地熱発電所を見学しよう

日本の地熱発電所とその見聞録を紹介します。見学無料だしけっこう面白いので旅行のついでなどがあったらぜひ行ってみましょう。出力等のデータは「地熱発電の現状と動向(2006年)」(火力原子力発電技術協会)によります。

注:実況の年次に注意。古いのもあるので現在は何か違っているかもしれません。最新情報歓迎。

地熱発電については日本地熱学会にわかりやすくまとまっています。

地熱発電と他の発電方法との比較表 (2003.6.17作成)


森地熱発電所

森発電所

所在地:北海道渡島支庁亀田郡森町・濁川温泉そば
事業者:北海道電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):50MW(50MW)
運転開始:1982
見学施設:PR室有
(写真1996.6.20)

実況(1996):濁川カルデラの北東カルデラ壁中腹にある。出力の割にこぢんまりした感じである。PR室はちょっと寂しい。朝いちで行ったらオバサンが一人ぼそぼそと掃除をしていたが,「説明しましょうか」と言うのでお願いしたら,所長(北電)が出てきて名刺をくれたので,思わずこちらも名刺を出してしまった。設備をひととおり見せてもらったあと,「カルデラ地形の写真を撮りたいんですが,どうも見通しのいい場所がなくて,どこかいい所はありませんか」ときいてみたら,「じゃあ冷却塔の上に登ってみますか」とゆーことで,にゃんと冷却塔の上,つまり排気筒の床まで登らせてくれた。いちおうカルデラらしい写真が撮れた。この床をはじめ冷却塔は基本的に木製である。火山性のガスが多いため金属では腐食してしまうからだそーである。温泉地の風呂場にも湯船だけでなく床や壁まで総木製のがあるのは同じ理由による。ちなみに火山性ガスの多さではここと柳津が双璧。どちらも小型カルデラの真上だからであろーか。

文献
川村政和 (1983) 北海道に初めての森地熱発電所。地質ニュース, 352号, p.22-24

近場の見所:駒ヶ岳,大沼公園


澄川地熱発電所

所在地:秋田県鹿角市・澄川温泉そば
事業者:三菱マテリアル東北電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):50MW(50MW)
運転開始:1995
見学施設:PR館有

実況:未見

文献
坂井定倫・松永栄勇・窪田康宏(1993)澄川地区の地熱開発。資源地質, 43巻, 6号, p.409-425
脇田健治・松永栄勇・前田孝雄・有木和春(1999)澄川地域の開発経過と現況。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.197-209

近場の見所:澄川温泉後生掛自然研究路玉川自然研究路マインランド尾去沢


大沼地熱発電所

大沼発電所

所在地:秋田県鹿角市・大沼温泉そば
事業者:三菱マテリアル
用途:自家用
認可出力(設備容量):9.5MW(10MW)
運転開始:1974
見学施設:?
(写真1986.7.16)

実況(1986):あまり記憶にない‥‥金属精錬に使っているという話でした。

文献
坂井定倫(1994)大沼発電所の20年を振り返って。地熱エネルギー, 19巻, 3号, p.243-253

近場の見所:澄川温泉後生掛自然研究路玉川自然研究路マインランド尾去沢


松川地熱発電所

松川発電所

所在地:岩手県八幡平市・松川温泉
事業者:東北水力地熱
用途:一般電力
認可出力(設備容量):23.5MW(23.5MW)
運転開始:1966
見学施設:PR館有
(写真1995.10.3)

実況(1986, 1995):1986年には見学自由ながらPR施設はなかったが,1995年には自家発電所とは思えないほど立派なログハウス風のPR館ができていた。展示もさることながら土産物の品揃えが良い。いちばん傑作なのは「地底の石」という商品名(?)のボーリングの掘り屑で,星砂と同様にきれいな小瓶に入れて売っている。我々にとっては全然めずらしくないが,確かに一般人には見る機会もないものである。そのほか地熱発電所Tシャツとか,地熱染めのハンカチなど。グッズのコーナーも見てね。

文献
赤沢司史・村松容一(1988)松川地熱地帯における地下フラクチャー分布。日本地熱学会誌, 10巻, 4号, p.359-371
花野峰行・小田中浩一・大山孝(1989)松川地熱発電所の運転と貯留層管理。地熱, 26巻, 2号, p.67-91

近場の見所:八幡平火山,焼走り溶岩流(岩手山)


葛根田地熱発電所

所在地:岩手県雫石町・滝ノ上温泉そば
事業者:東北電力東北水力地熱
用途:一般電力
認可出力(設備容量):1号機50MW(50MW),2号機30MW(30MW)
運転開始:1号機1978,2号機1996
見学施設:PR室有

実況(1986):2号機のできる前しか見ていない。現在はPR室など拡充されているはずなので,見てから報告したい。

文献
金沢幸夫・佐藤浩・明野利寛(1996)葛根田地熱発電所第2号機−調査から運開まで−。地熱エネルギー, 21巻, 3号, p.244-255
鷹嘴守彦(1999)葛根田2号機の開発経過と現況。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.211-224

