粘土の探査

 「内部グラント:良質な粘土鉱床の探査・評価技術の開発」のページの「あとがき」にも書いたのですが、私は粘土探査の専門家ではありません。研究のターゲットであった金や地熱や石油にとって、粘土は非常に邪魔な存在だったので、敵を知るために研究をしていただけです。しかし、粘土に係わる物理探査をしている人は少ないらしく、粘土鉱床の探査や粘土鉱物の物性についての相談が、時々ですが、私のところに舞い込んできます。また、周囲の人たちの協力によって、毎年、粘土鉱山で電気・電磁探査の実験をする機会に恵まれております。そのおかげで、最近は粘土探査に少しずつ詳しくなってきました。

このページでは、粘土鉱物の電気物性や粘土探査に適用する電気・電磁探査について、説明します。まずは、粘土に関する過去の研究について、私の博士論文から抜粋したものをアップしました。

第5章 岩石の比抵抗に関する研究 (PDF:210KB)

第6章 粘土鉱物を含む試料の比抵抗と物理・化学・力学的特性との関係 (PDF:960KB)

第7章 坑井データから解釈される新潟および秋田油田地域の新第三系岩石の比抵抗 (PDF:649KB)


今後、徐々に最近の研究成果についてもアップします。



(あとがき)
粘土鉱床の研究に取り組んでいる背景の一つに、陸域を対象とした金や地熱などの資源を研究する機会がほとんどなくなってしまったことがあります。最近は「沿岸域」、「大陸棚」などという言葉が流行っており、周囲では海を対象とした調査研究が増えてきました。悪魔の実を食べたわけではないのですが、私の使う電気・電磁探査の技は海には弱いのです。良導体である海に私が繰り出す電流や電磁波はほとんど吸収されてしまい、その下にあるターゲットまで届かないのです。したがって、なるべく海には近づかないようにしています(海で泳ぐのは好きです)。電気・電磁探査の精度で海の比抵抗を求めるだけでよろしかったならば、そしてそれを喜んでくれる奇特な方がいらっしゃるならば、喜んで海の調査研究に参加します(狭いところが嫌いなので、豪華客船なみの船が希望です)。

もちろん、海ほどでは無いですが、含水粘土も良導体です。しかし、粘土の場合、種類により、含まれる水により、導電性は大きく変わります。そして、海の調査と違い、今の研究は粘土そのものがターゲットです。電気・電磁探査は良導体を探すのはけっこう得意なのです。
実際の研究においては、比抵抗が低すぎて電位がとれない、センサーやケーブルや服や長靴がどろどろになる、金や石油のように探査に費用がかけられないなど、いろいろと困難なことが多いのですが、やりがいはあります。カオリナイト、セリサイト(イライト)、スメクタイト(モンモリロナイト・ベントナイト)など、最近は粘土の名前に愛着を感じるようになってきました

(補足)
海での電気・電磁探査に関する技術の最近の発展は素晴らしく、海底近くにセンサーを置くことができれば、海底下の比抵抗構造をかなり良い精度で求められるようになってきました。この研究に真面目に取り組んでいる優秀な研究者の方もたくさんおりますので、近い将来は実用的になると思われます。