機能分子デバイスの研究
現在コンピュータなどに使われている半導体ベースの固体マイクロエレクトロニクスでは、
微小化・集積化が進んでいます。
過去の半導体素子(デバイス)の小型化の歴史をグラフにすると

のようになっているので、このままのペースで小型化が進むと、2010年以降は
原子数個の加工精度が要求されることになります。
しかし、今までの技術を改良した方法で100nm以下の構造を作るには、莫大な費用が
必要になると見積もられています。
もっと安価に微細な部品を作製するための新しい技術が真剣に検討されています。
分子を使ってトランジスタ、ダイオード、導線など、今のエレクトロニクスの部品と
同じような機能を実現しようというアイディアを分子エレクトロニクスと
言います。分子デバイスは、分子エレクトロニクスを構成する部品のことです。

分子はナノメートルのスケールで設計することができ、全く同じものを大量に合成する
ことができるので、性能のばらつきがなく、費用の点でも優れているという
長所があります。
当初は理論的に分子の電気的性質を調べるだけの、絵に描いた餅でしかなかったのですが、
最近になって
プローブ顕微鏡技術
など計測技術が向上し、また、
分子を電極上に配列させる
セルフアセンブル法
の研究などが進み、分子をある程度設計したように並べることができるようになって
きました。
このような技術的な進歩によって、分子一個の観察や測定・評価が
可能になってきました。分子エレクトロニクスの研究開発も盛んになり、
メモリやスイッチ、FETなどの素子が試作されています。
しかし、いまのところほとんどの分子デバイスは、数千個の分子を電極でサンドイッチ
したもので、単一の分子を電極に固定し、配線していく技術はまだ確立されていません。
産総研ナノテクノロジー研究部門でも、有機合成により作製した
機能性分子
を電極間に固定し、機能させるための研究に着手しています。
下の図は、提案されている分子センサーの原理図です。
目的分子を認識して結合する部位(ゲート)と、電極に結合する分子ワイヤを組み合わせた
分子を設計・合成し、目的分子を検出して電気信号を出力するというものです。
このようなセンサーが実現されると、これまで分子を染色するなどして光学的に
検出していた測定が簡単な電気回路だけでできるようになるでしょう。
