本連携促進フォーラムは、120名以上のご参加をいただき盛会のうちに終了いたしました。
ご来場いただいた皆様方に厚く御礼申し上げます。
本催しが、企業との連携や技術移転実現につながるよう、ナノテク部門一同、引き続き努力を重ねていく所存です。
どうか今後とも、ご指導・ご助言のほど宜しくお願い申し上げます。
趣旨
ナノテクノロジー研究部門は、物質のナノスケールでの構造・組成等を制御することによって、新規かつ有用な材料・素子を産み出し、様々な産業への応用や人類社会の福祉に貢献することをめざしています。このような使命を果たすために、研究成果を広く社会に知っていただくとともに、産業界とのより密接な連携関係を構築していきたいと考えております。このたび、(財)化学技術戦略推進機構(JCII)との共催により、連携促進フォーラムを開催することといたしました。私どもの研究活動に対して、ご意見、ご批判、ご助言をいただくとともに、それらを通じてより密接な連携関係を構築するための素地が涵養できればと願っております。是非、多くの方々にご来場いただければ幸いです。
産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 部門長 南 信次
開催案内
- 日時:2008年10月9日(木) 13:00−18:30
- 場所: 産総研 臨海副都心センター別館(バイオ・IT融合研究棟)11階会議室(〒135-0064 東京都江東区青海2-42)[地図](会場が変更になりましたので、ご注意下さい。)
- 定員: 110名(先着順)
- 参加費: 無料
- 申込方法: 参加登録専用サイトからお申し込み下さい (締め切らせていただきました。)
- 主催: 産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門
- 共催: (財)化学技術戦略推進機構(JCII)
- 連携相談デスク: 当日会場に、当部門との連携に関する質問・相談にお答えするデスクを設けます。
- お問合せ先: 産業技術総合研究所 ナノテクノロジー研究部門 南 信次 (Tel: 029-861-9385, Email: n.minami[at]aist.go.jp)
発表プログラム
13:00-15:15 口頭発表1 (K1-K4)
- 13:00-13:05 挨拶 (JCII交流連携推進委員会 委員長 府川伊三郎)
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- 13:05-13:15 部門長挨拶・部門紹介 (南信次)
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- 13:15-13:45 K1: 超微細インクジェットによるオンデマンド・パターニング (村田和広)
- 様々な機能性を持つナノ材料の性能を100%発揮させるためには、必要な場所に、必要な量の材料を配置する技術が必要です。産総研で開発された、超微細インクジェット技術は、大気中、常温、オンデマンドで精密に材料を配置できる技術です。超微細液滴特有の乾燥の速さにより、事前の表面処理無しに精度の高いパターニングが可能です。超微細液滴の特異な性質と、その利用について紹介します。
- 13:45-14:15 K2: 異種高分子およびフィラーをナノ分散・混合する高せん断成形加工 (清水博)
- 従来の成形加工機が付与できるせん断速度が100
sec-1程度であったのに対し、産総研で開発した高せん断成形加工機では最高4400
sec-1を達成しています。このため、高分子同士のブレンドだけでなく、フィラーの分散に対しても極めて強いせん断応力(高分子の粘度×せん断速度)が働くので、カーボンナノチューブ等のフィラーをナノ分散させることにも有効です。最近、三元系材料(高分子ブレンド/フィラー)において、ブレンドのナノ混合とフィラーの選択的分散とを同時に実現し、精緻な構造の導電性ナノコンポジットを作ることに成功しました。
- 14:15-14:45 K3: 異種材料の接着技術 (堀内伸)
- 高分子/高分子、高分子/金属などの異種材料を接着する技術は、複合材料、積層材料、デバイス等の部材の構築において重要な技術です。様々な状態で材料内部に埋め込まれた接着界面を解析し、高い接着性を実現することは、これまで困難でした。我々は、最先端電子顕微鏡技術(TEM、SEM)を駆使した界面の解析やそれに基づく高分子/高分子界面の接着制御技術、さらに、無電解メッキによる高分子/金属の密着性向上技術について研究を進めています。
- 14:45-15:15 K4: エレクトロクロミック・ナノ粒子を利用した調光ガラスとディスプレイ
(川本徹・田中寿・栗原正人)
- 電気的に色制御が可能なナノ粒子を用いて、エレクトロクロミック素子の研究開発を進めています。この材料は、塗工・印刷などによる高品質製膜や微細加工に加え、多色化も可能ですので、様々な利用法が考えられます。具体的には、建物等で窓からの入射光を制御する調光ガラス、各種案内板や広告、電子ペーパーへの応用が期待されます。既に10