近場の見所:鳥越の滝,葛根田の大岩屋,岩手山,小岩井農場


上の岱地熱発電所

上の岱発電所

所在地:秋田県湯沢市・泥湯温泉そば
事業者:秋田地熱エネルギー(同和鉱業系)・東北電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):28.8MW(28.8MW)
運転開始:1994
見学施設:PR館有
(写真1995.10.31)

実況(1995):環境にマッチした山小屋風の建物。PR館も充実。ハーフミラーを使った映像展示はよくできていて面白いが,ちと時間が長いのでじっくり見ましょう。

文献
中東策・岡田博(1992)上の岱地熱地帯の探査とその開発。資源地質, 42巻, 234号, p.223-240
二子石正雄(1999)上の岱地熱発電所−探査・開発から現況まで−。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.225-235

近場の見所:川原毛地獄小安大噴湯荒湯(秋の宮)


鬼首地熱発電所

鬼首発電所

所在地:宮城県大崎市・片山地獄
事業者:電源開発
用途:一般電力
認可出力(設備容量):12.5MW(25MW)
運転開始:1975
見学施設:PR室有
(写真1991.8.2)

実況(1986, 1987, 1991):なぜか3回くらい見に行った。山小屋風がはやり出す前の建設なので,白くて四角い建物である。当時としては充実したPR室を持っていたが,1990年代に建設された発電所はPR館に力を入れる所が多かったことに対抗したのか,さらに拡充したらしいがその後は未見。周囲は片山地獄と呼ばれる一面の変質帯で,ところどころ噴気もある。

文献
阿部信・中西繁隆・三島敦夫・藤田吉章(1989)鬼首地熱発電所の運転と貯留層管理。地熱, 26巻, 3号, p.65-191
電源開発株式会社技術開発部地熱開発室(1992)地熱に情熱をそそいだ人々(第7話)鬼首地熱発電所の誕生とその後。地熱エネルギー, 17巻, 4号, p.368-379

近場の見所:鬼首間欠泉


柳津西山地熱発電所

柳津西山発電所

所在地:福島県柳津町・西山温泉そば
事業者:奥会津地熱(三井系)・東北電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):65MW(65MW)
運転開始:1995
見学施設:PR館有
(写真1995.11.18)

実況(1995, 1997, 2000):地熱発電所において山小屋風の外観がはやっている昨今,ここの赤タイル貼りの建物は「玉姫殿」と呼ばれているそうである。単機では日本最大出力を誇る。PR館の充実ぶりは有名。トリコーンビットを自分で回してみる装置はよくできていて面白い(地調でも参考にさせていただきました)。地下にもぐって行くという趣向の映像展示はちょっと目が回る。ちなみにこのビデオで使われている露頭や地形のスチール写真は水垣撮影です。火山性ガスが多いことによる悪臭問題が見事に分析・解決されたことは特筆に値する。発電用蒸気や周辺の温泉の温度が高いにもかかわらず,噴気などの地表徴候が弱くてあまり見所がないことも特徴である。近くの川原を掘るとどこでも温泉が出るそうだが,ちょっと掘りにくいと思うよ。

文献
新田富也・塚越重明・安達正畝・瀬尾邦夫(1995)福島県・奥会津地熱地帯の探査とその開発。資源地質, 45巻, 4号, p.201-212
高橋一男・山野辺宏・昆昭一・板慎一(1998)柳津西山地熱発電所硫化水素除去装置の建設について。地熱, 35巻, 1号, p.53-69
佐伯和宏(1999)柳津西山地熱発電所の探査・開発経緯と蒸気供給の現状。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.237-247

近場の見所:柳津虚空蔵尊


八丈島地熱発電所

所在地:東京都八丈町
事業者:東京電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):3.3MW(3.3MW)
運転開始:1999
見学施設:PR館有

実況:未見

文献
松山一夫・成田伸哉・真島俊昭(1999)八丈島における地熱探査とそのローカルエネルギーとしての開発。資源地質, 49巻, 1号, p.1-14
真島俊昭(1999)八丈島における地熱開発の現況。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.249-256

杉乃井地熱発電所

杉の井発電所

所在地:大分県別府市観海寺温泉
事業者:杉乃井ホテル
用途:自家用
認可出力(設備容量):1.9MW(1.9MW)
運転開始:1981
見学施設:なし
(写真1988.11.14)

実況(1988, 2000):ホテルの裏山にある。特に見学施設はないが,杉乃井ホテルに申し込めば見学させてくれる(と思う)。使用済み温水の冷却を兼ねて噴水が作られており,これは申し込まなくても散歩がてら見物できる。その他に普通の冷却塔もある。運転開始以来これといったトラブルもなく,順調に生産・発電を続けているというのは大したものである。しかし夏休みなどオンシーズンには電力が不足して九電から買っているという。超大型豪華ホテルのほかにもいろいろなレジャー施設を併設しているとはいえ,八丈島のベース電力より多く消費するってのはちょっとバブリーか。(追記:2006年に設備更新し、1.9MWに減らしたそうである。)

