「岩手火山地質図  

伊藤順一・土井宣夫(2005)

火 山地質図 no.13, 地質調査総合センター発行,8p (1:25,000地質図)
 
 産総研 地質調査総合センター(旧地質調査所)では,日本の主要な活火山を対象として火山地質図を発行している.火山地質図は,地質学的な研究成果だけでなく,そ れぞれの火山における重要な現象(火山ガス災害や地震活動),近年の火山活動,防災上の指針等をまとめたもので,2003年度までに11火山について出版 されている.

 「岩手火山地質図」は,1)岩手火山は歴史時代も活発な噴火活動を繰り返してきた日本を代表する成層火山の1つであること,2)人口約30万人の盛岡市 近傍に位置することなどから出版が計画された.

 本地質図作成のための調査の開始は1998年3月からの火山性地震の活発化の時期と重なったため,これに対する緊急研究として実施した山麓部でのトレン チ調査や山頂部での調査結果を盛り込み,最近数千年間の噴火活動史やその噴出物の分布を示した. 

 1998年以降の活動については,活動推移の概要を解説文にまとめたほか,1999年以降岩手火山西部で表面現象として顕在化した地熱・噴気地域を示し た.

 1998年以降の火山活動(地震・地殻 変動・地熱活動の活発化)

 1999年3月以降に地熱活動により植生の破壊が顕在化した地域と小断層群を図示.
 岩手火山における最新の溶岩

 1732年(享保十六年12月から十七年正月)に噴出した,焼走り溶岩の分布を図示.
薬師岳山頂部

 薬師岳火山を4つの活動期に細分して図示した.
 10世紀以降,現在にまで続く最新の活動期(薬師岳第四活動期)の噴出物は,左図においてYm[妙高岳スコリア丘], Yu[薬師岳溶結火砕岩], Yk[刈屋スコリア]で示した.
薬師岳火山から流下する溶岩流

 薬師岳火山から流下する溶岩流について,テフラ層序との関係により活動期毎に区分.空中写真判読により,溶岩流の微地形を書き入れた.
 [左図は薬師岳北麓に流下した溶岩流]

 代表的な降下火山灰(マグマ噴火による降下スコリアや,水蒸気爆発噴出物 計5ユニット)の分布を,地質図上に示した.
火山体形成史のまとめ

 地形上および噴出物の岩石学的な特徴から区分される,東岩手火山および西岩手火山の噴火活動が,複数の噴火ステージに区分されること,交互に活動を繰り 返した期間が存在することを示す.

岩手火山における噴火シナリオ・フロー・チャート

 岩手火山における噴火活動は,多様な噴火様式を示し,その活動経過も多様であることを示す.