三宅島2000年8月29日噴火による火砕流堆積物の産状

伊藤順一・星住英夫・川辺禎久・下司信夫・東宮昭彦(2002)
月刊地球,号外 No. 39「活動的火山」,142-149

 三宅島2000年8月29日の噴火では,噴煙が山体斜面をゆっくりと流れ下る現象が確認された.この噴火活動による堆積物の産状を明確にするため,陥没火口近傍域から中腹部において地質調査を実施した.その結果,8月29日噴出物は高温であった証拠は認められなかったが,火砕流堆積物として特徴的な堆積構造が見いだされた.この火砕流は噴出源近傍では比較的高密度であったが,流下すると共に固体粒子密度が減少し,遠方域では側方方向への流速をほとんど失った噴煙から湿った火山灰を降下・堆積させるに至った.

2000年8月29日噴出物.(a)北部中腹に露出する2000年8月29日噴出物.2000年7月14日および8月18日噴出物を覆う.この露頭では最上部は土石流堆積物に覆われる.(b)南西部中腹に露出する2000年8月29日噴出物.最下部のAユニットはこの観察地点には到達していない.写真下部の暗色のユニットが2000年8月18日噴出物である.