研究概要



総論

空間的次元が低いような低次元物質は,次元が低いことにともなっ
て特異な量子物性が発現する宝庫である.そのような量子物性や集
団励起現象等がいかに実現するか,その機構を理論的に解明するこ
とを目的として,電子状態・磁性・光物性・電気伝導物性・化学物
理などに関する,物性理論研究を行っている.


各論

○炭素からなる蜂の巣格子が円筒状をなしたカーボンナノチューブ
は,ナノメートルスケールの1次元電気伝導体として注目されてい
る.円筒の巻き方に寄って,金属的になったり絶縁体になったりす
る.螺旋度を持った人工物質としても興味深い.カーボンナノチュ
ーブにおける電子状態と光物性の関係,電気伝導現象の機構解明等
を進めている.

○ナノグラファイトは,ナノメートルサイズの空間的差し渡しをも
った積層グラファイト系である.バルクなグラファイトとは異なっ
て反応性に富む.グラファイト平面が有限のサイズを持つ効果で,
試料に端があることに起因した電子状態に由来すると考えられる,
新奇な磁性現象の機構解明等を行っている.磁場効果や輸送現象に
関しても研究を展開する.

○フラクタル形状をなした,アンテナ超分子・デンドリマーは,光
を捕獲し励起子の形でエネルギーを伝搬させる機能性が注目されて
いる.ジフェニルアセチレンを骨格にもつデンドリマー超分子を対
象にして,光励起状態を特徴づけるような理論的な模型を提案し,
光を捕獲して作られた励起子がどのように分子鎖を伝搬していくの
か,そのダイナミクスを調べている.

○フラーレン系とは,中が空洞であり表面に炭素原子が配列した,
炭素クラスターである.中でも,C60はもっとも生成量が多く,
炭素原子が60個からなり,サッカーボールの形をした非常に対称
性の高い分子構造をもつ.C60や炭素数のより多い高次フラーレ
ンを対象にして,分子の高い対称性が絡んだ電子状態が光励起状態
にどのように関わるのか,その機構を理論的に研究している.また,
非線型光学応答特性を実験と対比させながら調べている.

○電気を運ぶ高分子薄膜として知られている導電性高分子や,発光
特性が注目されている電場発光性高分子を対象にして,それらにお
ける電気伝導機構を解明する.また,光励起状態と励起子ダイナミ
クス・非線型光学応答現象に関して理論的に研究している.