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指先型触覚センサ

3次元曲面形状の触覚センサ

ロボットハンドを用いて複雑高度な作業を行うためには,ハンド指先に触覚センサを搭載して物体の接触状態を検出し,得られた触覚情報をハンドの運動制御にフィードバックする必要がある.しかしながら導電性ゴムの抵抗変化等を利用した従来方式の触覚センサでは,ハンド指先をカバーするような曲面形状のセンサを実現することができなかった.これに対して開発した触覚センサは半球面形状の検出面を備え,光学的な原理を用いて物体の接触位置を検出することができる.

原理+φ32 mm触覚センサ (ビデオ WMV 560 kB)

指先型触覚センサ

触覚センサ原理

センサ内部にはドーム型のガラス製光導波路があり,空隙を介してゴムカバーで覆われている.光導波路の内部を光源により照らすと,入射した光はガラスと空気の境界面で全反射を繰り返し,光が導波路内部に封じ込められた状態となる.ここでセンサ表面に物体が接触してゴムカバーが光導波路表面に密着すると,その部分では反射条件が変化して光が散乱する.この散乱光を検出することにより,センサ表面での物体の接触位置を知ることができる.

触覚センサ原理

φ32 mm触覚センサ

最初に試作した触覚センサは直径54 mmと大型で,さらに外部に光源やテレビカメラを接続する大がかりなものであった.そこでセンサを構成する光導波路,光源,受光素子,光学系,電子回路などを全面的に再検討し,それらを極力小型化・一体化することにより,直径32 mmまで小型化した.

小型化した触覚センサでは,光導波路端面に8個の赤外LEDを配置してその内部を照らしている.物体が接触した箇所で発生した散乱光は,FOPを介して受光素子表面に伝達される.受光素子にはPSDを用いて,散乱光の発生位置を高速・高精度に検出することができる.PSDから出力される電気信号をセンサに内蔵した電子回路で増幅した後,本センサのために新たに開発した信号処理ソフトウェアで処理することにより,センサ表面に物体が接触した位置を検出することができる.

32 mm触覚センサ構造
FOP Fiber Optic Plate
多数の光ファイバを配列を保ったまま束ね,一端から他端へ画像を歪ませずに伝達可能な光学素子.本センサでは光ファイバ束をテーパー状に成形し,サイズの異なる半球状の光導波路と平面状の受光素子を光学的に結合している.
PSD Position Sensitive Detector, 位置検出素子
入射光の位置を電気信号に変換する素子.検出面には抵抗層が形成されており,光が入射すると入射位置では光電流が発生する.この光電流は抵抗層の端に設けた複数の電極に分配され,各電極から現れる電流の比から入射位置と電極間の抵抗の比,すなわち入射光位置を検出することができる.

φ20 mm触覚センサ

さらに小型化した最新のセンサは直径20 mm,長さ44 mmとロボットハンド指先に十分搭載可能なサイズで,接触位置検出に要する時間は0.2 msである.またFOPを光学系CADを援用して設計した広角レンズ系に置換えることにより,小型化・低コスト化を達成した.

20 mm触覚センサ構造

触覚情報の利用

開発した触覚センサをロボットハンド指先に搭載して触覚センシングとハンドの制御を統合し,ハンドの機能を以下のように拡張することができる.

「手探り」による未知物体の形状検出
照明条件や隠蔽等により視覚センサが利用できない状況であっても,指を能動的に動かしながら触覚センサで物体との接触を検出することにより,未知物体の形状を獲得することができる.
握力制御による確実な物体把握
ロボットハンドにより物体を把握する場合,握力が不適切だと指先が滑ったり離れたりしてしまう.そこで触覚センサにより指先接触位置における物体表面の方向を検出し,それに基づいて握力の大きさ・方向を制御すれば,指先を滑らせず確実に物体を把握することができる.
指先での転がり接触を伴う操り動作
ロボットハンドで物体を把握しつつ各指を動かして物体を操る場合,指先と物体が転がりながら接触すると操り動作に伴って接触位置が変動する.その結果,目標とする物体の運動と実際の運動には差異が生じてしまう.これに対して接触位置の変動を触覚センサで検出して指の運動計画に反映することにより,転がり接触の影響を補償しつつ物体を目標通りに操ることができる.

また光学的な原理を用いた本センサは半球面・円筒面・平面等,多様な形状を構成可能なことが大きな特長であり,

などロボットハンド以外への使途も考えられる.

特許 公開特許公報 特許公報

特公平6-29684
触覚センサ
特公平7-26805
触覚センサ

文献

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