cm角の調光ガラスや、複数画像を切替えることができるディスプレイなどの試作に成功しています。研究の詳細は川本徹のHPをご覧ください。
15:15-15:30 休憩
15:30-17:00 口頭発表2 (K5-K7)
- 15:30-16:00 K5: 有機EL素子の貼り合わせによる作製方法 (水谷亘)
- 有機EL素子は、通常、基板上に有機薄膜を順次積層して作製します。これに対し、別々に成膜した膜を貼り合わせる手法も提案されていますが、有機ELの動作では、貼り合わせ界面をキャリアが通過するため、バリアを作らない良好な貼り合わせ条件を確立する必要があります。我々は、プラスティック基板上のポリフルオレン膜をベースとし、温度、圧力を最適化して貼り合わせることにより、100
Cd/m2程度の輝度を実現しました。本技術は、製造プロセスとしての展開の他、貼り合わせ界面に蛋白分子などを挟みこんで発光特性の違いを検出する、新しい分光法への応用も考えています。
- 16:00-16:30 K6: 形状基板上に形成した超高効率半導体発光ダイオード (王学論)
- 半導体発光ダイオード(LED)は省エネ型照明光源として期待されています。しかしながら、顕著な省エネ効果の発現に必要な、200
lm/W以上の効率を実現することは、既存技術の改良だけでは困難であり、新たな技術革新が必要不可欠と考えています。我々は、あらかじめ形状加工を施した基板上に半導体量子構造を成長させると、光取出し効率および内部量子効率が、平坦基板の場合に比べ、それぞれ約30倍および約10倍と、飛躍的に向上する現象を発見しました。本現象を利用して、超高効率LEDの開発をめざしています。
- 16:30-17:00 K7: ダイヤモンド半導体深紫外線発光ダイオード (山崎聡)
- 紹介する深紫外線発光ダイオード(深紫外線LED)は、ダイヤモンド半導体の励起子を使った新原理に基づくLEDです。現在実用化されている最短波長(360
nm)のLEDに比べ、はるかに短い発光波長(235 nm)を持ちます。これは、殺菌用光源などとして広く利用されている水銀ランプに近い波長です。水銀ランプに比べ、小型・長寿命・水銀フリーであるという特徴を持ち、省エネ型・ポータブル殺菌装置などへの応用が期待されます。また、次世代大容量光記録技術への応用も可能と考えています。
17:00-18:30 ポスターセッション (P1-P19)
- P01-P07:
- それぞれ、口頭発表 K1-K7と同じ内容です。
- P08: ダイヤモンド量子コンピューター (山崎聡)
- 量子コンピューティングは近年非常に注目され、既存技術をはるかに凌ぐ超高速並列計算の実現が期待されています。量子コンピューティングでは、スピン等の量子力学的状態をビット(量子ビット)として用います。固体素子での量子コンピュータの動作は容易ではなく、これまで2量子ビットが、極低温の超伝導体を用いて報告されているだけでした。我々は、ダイヤモンド中の単一窒素-空孔複合体における電子スピンと核スピンを用いて、3量子ビットの間での動作を確認することに成功しました。これは固体では初めてで、3量子ビットの壁を室温で破ったことは、将来の実用化にとって非常に重要な成果です。
- P09: 細胞を自在に配置できる機能性フィルム (山添泰宗)
- 細胞アレイや細胞センサーなどの細胞デバイスは、薬物スクリーニングや特定物質の高感度検出に役立つ次世代のツールとして注目を集めています。我々は、細胞の接着・非接着を自在に制御できる、アルブミンから成る機能性フィルムを独自に開発しました。このフィルムを用いて、細胞デバイスにおいて重要な要素技術となる、細胞を基板上の望みの位置に配置する方法を確立しました。本方法は、従来法に比べて手順が簡便であり、また、高額な装置や材料を必要としないことから産業面においても有用です。
- P10: 細胞に働きかける機能分子/アパタイト複合コーティング (大矢根綾子・鶴嶋英夫)
- 生体適合性に優れるアパタイトは、粉体、バルク体、コーティング層などの形体で、様々な医療用デバイスに使用されています。我々は、アパタイトコーティング層中に、遺伝子やタンパク質などの機能分子を複合担持させることに成功しました。得られた複合コーティング層表面では、機能分子の作用によって、細胞の接着性・増殖性を制御したり、細胞分化を誘導したりすることができます。この機能分子/アパタイト複合コーティングは、再生医療や医療用デバイスへの応用が期待されます。
- P11: “界面”を探るSFG分光 (宮前孝行)
- 有機ELディスプレイやナノデバイスにおいて重要となる“界面”。しかしこの埋もれた界面だけを選択的に見る手法はほとんどありませんでした。界面にどんな分子が存在し、どのような配向をとっているのかを知ることは、デバイスの開発・性能向上にとって重要な鍵となります。和周波発生(SFG)
分光法は、表面はもとより、埋もれた界面の分子を選択的に観測することが可能な分光法です。SFG分光法を使った、様々な界面計測の実例を紹介します。
