博多湾周辺で発生している微小地震のメカニズム解と応力場



博多湾周辺の石堂-海の中道断層近傍で微小地震が発生している.ここでは,1)この地震活動の原因,2) 石堂-海の中道断層にかかる応力場を推定するための解析を行った.



図1 博多湾周辺で発生した地震のメカニズム解(下半球投影).灰色の点は一元化震源を示す.メカニズム解はP波初動の押し引きに加えてP波とSH波の振幅値を使い,4月末までに発生したM2以上の地震50個の解を決定した.主に横ずれ型のメカニズム解を持つ.





図2 メカニズム解の走向と傾斜角の頻度分布.北西ー南東方向の節面(上)と北東ー南西方向の節面(下).本震の走向(赤)と博多湾内の石堂ー海の中道断層の走向(緑)を点線で示す.博多湾で発生している地震の走向は博多湾内の石堂ー海の中道断層の走向と一致しておらず,半時計回りに約30°回転している.



図3 本震の影響による深さ5km断面でのΔCFF.本震は長さ20km,幅15km,すべり量1m,断層の上端を深さ1kmに設定した.博多湾内の石堂ー海の中道断層と同じ走向の左横ずれ断層にかかる応力変化では,博多湾内の活動を説明できない(a).一方,微小地震のメカニズム解から期待される走向を持った左横ずれ断層(b)や右横ずれ断層(c)に対しては,博多湾内でのΔCFFが0.1MPa以上になり,活動の活発化を説明できる.



図4 応力テンソルインバージョン(Michael, 1984)による主応力の95%信頼限界.S1,S2,S3はそれぞれ最大主応力,中間主応力,最小主応力を表す.(a) 博多湾周辺の主応力分布. (b)防災科学技術研究所によるモーメントテンソル解から推定した震源域での主応力分布.(c) 博多湾周辺の最大主応力と博多湾内の石堂ー海の中道断層の走向との間の角度は約68°である.本震の走向と最大主応力の角度は約46°である.


(今西和俊,桑原保人)
2005/5/18 更新


謝辞:解析には九州大学、気象庁、防災科学技術研究所の波形データを使用させていただきました.震源は気象庁の一元化震源を使いました.ΔCFFの計算には Coulomb2.6を使用させていただきました.