図書室かも そーじゃないかも 分室

数は多くないけど一般向け解説書・小説・まんが蔵書を紹介します。地質学に馴染みのない方は小説がとっつきやすいかもでおすすめ。

産総研つくばセンター内に限り貸し出し可。それ以外の方はお近くの書店か,ネット通販などでどーぞ。ここの蔵書も一部はネット通販でゲットしました。


解説書

一般向けの解説書は意外とたくさん出ています。新書版が安くてお手軽でよいでしょう。特に科学専門シリーズの講談社ブルーバックスには地球科学関係も多数あります。地震や噴火,地盤などが気になるんだけどわかんないよ〜という人は,とにかく本屋さんに行ってみましょう(たまにはアヤシゲな本もあるけどね)。ここにご紹介するのはほんの一例です。

◆火山はすごい  鎌田浩毅(PHP新書、2002)

この本は結構あちこちで書評されたけど、どれも例外なくタイトルに言及しているよ(笑)。まーね、ワシもタイトルに言及しようかなと思って結局言及してるからね。目を引くという点において秀逸なタイトルであると言えよう。基本的には、予備知識のほとんど無い一般の人がわかりやすく面白いように、というスタンスでブンガク的に書かれているが、同業者(私はエセです)が読むと著者の個人的な体験談に「あ〜あ〜、そーだよなぁ」などと思い当たることがあったりしてまた別の楽しみ方ができる。知人だと書いてないことまで知ってたりするので始末が悪いですね。九州→伊豆大島ワープ事件が書いてないじゃん。書いてあったら「カマタはすごい」と言ってあげるのにね。あ、ワシ、すごくないし(斎藤美奈子調)。

◆Q&A火山噴火  日本火山学会(講談社ブルーバックス)

 (紹介は準備中)

◆大地震の前兆現象  弘原海清(KAWADE夢新書)

 (紹介は準備中)

◆地震の前、なぜ動物は騒ぐのか  池谷元伺(NHKブックス、1998)

 (紹介は準備中)

◆地震は妖怪 騙された学者たち  島村英紀(講談社+α新書)

 (紹介は準備中)

◆地震考古学  寒川旭(中公新書)

 (紹介は準備中)

◆大地の動きをさぐる  杉村新(岩波科学の本)

 (紹介は準備中)

◆富士山はなぜそこにあるのか  貝塚爽平(丸善)

 (紹介は準備中)

◆地盤の科学  土木学会関西支部(講談社ブルーバックス)

 (紹介は準備中)

◆生物は重力が進化させた  西原克成(講談社ブルーバックス)

 (紹介は準備中)

◆ワニと龍 恐竜になれなかった動物の話  青木良輔(平凡社新書)

 (紹介は準備中)


小説

小説はジュール・ベルヌの「地底旅行」あたりが草分けでしょーか? 「日本沈没」を読んだ方は多いと思いますが,まったくのフィクションであるところがちょっと物足りないか(「日本沈没」を読んで地質屋になった人が実在するけど)。ここでご紹介するのは史実に基づいた小説で,人物や発言は脚色または創作されているが,事実関係はほんとーにほんとーです。「プロジェクトX」のノリで読むとよいでしょう。なにぶん昔のことなので,地質学が役に立ったというより知識や技術が足りなくてえらい目に遭ってしまった話なんですが,だから研究する必要があるとも言えましょう。現在では遙かに研究が進んでいるし通信・交通手段も発達しているので,こんなことはありません。

◆火の島  新田次郎(新潮文庫,1976/新潮社,1966) プロジェクトX度:X

1965年,火山島である鳥島で,地震や火山性微動が頻発する。噴火するのかしないのか? それまで何度も噴火してきたため一般島民はいないが,気象観測所員と工事作業員の避難は間に合うのか。キーをたたく無線通信がまどろっこしい。電話さえ無い状況で中央官庁はなかなか事態を把握できない(いや電話があっても‥‥?)。1986年の伊豆大島全島避難はすばやかったと言えよう。

◆闇を裂く道  吉村昭(文春文庫,1990/文芸春秋社,1987) プロジェクトX度:XX

東海道線の丹那トンネル掘削記録。登場人物もほぼ実在のとおりという。丹那トンネルは伊豆半島の付け根にある丹那盆地の真下を通っており,長さは約7.8km。1918年起工,1934年完成で16年を要した難工事であった。その間,大量の出水と2度の大地震(関東大震災と北伊豆地震)に見舞われ,特に北伊豆地震では震源断層が掘削中のトンネルをぶった切るという前代未聞の現象がみられた。実際にトンネルを掘ってみるまで,丹那盆地は古い噴火口であるという説があったことが,当時の地質学の実状を示している。しかし1989年から1990年にかけて丹那盆地で調査ボーリングをした時にもスムーズには掘れなかったから,現在の技術をもってしても侮れない地質状況なのだ。トンネルを通るときは,トンネル掘りのこともちょっと考えてみよう。

追記:小説でない工事記録のコピーが手元にあります(入手経路は鉄道総研→金原→水垣).トンネルの地質や設計図のほか,事故で犠牲者が出た時は「痛恨の極みである」など生々しい記述.出水量を「1個,2個」と数えるのは意外だが実用的なのであろう.所内で読みたい方は水垣までお知らせください.