文献
吉井守正・明野利寛(2000)大分県,別府市杉乃井ホテルと九重町にみる地熱利用。地熱エネルギー, 25巻, 2号, p.142-145, fr.1-4

近場の見所:別府地獄めぐり明礬温泉


滝上地熱発電所

滝上発電所

所在地:大分県九重町
事業者:出光大分地熱・九州電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):25MW(25MW)
運転開始:1996
見学施設:?
(写真2000.10.28)

実況(2000):外から見ただけ。入れなかったのは土曜日だったせいか?(しかも土砂降り。) 敷地外の説明板などはわりと充実。

文献
竹中照雄・後藤弘樹・山本芳樹・古谷茂継(1995)大分県滝上地区における地熱探査とその開発。資源地質, 45巻, 6号, p.361-376
本松利郎(1999)滝上地域の開発経緯と現況。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.267-275

近場の見所:由布院温泉


大岳地熱発電所

大岳発電所

所在地:大分県九重町・大岳温泉
事業者:九州電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):12.5MW(13MW)
運転開始:1967
見学施設:なし
(写真1990.12.12)

実況(1990):外から見ただけ。すぐそばの八丁原で大々的に公開しているためか,ここはあまり公開されないが,上の道路からちょうど見下ろせる。

文献:八丁原を参照


八丁原地熱発電所

八丁原発電所

所在地:大分県九重町・大岳温泉そば
事業者:九州電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):1号機55MW(55MW),2号機55MW(55MW)
運転開始:1号機1977,2号機1990
見学施設:PR館有
(写真1990.12.12)

実況(1988, 90):2機合計で日本最大出力を誇る地熱発電所。PR館もかなり立派で積極的に宣伝している。大画面(たしか3面?)で見応えのあるビデオをやってくれるが,半分以上が原発の宣伝だった。山に囲まれているので,どれかに登れば全体がよく見えて,いい写真が撮れる。

文献
石井国義・江島康彦(1990)八丁原発電所2号機の開発について。地熱エネルギー, 15巻, 4号, p.37-55
春口健次(1998)大岳発電所30年及び八丁原発電所20年のあゆみ。地熱, 35巻, 1号, p.70-75
浅井明久(1999)八丁原発電所の開発経過と現況。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.257-265

近場の見所:小松地獄,九重山


九重地熱発電所

九重観光ホテル

所在地:大分県九重町・牧ノ戸温泉
事業者:九重観光ホテル
用途:自家用
認可出力(設備容量):990kW(2MW)
運転開始:1998
見学施設:たぶんなし
(写真1990.12.14)

実況(1990):このホテルに泊まったのは発電所計画前だが,裏の温泉井から景気よく蒸気が出ていたので(写真),自家発電くらいできるんじゃないかと思っていたら,やっぱりである.93年には発電実験をしたという.自家発電どころか長者原一帯のホテルやビジターセンターなどの電力をまかなえるくらいの蒸気量があるらしいが,国立公園内であるため売電はきびしいということで自家発電のみ.もったいない.ホテルもおすすめ(宿のぺーじ参照).

近場の見所:九重山,長者原自然研究路,小松地獄八丁原地熱発電所


岳の湯地熱発電所

所在地:熊本県小国町・岳の湯温泉そば
事業者:廣瀬商事
用途:自家用
認可出力(設備容量):50kW(200kW)
運転開始:1991
見学施設:なし

実況(1991):外から見ただけ。非常に小規模な自家発電だが,小規模地熱発電の好例である。最近あまり稼働していない模様。

近場の見所:岳の湯


大霧地熱発電所

所在地:鹿児島県霧島市
事業者:日鉄鹿児島地熱・九州電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):30MW(30MW)
運転開始:1996
見学施設:?

実況:未見

文献
御幸和則・児玉牧夫・信本亮一(1995)霧島地熱地域大霧開発地区の地熱調査とその開発。資源地質, 45巻, 6号, p.377-390
岡範彦・信本亮一(1996)大霧発電所の建設−調査から運開まで−。地熱エネルギー, 21巻, 4号, p.333-341

近場の見所:霧島火山


霧島国際ホテル地熱発電所

所在地:鹿児島県霧島市
事業者:大和紡観光
用途:自家用
認可出力(設備容量):220kW(220kW)バイナリー
運転開始:蒸気発電1984、バイナリー発電2006
見学施設:?

実況:未見。1984年から2003年までは100kWの蒸気発電を行っていたが、2006年から実証試験を兼ねたバイナリー発電を行っている。

文献
大窪三郎(1984)霧島国際ホテルにおける地熱エネルギーの利用について。地熱エネルギー, 9巻, 3号, p.59-65

近場の見所:霧島火山


山川地熱発電所

所在地:鹿児島県指宿市
事業者:九州電力
用途:一般電力
認可出力(設備容量):30MW(30MW)
運転開始:1995
見学施設:有

実況:未見

文献
吉村雄三郎・伊藤寿恒(1994)鹿児島県山川町伏目地区における地熱探査とその開発。資源地質, 44巻, 5号, p.315-330
佐久間弘二(1999)山川発電所の開発経緯と今後の課題。日本地熱学会誌, 21巻, 3号, p.291-297

近場の見所:開聞岳,池田湖,指宿海岸


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