納子
SFが好きな納子で〜す。今回はSF仕立てよ。
米子
ウーヤーターの米子でーす。
納子ちゃん、SFちゅうてもマニアックでファンしかわからへんようなネタはやめといてな。
納子
そうね、気をつけるわ。 で、米子ちゃん、「ミクロの決死圏」って映画、知ってるかしら?
米子
それくらいは知っとるわ。あれやろ、ドラえもんのスモールライトをパクったような話や。
納子
そう言えば分かりやすいんだけど、実はドラえもんの連載開始よりも映画の方が早いのよ。 あれの元ネタって親ゆびトムの
ちびっこ光線
じゃないかしら。 それはともかく、人間を小さくするのは無理でも、人間の代わりに体の中に入って病気を治すようなメカができたらすごいよね。 バイオや医療技術にとっても、
小さいってことは、便利だね〜
っていうのがナノバイオなのよ。
米子
ところで、バイオナノという人もいるけど、どないなってるの? ひょっとして、カレーライスとライスカレーみたいなものかいな。
納子
うーーん、「バイオナノ材料」って名前、本当は違うんだけど、そういう見方も面白いわね。ナノバイオと呼ばれている分野には、バイオを専門にしていた人がナノテクを使って生体分子の計測・操作をする研究と、精密計測・加工の専門の人が生体分子を対象にする場合の二つの流れがあるから、別の名前で呼んだ方がわかりやすいかも。
米子
ほんでもって、どんなもんがナノバイオなの ?
納子
微細加工技術を利用した生体分子の微量、高速分析装置が注目されています。
こんなカードくらいの板
の中に小さな試験管やパイプを作って試薬と反応させて分析するのよ。
米子
どっかで見たと思ったら、飛鳥の酒舟石をちっちゃくしたようなもんやね。「マイクロ流体デバイス」っていうのか。検査っちゅうて血ぃを採られるのもホンのちょびっとですむようになるなら、ええことやわ。 ところでバイオナノの方はどんなこと、やってるの?
納子
生体材料には、アミノ酸とかDNAとか、いろいろあるけれど、ナノテク部門では、糖がつながった糖鎖の利用を中心に研究しています。
米子
糖?
とうさ?
砂糖と違うのか。父ちゃんに聞いてみよ。
納子
はいはい、あんたのお父さんじゃないけど、説明するわ。バイオで糖と言うのは、炭素と水素と酸素でできた化合物、炭水化物のことよ。 グルコース(ブドウ糖)とか、ラクトース(乳糖)とか、セルロースのように 糖がたくさん連なった高分子があるの。
米子
定食メニューみたいやね。ロース・トースとコース、なんちゃって。
納子
もちろん糖は食べ物の中にも入っているわ。糖鎖はたくさんの糖がつながったものよ。それから、糖と脂質を組み合わせた複合糖鎖は、人工の細胞膜やそれが丸まった人工細胞のような構造体を作る材料になるの。糖鎖をうまく設計すれば、
液晶のように制御できる膜構造材料
や蛋白質を組み込んだ立体構造もできると考えられているわ。これがバイオナノ材料のアイディアね。ナノ構造だから、
プローブ顕微鏡
を使ったりして調べています。
米子
いろいろなナノ構造ができるのは、おもろそうやけど、どんな使い道があるんでっか?
納子
糖鎖は細胞膜に含まれていて、糖鎖同士が助け合って細胞の働きを支えています。例えば、必要な蛋白質分子が来たら細胞の中にお知らせする仕事もしています。こういう性質を使って、ガン細胞を見分けてくっつく糖鎖を使った
人工的な細胞膜
の中に抗ガン剤を入れれば、正常な細胞を避けてガン細胞だけに薬を届けられるわけ。手術しなくても体の中に入って患部に手当をしてくれるって、まるで
「ミクロの決死圏」に出てくる潜水艦みたい
でしょ。
米子
うわっ、かっこいー、ナノドクターでっか。そういう薬ができたらみんな助かるやろうね。でも、うちの場合はたいていの怪我や病気は、宇宙から来たスライム共生体のトリテくんが治してくれるんやけどね。
納子
そーいう一部のSFファンにしかわからんギャグを使うんじゃなーーーい!
納子
&
米子
しっつれいしましたー
産業技術総合研究所
ナノテクノロジー研究部門
ナノテク部門研究紹介納米版
バイオナノ材料
T. Baba
W.Mizutani
Illustration by Yurika, 2003
2003/1/3