高圧液体の粘性計測

産総研
研究者 山脇浩 > 粘性計測
高圧液体の粘性計測

高圧液体の粘性計測

    ・ 水晶振動子による粘性計測
    ・ 高圧下での水晶振動子共振スペクトル測定
    ・ 周波数シフトからの粘度算出(Δf法)


水晶振動子による粘性計測

液体の粘度測定法には、細管式、回転式、振動式、落体式など多くの方法がある。
水晶振動子を使った粘度測定は、単一平板型振動粘度計の一種であり、
得られる測定値が粘度と密度の積であり、粘度と密度が分離できない。

しかし、水晶振動子法には、
  ・小型で圧力セル内に組み込める。
  ・電気的計測であり、迅速に測定出来る。
  ・安価な市販品を入手可能。
などの利点がある。


水晶振動子の等価回路は下図のようになる。
水晶振動子の等価回路

       第46回高圧討論会発表資料より抜粋


横軸を掃引周波数としたときのスペクトルが下図のようになる。
縦軸:コンダクタンスにとるとローレンツ関数のピークとなる。(黄色の線)
インピーダンス・スペクトル         

       第46回高圧討論会発表資料より抜粋


ピーク周波数のシフトと粘度の関係は下図のようになる。
    Sauerberyの式から、液体粘度が剪断速度によらず一定の仮定のもと、
    Kanazawa則が導出される。

文献: K. K. Kanazawa, and J. G. Gordon II, Anal. Chim. Acta, 175 (1985), 99.


Sauerberyの式-Kanazawa則

                        第57回高圧討論会発表資料より抜粋



高圧下での水晶振動子共振スペクトル測定

高圧力下で粘度を測るための圧力発生装置
圧力発生装置

                        第57回高圧討論会発表資料より抜粋


試料部

                        第57回高圧討論会発表資料より抜粋







周波数シフトからの粘度算出(Δf法)


シフト成分の分離
                        第38回熱物性シンポジウム発表資料より抜粋

1. 複数の参照液体を用いて、(ηρ)1/2と周波数シフトの関係式を実験的に求める。
   Kanazawa則により直線関係の式が得られる。
2. 参照液体を用いて、実験的に水晶振動子自体の圧縮による周波数シフト成分Δfpを求める。
3. 目的試料を測定し、Δfvを求める。  Δfv = Δf - Δfp
4. (ηρ)1/2との関係式を用いて、Δfvから(ηρ)1/2を算出する。


この方法を使用した例が
H. Yamawaki, Int J Thermophys (2017) 38:64 DOI:10.1007/s10765-017-2198-6