宮城磯治 (Isoji MIYAGI, Ph.D)

last updated 2024.1.25
写真

On Mt. Chokai. 鳥海山にて。
背景は鳥海湖と鍋森溶岩円頂丘です。

Profile
宮城磯治(Isoji MIYAGI)
国立研究開発法人産業技術総合研究所
地質調査総合センター (HomePage)
活断層・火山研究部門 (HomePage)
大規模噴火研究グループ (HomePage)
学歴
  • 1990年 秋田大学 鉱山学部 卒業
  • 1992年 秋田大学 鉱山地質学専攻 修了(修士)
  • 1995年 東京工業大学 地球惑星科学専攻 修了(博士)
職歴
  • 1995年 東京工業大学 (学振 ポスドク)
  • 1995〜7年 工業技術院地質調査所 (科技特 ポスドク)
  • 1997 工業技術院地質調査所 環境地質部
  • 2001年〜 産総研 深部センター
  • 2002〜3年 産総研 国際地質協力室
  • 2013年 産総研 深部コア グループ長
  • 2014年〜 産総研 活断層・火山研究部門
知的財産権

硬軟混じった不均質試料を平らに磨きあげるための工夫

仕上研磨用定盤。特許第5317095号

この研磨盤の優れた性能については、下記Miyagi (2017) の図5をご参照ください(オープンアクセスのため、どなたでもダウンロード可能です)。 私の研究対象である火山噴出物は、硬度の異なる様々な物質で構成されており、これを化学分析のため平らに磨く作業は困難でした(∵ 石英→とても硬いので出張る;長石やガラス→ふつう;黒雲母や包埋用樹脂→とても柔らかいので凹む)。 この研磨盤は、ラッピングフィルムシートなどと組み合わせることで、硬度が不均一な試料を平面に磨けます。 2008年の発明以来私自身、この研磨盤の愛用者になりました。

この特許は、筑波光化学さんの協力で商品化されました。 顧客第1号はなんとNASAジェット推進研究所でした。 現在もこちらで購入可能です→ 合同会社NOMUKIさんのページ

Miyagi, I. (2017). A grooved glass surface-plate for making a flat polished surface. Earth Planets Space, 69(1):1–3. https://doi.org/10.1186/s40623-016-0587-x
;

最近の論文

阿蘇中岳などの噴気活動は、長期的には、巨大噴火の準備過程なのかもしれない

大規模カルデラ噴火をひきおこす珪長質マグマの生成速度を、中岳や桜島などで観察されている火山ガス放出量から、見積ることが可能になるかもしれません。 「いったん浅所に上昇した玄武岩質マグマが深部に戻って結晶化し、大規模な珪長質マグマを生じる」という世界初のモデルを公開しました。

評価:
・大変独創的で久しぶりに面白い論文です… (日本大学、MT先生)
・こりゃカルデラ火山理解の革命だ! (神戸大学、HS先生)

Miyagi, I., Hoshizumi, H., Suda, T., Saito, G., Miyabuchi, Y., and Geshi, N. (2023). Importance of Long-Term Shallow Degassing of Basaltic Magma on the Genesis of Massive Felsic Magma Reservoirs: a Case Study of Aso Caldera, Kyushu, Japan. Journal of Petrology, 64(3). https://doi.org/10.1093/petrology/egad009

他の重要論文

2014年の御嶽山噴火は、7年前のマグマの熱エネルギーが、ひきおこしたのかもしれない

2014年9月27日に御嶽山で発生し水蒸気噴火は63名の犠牲者をだしました。 このとき放出された火山灰を詳細に観察したところ、0.7wt%以下の未変質な粒子が含まれていました。 この粒子を分析し熱力学解析した結果、地下2〜4kmでほぼ固化しかけたマグマだと判断できました。 御嶽山では2014年の噴火直前には顕著な山体変動はありませんでしたが、 7年前には変動があり、600万立方メートル(立方体ならば約180m角の大きさ)の物質が山体下浅所に注入したと判断されています。 火山灰粒子の解析から明らかになったマグマ物質は、7年前に注入したものだと考えられます。

評価:
・衝撃的な論文ですね。Natureでもいけたのでは? (温泉研究所、KM先生)。

Miyagi, I., Geshi, N., Hamasaki, S., Oikawa, T., and Tomiya, A. (2020). Heat source of the 2014 phreatic eruption of Mount Ontake, Japan. Bulletin of Volcanology, 82:33:1–17. https://doi.org/10.1007/s00445-020-1358-x