移動ロボット上のアクティブヘッドカメラの位置姿勢検出

       共同研究者:喜多伸之(産総研、知能システム研究部門)

概要

 プラントにおける自立点検ロボットには、視点を自由に変えて任意の位置の検査ができることが望まれる。このとき、正確に自分の位置・姿勢を把握することが重要であるが、オドメータなどから得られる位置・姿勢情報は誤差を含み、動いている間に誤差が累積されていく。本研究では、環境の幾何モデルが与えられる条件で、複雑な環境下においても単眼で自己の位置・姿勢を精度良く高速に推定する一手法を提案する。

原理

カメラを取り巻く環境モデルが与えられる場合、その3次元モデルをカメラで観測した画像にレジストレーションすることで、カメラの位置・姿勢を検出することができる。複雑な3次元シーンにおいても観測特徴に対応する3次元モデル点を効率よく算出するために、OpenGLのような3次元グラフィックスシステムがハードウェアを用いて高速に算出するシーンの奥行き画像(各画素に対象までの距離が記述された画像)を利用する。具体的には、奥行き画像を微分処理して奥行きの大きく変るオクルーディングエッジを求め、そのエッジ上から等間隔で抽出した代表点の画素の奥行き情報よりその点の3次元座標値を得る。このアプローチには、次のような利点がある。

1)隠れ線処理も含む複雑な輪郭生成曲線の算出が容易に行える。
2)既存の専用ハードウェアで高速化できる。
3)予測される見え方情報を同時に利用できる。

実験結果

自己の位置・姿勢推定が正しくなければ、その条件で環境モデルを用いて算出された対象の見え方は左上図のようにずれている。このずれをなくすように、位置姿勢を修正することにより、左下図の環境上面図における青から赤に、(28.6,-4.8,-57.9)(mm)平行移動修正し、軸(-0.72, 0.10, -0.69)回りに 3.9度回転修正した。右上図は、この状態における予測画像を観測画像に重ねたものである。

動画デモ(観測画像上)

動画デモ(3次元空間上)

Link

「原子力プラントのための保全情報場技術」

参考文献

1) 喜多 泰代:, Dale L. Wilson, J. Alison Noble, 喜多伸之,:"テリトリベース3D-2Dレジストレーション手法の拡張とその応用",電子情報通信学会誌 D-II, J84-D-II-8, pp.1682-1692、2001.

2) Y. Kita and N. Kita: "Position and pose detection of active camera-head in a nuclear power plant", Proc. of International Symposium on Artificial Intelligence, Robotics and Human Centered Technology for Nuclear Applications,pp.77-84, 2002.