- P12: 固体NMRによる高分子構造の精密解析 (三好利一)
- 合成高分子の物性を極限まで向上させるためには、高分子の詳細な高次構造を知ることが重要です。しかし、合成高分子は同一のモノマー構造から構成されているため、高分子鎖の詳細な高次構造を調べる分析手段はありませんでした。我々は、固体NMR法と同位体ラベル技術により、結晶領域の高分子鎖の詳細な高次構造を調べることに成功したので紹介します。
- P13: レーザーを使った簡単でユニークなナノ・コロイド溶液合成 (川口建二・越崎直人)
- 我々は、手軽に高純度ナノ粒子コロイド溶液を作製できるユニークなレーザープロセスを開発しています。ガラス瓶に原料粉末・塊と溶媒を入れ、コンパクトな固体レーザーを照射するだけで、純粋なナノコロイド溶液が得られます。原料以外の添加物を必要とせず、余計な副生成物も発生しないこの方法は、必要な物を必要な量だけ簡単に作れる環境に優しいプロセスです。このプロセスで合成された、純金ナノ粒子、発光性シリコンナノ粒子、中性子捕捉用炭化ボロンナノ粒子などは、医療方面への利用を検討しています。
- P14: 難加工性ポリマーへの金属ナノ粒子の分散 (依田智)
- 超臨界状態の二酸化炭素を利用して、ポリイミドやテフロンなど難加工性のポリマーに、金、銀、白金、パラジウムなど貴金属のナノ粒子を分散するプロセスを研究しています。超臨界二酸化炭素は高い拡散性と各種ポリマーを膨潤させる効果とを併せ持ち、また圧力によって物質の溶解度を制御できるという特徴があります。超臨界二酸化炭素に溶解する金属錯体を前駆体に用い、析出・分解の過程を制御することで、様々な分散状態を持つナノコンポジットを作製できます。気体分離膜などへの応用例についても紹介します。
- P15: 高圧二酸化炭素による生分解性ポリマーへの薬剤の含浸 (依田智)
- 薬剤を含浸させた生分解性・生体適合性のポリマーは、ドラックデリバリーシステム(DDS)の基材など、医療用材料への応用が期待されています。一般的には有機溶媒による含浸や機械的な混練により調製されていますが、残留溶媒の害や混練時の熱による薬剤の変性などの問題がありました。当グループでは、高圧の二酸化炭素や、人体に害の少ないエタノールとの混合系を用いた、安全で有用性の高いポリマーへの薬剤含浸プロセスを開発しています。
- P16: 高温高圧流体とマイクロリアクタを利用する環境調和型機能性ナノ粒子連続晶析法 (陶 究)
- 環境調和型溶媒である水やエタノールの高温高圧流体は、温度圧力を操作するだけで、様々な化合物の溶解度を連続的に変化させることができます。一方マイクロリアクタは、流体の急速な昇温・冷却を可能にします。我々は、高温高圧流体とマイクロリアクタの特長を組み合わせた環境調和型連続晶析法を用いて、様々な有機・無機の機能性ナノ粒子を合成することに成功しました。我々が合成した機能性ナノ粒子の実例[キナクリドン(顔料)、フェライト(磁性体)、タンタル酸カリウム(光触媒)]と、合成に使用した連続晶析法の特徴を紹介します。
- P17: 可視光で使える高感度・酸化タングステン光触媒 (宮内雅浩)
- 代表的な光触媒として酸化チタンが知られていますが、酸化チタンは紫外線でしか働かないため、室内など紫外線の少ない環境での活性は不十分でした。我々は、酸化タングステンをベースに、高い可視光活性をもつ光触媒の開発に成功しました。開発した光触媒はナノチューブ形状で、簡便な水熱法で合成することができます。このナノチューブは、従来から知られる窒素ドープ型酸化チタンよりも8倍高い可視光活性を持ちます。紫外線の少ない室内環境でも、有害物質を分解・浄化できる「安全・健康住宅部材」への応用が期待されます。
- P18: 光反応性薄膜への分子パターン形成 (川西祐司)
- 特定の分子を表面の特定の位置に導入する技術は、高効率省エネ型の微小化学反応システムや分子デバイスなどを構築するための基盤技術として重要です。光が照射されるとスイッチが入り、高い反応活性を示すようになる分子があります。このような分子で覆われた表面に、パターン化した光を照射すると、照射位置にのみ、別な分子を接木のように結合し導入する、表面光グラフト反応を行うことができます。表面光グラフト反応に用いる光反応性材料、ならびに表面への分子導入事例について紹介します。
- P19: 様々な溶媒で「ゲル」を作る有機電解質の開発 (吉田勝)
- 「ゲル」は、固体と液体の中間的な性質を持つ材料で、化粧品や医薬品の原料等、広範な分野で応用されています。しかし、水と有機溶媒といった性質の異なる液体を、同様にゲル化できるような材料は、溶解性の問題から開発が困難でした。我々は、2種類の試薬を混合するだけの簡単な反応で、新しいゲル化剤を合成することに成功しました。この新ゲル化剤は、プラスとマイナスの電荷を持った有機電解質で、マイナスの電荷を持つアニオン部分だけを交換することで、溶解性を制御することが可能です。これにより、様々な溶媒をゲル化できます。我々は、この材料が、ゲルの新たな応用に繋がると期待しています。
