ヘリコプターから見た2001年2月12日の三宅島
by Isoji MIYAGI @ Geological Survey of Japan, AIST
- 三宅島ヘリ観測報告
- 観察&撮影:宮城磯治@地調
- by 宮城@地調; 平成13年2月13日(火)
- 警視庁ヘリ(同乗者:中田@地震研)
画像のスライドショーはこちら→ Slide Show
- 陥没カルデラ内部が非常に良く見えました.
- 陥没カルデラ内部を赤外線カメラで撮影(熱映像)しました.
- 陥没カルデラ縁の東側をぐるっと撮影しました.
- カルデラ縁の東側特徴的な地点に記号をつけました.
目次 |
お世話になったヘリ
[1] 東京ヘリポートより,警視庁航空隊の「おおとり8号(ベル412ヘリ)」に搭乗.ヘリ観測を支えて下さった皆様に感謝します.
三宅島まで
冬型がゆるんだためか,都内上空〜三宅島まで視程はあまり良くない.
左:視程が良い時には富士山が見える場所より. [2]
中:大島を通過.南に行くほど上空の雲が低くなる傾向がありました. [3]
右:新島を通過. [4]
三宅島上空に到達
高度約3000フィートにて噴煙の遠望を試みましたが,噴煙の到達高度は不明です.三宅島上空には基底高度1000〜1200mの雲があり,雲より上の確認ができなかったためです.
ヘリによると,上空の風向きは北東,風速は冬型の時に比べて弱く,約12ノット(毎時22km)でした.この風に流されて,噴煙は阿古地区のほうに向かっていました.噴煙の下には,いつものように「青い霧」が伴なわれていました.
地上の様子
大久保浜の様子.
池の色
この文書で既に報告したとおり,2000年9月中旬ごろから,三宅島の水たまりの色に,変化が生じました.この現象にもういちど関心を戻してみました.
神着の南にある砂防ダム
伊豆の南にある砂防ダム
昨年秋に赤褐色だった水たまりが,緑色をしている.
左:2001年2月12日 (撮影 宮城@地調)[12]
右:2000年9月28日 (撮影 伊藤@地調)
陥没火口内の水たまり
噴気に近い(画面左がわ)の水たまりは大きくなったが,色は顕著な変化はありません.一方,画面右がわの水たまりは縮小し,色は黄色味が強くなりました(10月19日の水たまりの縁部にみられた色が,水たまり全体に広がった).陥没火口内にある赤と緑の水たまりをみていると,まるで宮城が昨年秋に行なった実験のビーカーをみているようです.
左:2001年2月12日 [13]
中:2000年10月19日 [14]
右:三宅の火山灰に塩酸を加えたもの(左はCaCO3で中和したもの,右はしないもの). [15]
※これを参照ください. (3枚とも撮影 宮城@地調)
すおう穴
2000年秋には赤かったが,最近は緑色っぽい.
左:2001年2月12日 (撮影 宮城@地調) [16]
右:2000年10月8日 (撮影 中野@地調) [17]
陥没カルデラ縁東がわの様子
- 特徴的な地点に記号をつけました.
←←南東…長いので横スクロールしてご覧ください…北東→→
←←南東…長いので横スクロールしてご覧ください…北東→→
陥没カルデラの西側内壁の様子
陥没カルデラ内の様子
熱映像
画像をクリックするとムービーがダウロードされます.
※QuicktimeMovieを見るには,QuickTimeソフトウェアが必要です.
左:熱映像ムービー(QuickTime, 5M)[32]
右:熱映像と可視画像との対応を示したムービー(QuickTime, 850K)[33]
赤外線カメラで火口内を撮影および温度測定しました.今回の温度測定では,噴気孔の最高温度は100度強(最高131℃)でした.噴煙の出ている場所と温度の高い場所はよく対応し,噴気の出ていない場所で温度の高い個所はありません.ただし,南西側の内壁には筋状に温度の高い部分が存在するようです.
噴煙を熱映像ムービーで見ると,時折温度の高い部分が「塊」をつくって上昇していることがわかります.
- 熱映像の撮影はヘリコプターのドアを全開にするため,体(特に指)がとても冷えてしまいます.戦意喪失気味だったうえに時間もあまり残っていなかったので,都道ぞいの泥流被害の撮影は次回行なうことにしてしまいました.「もういいですか?(ヘリの人)」「はい,いいです(凍えきったわたし)」…30秒(?)後『あ,しまった,泥流撮影(暖かさを回復したわたし,心の声)』…でも『すみませんやっぱり戻ってください』とも言えず,ヘリは神津島へ,,.関心のあった方々,どうかお許しください.
帰路につく
ヘリの影
途中神津島に降り,人員の交代と燃料補給をおこないました.神津島空港での小休止の間に,ヘリコプターの影をスケールにする試みのために,観測に用いたヘリを四方から撮影しておきました.
新島
その他
空も混雑
今回は,多くの航空機を目視しました.三宅島の上空での観測中も,少なくとも3機(ヘリ2,セスナ1)が同時に飛行していました.クルーの皆様はいつもより神経を使われたのではないかと思います.
左:帰りみち大島付近にて,下を飛行する固定翼機.
[41]
右:帰りみち横須賀付近にて,同じ高度を飛行する固定翼機. [42]
港
左:上空からみた竹芝桟橋.
[43]
右:上空から見た東京ヘリポート(画面左がわ,中央よりやや上の,芝生がちな部分). [44]
2月12日のヘリ観測の行程メモ:
01/12 6:00 起床
01/12 6:45 出発
01/12 7:35 東京ヘリポートに到着
01/12 7:50 117にてデジカメと携帯端末を時刻あわせつつ,付近で暇つぶし.
01/12 7:59 東京ヘリポートに到着
01/12 9:02 離陸.JA18MP (Bell 412EP)
01/12 9:10 霞みがちのため,都内上空から富士山はみえない.
01/12 9:18-
01/12 9:22 海岸線(ルーシーさんの現場付近)を通過.
01/12 9:32 -
01/12 9:37 大島を通過.島の高さの約1-1.5倍上方に,雲.
ヘリによると,北東の風が12-13kt
01/12 9:44 利島通過.
01/12 9:48 新島通過.
高度3000ftにて巡行.
雲の基底高度は,ヘリのすこし上.3000-3500ft程度と思われる.
01/12 10:00 三宅島上空に到達.
- 3000ftにて,噴煙を遠望(雲に入って見えない)
- 2600ftにてカルデラリムの北〜南東を観察.
- 2600ftにてカルデラリム東部でホバリング(熱映像のため)
01/12 10:24 三宅島を離脱.
01/12 10:40 神津島に着陸.
01/12 11:15 神津島を離陸.
01/12 11:30 利島通過.
01/12 11:33-
01/12 11:40 大島を通過.
01/12 11:55? 海岸線を通過.
01/12 12:05 横浜の上空.
01/12 12:10? 東京工業大学の上空.
01/12 12:20 東京へリポートに着陸.
01/12 12:35 中田先生を駅までお送りする.
01/12 12:40 祭日のため携帯電話にて,気象庁に結果報告.
01/12 13:02 昼食.地質調査所に向かう.
01/12 14:00 地質調査所到着.
01/12 15:00 官用車を返却.