.

Takada, A. (1993) Formation of monogenetic volcanoes, Paricutin 50th Anniversary International Memorial Meeting, Uruapan, Mexico.

高田亮 (1993) Output-stress diagramからみた火山,地球惑星科学関連学会1993年合同大会.

Takada, A. (1993) Variation of volcanoes by crack interaction, IAVCEI, Canbera, Australia.

高田亮 (1994) 割れ目中のマグマの輸送と地殻応力場,海洋研シンポジウム,火山活動と地殻応力場.

高田亮 (1994) 火山同士の力学的相互作用,地球惑星科学関連学会1994年合同大会.

Takada, A. (1994) Mechanical interaction between volcanoes, IAVCEI, Ankara, Turkey.

高田亮 (1994)応力変化が割れ目噴火の位置,側噴火・中心噴火に与える影響,火山学会秋季大会.

高田亮 (1995) マグマ供給システムの自己制御機構 その1 ー時間発展する複成火山のモデル化に向けてー,地球惑星科学関連学会1995年合同大会.

高田亮 (1995) マグマ供給システムの自己制御機構 その2 ー噴火地点の位置(距離と方位)の時系列ダイアグラムー,地球惑星科学関連学会1995年合同大会.

高田亮 (1995) マグマの上昇過程のモデル,分類,地質学会.

Takada, A. (1995) Instability by the growth of dike complex: Examples of a volcano with the cyclic activity of flank and central eruptions, IUGG meeting, Boulder, Colorad.

Takada, A. (1995) Evolution on the growth of a volcano with the cyclic activity of flank and central eruptions, Volcano in Town, Roma.

高田亮 (1995) 応力場とマグマシステム,東大地震研究所共同利用研究集会.

高田亮 (1995) マグマ供給系の自己制御機構ー時間発展するマグマシステムー,三鉱学会.

高田亮 (1996) マグマ供給システムの自己制御機構 その3 ーマグマ供給率と広域応力場の影響ー,地球惑星科学関連学会1996年合同大会.

高田亮 (1996) マグマ供給システムの自己制御機構 その4 ー火山成長の力学系ー,地球惑星科学関連学会1996年合同大会.

高田亮 (1996) マグマ供給率・供給量比に与える応力の影響ー平均量比と時間変化,火山学会秋季大会.

Takada, A. (1997) Self-control of magma plumbing system: mechanical evolution of volcanoes with fissure eruptions, IAVCEI meeting, Puertovallarta, Mexico.

高田亮 (1997) マグマ供給システムの自己制御機構 その5 ー長期時間発展への序章ー,地球惑星科学関連学会1997年合同大会.

高田亮 (1998) マグマ供給率が噴出量に与える影響,地球惑星科学関連学会1998年合同大会.

高田亮 (1998) テクトニックセッティングによるマグマ供給率の時間変化,地球惑星科学関連学会1998年合同大会.

Takada, A. (1998) Volume ratio of erupted magma to supplied magma: its variation by magma supply and stress field, IAVCEI meeting, Cape Town, S. Africa.

高田亮 (1999) ハワイ型火山の成長と噴火時系列のバリエーション,地球惑星科学関連学会1999年合同大会.

高田亮 (1999) ハワイ型火山の成長と噴火時系列のバリエーション-その2アイスランドを例にして-,火山学会秋季大会.

高田亮 (1999) 酸性マグマに関るマグマ供給系の力学的モデルと観測量の比較,地団研シンポジウム.

高田亮 (2000) 火山分布の変遷メカニズム,将来予測シンポジウム,核燃料リサイクル機構.

高田亮 (2000) 火山長期成長に伴う貫入・噴火系の時間発展,地球惑星科学関連学会2000年合同大会.

Takada, A. (2000) Variation in growth and spacing of Hawaiian Hot Spot volcanoes, WPGM AGU meeting, Tokyo.

高田亮 (2001) 玄武岩質火山成長に伴うカルデラ形成ー重力崩壊モデルー,地球惑星科学関連学会2001年合同大会.

高田亮 (2001) ゼラチン中の液体で満たされたクラックの挙動 ゼラチン中の液体で満たされたクラックの挙動 ー利点と欠点の評価ー,地球惑星科学関連学会2001年合同大会.

高田亮 (2001) ゼラチン中の液体で満たされたクラックからの噴出実験 ー人工噴火のアナログ実験ー,地球惑星科学関連学会2001年合同大会.

Takada, A. (2001) Evolution of a dyke system associated with volcano growth, 4th International Dyke Conference, S. Africa.

高田亮 (2001) 規模・卓越方位の変化と非対称性を 規模・卓越方位の変化と非対称性を伴う岩脈群の時間発展,地質学会.

高田亮 (2001) 岩脈の到達距離と成長の限界,火山学会秋季大会.

高田亮 (2002) 珪長質マグマの上昇と火道の形成機構,地球惑星科学関連学会2002年合同大会

高田亮 (2002) 割れ目噴火の噴火経緯ー観測量とアナログ実験からー,地質学会.

高田亮 (2002) 火山体内部及び周辺の応力不均質が火山活動へ及ぼす影響,火山学会秋季大会.

Takada, A. (2003) Fissure length, erupted volume and activity duration of a fissure eruption, Cities on Volcanoes, Hilo, Hawaii.

高田亮 (2003) 割れ目噴火のバリエーション(その1):噴火の経緯,火山学会秋季大会.

高田亮 (2004) 割れ目噴火のバリエーション(その2):長さ,噴出量,継続時間,地球惑星科学関連学会2004年合同大会.

Takada, A., (2004) Dyke systems in the island-arc volcanoes, AOGS meeting.

高田亮 (2004) 岩脈群の成長はマグマ供給をどのように制御できるか,地質学会.

Takada, A. (2004) Process from dike intrusion to fissure eruption. Workshop on dike Intrusion, Theory, Observation and Modeling, Nagoya Univ.

高田亮 (2005) ゼラチンを使ったマグマの移動から噴出までの実験,地球惑星科学関連学会 2005年合同大会 A111キッチン地球科学.