
産業技術総合研究所 前川 仁
現在実用化されている変速機の多くは自動車等の大規模な駆動系のために開発されたものであり,補助動力や電子回路等の多くの付属機器を必要とする.このため変速機が大型・複雑な構成となり,中小規模のメカトロニクス機器への適用を困難にしている.これに対して本変速機は付属機器が不要のシンプルな構成でありがら,負荷変動に応じて自動変速を行うことができる.
負荷感応変速機プロトタイプ (□80 mm×97 mm, 1.6 kg)

補助動力,電子回路,センサ,電源などの付属機器を必要とせずに負荷トルクに応じて減速比を自動的に切換(SVG 1.3 kB)
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非接触磁気クラッチを使用し,クラッチ磨耗・隙間管理の問題が無い
クラッチの磁気的なバネ効果により,変速時のショック・騒音が小さい
過負荷時には磁気クラッチが滑り始めて動力源を保護(SVG 2.5 kB)
機械的な摩擦が生じない非接触機構であり,85%以上の高効率(SVG 1.3 kB)
開発した変速機は下図に示すように,非接触磁気クラッチを用いて動力伝達経路を変更することにより減速比を切換える.磁気クラッチは永久磁石を用いた負荷検出およびスラスト発生機構の働きにより軸方向にスライドし,負荷トルクに応じて動力伝達経路を切換える.
| 低減速 | 高減速 |
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| 低減速 | 高減速 |
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モータでシートを昇降して立ち座りを補助する電動昇降椅子に負荷感応自動変速機を搭載することにより,以下の2つの動作を両立することができる.
また着席するだけで変速機がそれに感応して自動的に変速するため,使用者が特別な操作を行う必要は無い.
負荷感応変速機を搭載した電動昇降椅子 (ビデオ WMV 340 kB)

使用状況に応じて高速動作が必要な場合(位置合わせ)と高トルクが必要な場合(負荷の駆動)が混在するような機器に本変速機を適用することにより,動力源を低出力化・小型軽量化するとともに機器の安全性を向上することができる.また,具体的なアプリケーションへの適用と並行して以下の発展も目指している.
現状の変速機は低減速/高減速の2段変速だが,負荷変動に対してよりきめ細かく対応可能な3段以上の多段変速機に発展する
最大トルク・切換トルク等の変速機仕様が与えられた場合に,最適な磁石配置やヨーク形状を決定するための磁気設計手法を確立する
永久磁石を取付ける代わりに構造材に直接着磁することによる小型軽量化,および樹脂材料やプレス加工による低コスト化を達成する
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