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steamプログラムについて

私が地熱の仕事をしていたころ, しばしば水蒸気と熱水のエンタルピーデータを蒸気表からひく必要があり, そのたびにソフトウェアが利用できたら便利であるのに と思っておりました. そのころは広く流通している蒸気表ソフトウェア はなかったので,結局自分で日本機械学会の 1968年蒸気表の式にしたがって作ることにしました. ここで提供しているsteam(ここではsteam68と略称) はこのような経緯で作成されたものです. 現在は 日本機械学会の1999年蒸気表[外部リンク]が 出ておりますが,この蒸気表にはプログラム (ここではsteam99と略称)が CD-ROMメディア(Windows用実行形式,ソース両方)で添付されています. このようにすでにプログラムが存在しますので, 私としては,1999年蒸気表の式にしたがって steamをバージョンアップすることは予定しておりません. なお説明の便宜上steam68,steam99とここでは呼んておりますが プログラムとしては互いに無関係ですのでご注意ください.

しかしながら,steam68プログラムと steam99プログラムを比較しておくことは 有用と考えられますので,次に簡単な比較 結果を報告します.参考にしていただければ幸です.

気液飽和曲線上の性質の比較

0℃から374℃まで1℃きざみでsteam68とsteam99の 次の熱力学データを比較しました. 誤差を100 x abs(steam68-steam99)/steam68 % としました.

  • 飽和蒸気圧:誤差は最大で0.13%です.
  • 蒸気と熱水の比エンタルピー:
     372℃の蒸気が0.54%
     373℃の蒸気が0.73%
     374℃の蒸気が3.17%
     374℃の熱水が2.00%
     で,それ以外は蒸気・熱水ともに0.5%未満です.

    1相域での性質の比較

    圧力0.1〜100MPa(1000bar),温度0〜800℃で, それぞれ0.1MPaきざみおよび1℃きざみで圧力と温度 を与えsteam68とsteam99の次の熱力学データを比較 しました. 誤差は上と同じ定義です.

    なお上に記したように気液飽和曲線は最大で0.13%の違いが ありますので,0.1MPa,1℃のグリッドをきざむと タッチの差で互いに異なる領域におちてしまう PT条件があります.このようなPT条件ではsteam68と steam99では相が異なりますので,異なる値を あたえることになります.このPT条件は次の組です.
      8.0MPa 295℃
      9.6MPa 308℃
     10.7MPa 316℃
     18.9MPa 361℃
     20.8MPa 369℃
     21.3MPa 371℃
    以下の誤差評価には上の6点は含まれていません.

  • 比エンタルピー:
    0℃で最大0.83%の誤差があります.圧力21.8〜30.5MPaかつ 温度373〜399℃のPT領域で誤差0.5〜1.0%となることがあります. 特記した以外では0.5%未満です.
  • 比体積:
    圧力20.3〜39.1MPaかつ 温度367〜445℃のPT領域で誤差0.5〜3.2%となることがあります. 特記した以外では0.5%未満です.
  • 比エントロピー:
     0℃,1.9〜47.0MPaで34%以上の誤差があります.
     1℃,5.3〜100MPaで0.5〜21%の誤差があります.
     2℃,11.3〜100MPaで0.5〜5.7%の誤差があります.
     3℃,18.6〜100MPaで0.5〜2.6%の誤差があります.
     4℃,28.5〜100MPaで0.5〜1.4%の誤差があります.
     5℃,52.6〜100MPaで0.5〜0.69%の誤差があります.
     また圧力21.8〜26.6MPaかつ 温度373〜388℃のPT領域で誤差0.5〜0.8%となることがあります. 特記した以外では0.5%未満です. なお0℃付近ではエントロピーの値そのものが大変小さいことに注意 してください(steam68の表で0.0000Kcal/Kgとされているもの もあります).

    Naoto Takeno
    2003-04-30