比抵抗モニタリング

 岩石の比抵抗は間隙水の比抵抗や飽和状態に左右されます。また、間隙水の比抵抗は温度や塩分濃度で変わります。したがって、地下で水の移動や温度の変化が起こり、岩石に含まれる間隙水の量や塩分濃度や温度が変化すると、それは比抵抗の変化に現れるはずです。したがって、電気探査や電磁探査で地下の比抵抗を連続的に観測し、その変化を的確に解析・解釈することができれば、地下の水や熱の動きを推定できると考えられます。地下における水や熱の移動の把握は、石油や地熱の貯留層の管理、廃鉱となった鉱山や廃棄物処理場から流出される汚染物質の監視、地すべりや岩盤崩壊の監視、火山噴火のモニタリングなど種々な分野で必要とされているので、比抵抗をモニタリングする技術は役に立つと考えらます。

 1988年から比抵抗の連続観測や繰り返し観測(以下、比抵抗モニタリングと呼ぶ)に取り組んでおりますが、思ったほど簡単ではないことがわかりました。その大きな原因としては、以下のようなことがあげられます。
1)モニタリングは異なる時間に取得されたデータを比較することであるが、連続あるいは繰り返し測定しているデータがいつも本当に正しく取得されているか、本当に比較に耐えられるほど正確なのか保証されていない。
2)比抵抗に変化が現れたとしても(あるいは現れなかったにしても)、それが本当に目的とする水や熱の変化を反映しているか(あるいは水や熱の変化がないといえるのか)保証されていない。

 課題はいくつかあるのですが、これまで次のようなテーマに取り組んできました。
1)比抵抗モニタリング専用の測定システムの開発とモニタリング手法の確立。
2)比抵抗変化に及ぼす要因の定量評価のための物性測定。

 また、次のようなフィールドで、比抵抗モニタリングや繰り返し測定を実施してきました。
 (1)地下水位、水飽和度、雨量などが観測されている陽子加速器の盛土
 (2)地熱発電が実施されている鹿児島県大霧地熱地域
 (3)新しい地熱地帯が生成された北海道有珠西山地区(3.6MBのPDFファイル)
 (4)空気やCO2の注入実験を行った秋田県澄川地区(250KBのPDFファイル)

 これらの研究内容やフィールド実験の結果については、順次、報告いたします。

 比抵抗モニタリングの原理については、自分の論文からの抜粋ですが、
こちらにまとめています。

 参考になるかどうかはわかりませんが、私の経験も含めて、比抵抗モニタリングがうまくいかなかった場合の理由(言い訳)のいくつかを
ここにまとめました。