◆高熱隧道  吉村昭(新潮文庫,1975/新潮社,1967) プロジェクトX度:XXX

黒部川の黒部第三発電所とその発電用の仙人谷ダムを建設するためのトンネル掘削記録。1936年起工,1940年完成。こちらは登場人物は創作。トンネルの長さは1kmもないが,険しい峡谷の上流部で近づくことさえ困難な上,噴出するのは冷たい水ではなく熱湯,という想像を絶する難工事であった。岩盤温度は最も高いところで160℃を超え,発破用のダイナマイトが自然発火する。事前の地質調査で温泉があることはわかっていたが,これほどの高温は予想されなかった。現在では世界的にも稀な高温の岩盤として知られている。しかしどれほど犠牲者が出ようとも,戦争に突入しようとしている国家にとって電力は不可欠であり,国家の方針として工事は続行される。工事は冬の間も休むことなく続けられるが,敵は高温の岩盤だけではなかった。ここで発生する「泡なだれ」というのは現象的には雲仙で発生した火砕流と似たもので,温度こそ低いもののとんでもない速度と破壊力をもつ。このトンネルは現在も黒部ダム・発電所への交通として使用されており,関係者以外は入れないが,今でも高温を保っている。

追記1:元祖プロジェクトXで,黒部第四ダム工事の時に初めて冬季の突貫工事をしたとか言ってたけど,その前にこの第三ダム工事の時に冬季突貫工事やってんだよね.ダム工事そのものじゃなくダム用トンネル工事だけど.

追記2:2002年の紅白歌合戦で中島みゆきがいたのはここではない模様.

追記3:特命リサーチ200Xで油田火災の現場に近づく人に水をジャバジャバかけて冷やすってのがあったけど,それって高熱隧道でやってたのと全く同じだなあ.これも,凄まじい火災がバシッと消されるのに驚きましたね.

◆死都日本

読んでません! なんでかとゆーに,(1)まるっきりのフィクションはあまり好みでない(フィクションだったら最近は全般にマンガの方がレベルが高いような気が),(2)ベストセラーは読まないとゆーアマノジャクである(「火山はすごい」はあんなに売れると思わなかったもーん).しかしそろそろ読まんといかんかなあ‥‥ぎゃ!そーいえばカルデラで学位を取ったのであった,火山屋を自称してはいないが,やはり読まんとマズイか.あ,この本は史実じゃないけど,史実になる可能性はある‥‥らしい.しかしやはり,「高熱隧道」なんか読んでしまうと,フィクションは事実を超えられない,と思ってしまうのだなあ.「事実である」ということの重さ.自然界は人間の想像力を遙かに超えている.


まんが

◆夢みる惑星  佐藤史生(小学館) <大まじめ

知る人ぞ知る地質学まんが。舞台は2億年前の地球なんだが,なぜか人間がいる。人間の他には「竜」が数種類と,ソテツのような植物しか出てこないので,時代考証はほぼ正しい。でもそれ以外の動植物を考証するのがめんどーだったのか,生き物の気配のない砂漠や岩山が多いのは気候考証としてはどーでしょーか。大陸の形もほぼ正しいけど,縮尺的にはどーかな。ジガからアスカンタまで徒歩20日では着かない距離のような気がする。「変形断層」というのはトランスフォーム断層のことだろーか。物語は,観測によって大地震が予知されたのだが,大都市の人々をどーやって避難させればいいんだろーか?という内容で,どいつもこいつも殺しても死なないようなしぶといキャラが頑張ってくれます。なぜ人間がいるのかは最後の方になってわかるが,わりと月並みなオチ。全4巻。

◆最終戦争(ハルマゲドン)シリーズ  山田ミネコ(各社) <荒唐無稽

最終戦争に使われた最終兵器が核兵器とかじゃなく「地殻変動兵器」なのだ! なんじゃそれ〜。あったらこわいけど。もちろん原理は不明。いちおう地球がなくなっちゃったりはしてないが,ものが地殻変動兵器だけに陸地はほとんど原型をとどめていないのである。しかし本筋はエイリアンとの戦いなので,設定以外は全然地質学的ではない。物語的には,本編よりも外伝的なパトロール・シリーズに秀作あり。シリーズ多数既刊だが未完。

追記:最近見たコラムかなんかに、このシリーズを掲載する雑誌が次々と休刊するのは、タイトルが祟ってるんぢゃ? って書いてあったよ。

◆浸透圧2  坂田靖子(朝日ソノラマ) <シャレです

地面がプレートの集まりでできていて,そのプレートが夜行性なんである。なるほど! プレートを昼間いくら見張ってても動かんわけだ。夜になるとプレート(といっても直径1mくらいの)が突然ひゅんっ!と飛び回っちゃったりするんである。これってプレートテクトニクス? 飛び回るプレートは次の「浸透圧3」まで活躍する。前作「浸透圧1」でも,思わぬ所に磁極があったりする。そう,これは異世界のおはなしです。わけのわからん生き物がたくさん出てきて楽しい。3編とも「闇夜の本2」所収。


日本語トップページにカエル