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(1) ランタン系銅酸化物超伝導体におけるストライプ秩序の研究
(2) 梯子型超伝導体Sr14-xCaxCu24O41の電気的、磁気的性質
(3) 銅酸化物超伝導体のナノスケール電子状態制御
(4) 新光学材料結晶の育成
(1) ランタン系銅酸化物超伝導体におけるストライプ秩序の研究
化学式La2-xSrxCuO4で表記される銅酸化物超伝導体では、中性子散乱の結果から、超伝導相と競合・共存するストライプ相の存在が示唆されていました。本研究では、単結晶試料をTSFZ法をを用いて合成し、ホール係数を測定することにより、この系において実際に伝導電子が一次元的に運動していることを確認しました。本研究は、東京大学大学院工学系研究科超伝導工学専攻内田研究室在籍時に野田琢也氏の卒業論文研究として行われたもので、研究成果は、 Science 286, 265 (1999)、Science286, 268 (1999)(スタンフォード大学Shen groupとの共同研究)等で公表されました。

ランタン系銅酸化物超伝導体におけるストライプ秩序のパターンと、中性子散乱で観測されるブラッグスポット

Ndを置換したランタン系銅酸化物超伝導体における電気伝導度テンソルの温度依存性
ストライプ秩序が形成されると電気伝導度が一次元的になる。
(2) 梯子型超伝導体Sr14-xCaxCu24O41の電気的、磁気的性質
Sr14-xCaxCu24O41は、銅酸化物超伝導体で唯一、銅元素と酸素元素から構成されるはしご型の結晶構造ユニットを有します。本研究は、本物質の高温超伝導体としての特殊性を明らかにするとともに、銅酸化物における高温超伝導機構の普遍性を探ることを目的として開始しました。高酸素雰囲気下でTSFZ法を行うことにより、広い組成範囲において結晶成長が可能であることが明らかとなり、得られた結晶を用いた物性測定を行いました。その結果、本系においてもその特異な磁気的性質(スピンギャップ)が超伝導出現に本質的な役割を果たしていること、梯子型超伝導体では特に電荷秩序相が低温で安定化するため超伝導が出現しにくくなっていることが明らかになりました。本研究は、東京大学内田研究室在籍時に開始し、Europhysics Lett., 58, 758 (2002)等において発表しました。研究成果は、本山直樹氏が学位論文(2000年3月)として纏めました。また、上原正智氏、本山直樹氏、松田昌昭氏、秋光純氏との共著で書いたレビュー論文(in Frontiers in Magnetic Materials,
A.V. Narlikar (ed.)) (pdf file)も参考になると思います。

Sr14-xCaxCu24O41の結晶構造 (a) 一次元銅−酸素鎖(b)と2本脚梯子(c)が重なった構造を持っています。
銅酸化物高温超伝導体における電子状態の不均一性を、精密に組成制御された単結晶育成と高分解能STMによる観測を組み合わせることにより検討しています。本研究は、東京大学内田研究室、コーネル大学J. C. Davis groupとの共同で行われました。銅イオンを微量の亜鉛イオンで置換した単結晶試料を用いた測定では、銅−酸素平面に置換された不純物イオン周りの局所的電子状態(共鳴状態)の直接観測に初めて成功しました(Nature 403,746 (2000))。更に、Bi系高温超伝導体の超伝導秩序変数が、数ナノメートルで空間変調していることが明らかになりました。(Nature 415,412 (2002))現在、得られた知見を試料合成にフィードバックさせることにより、銅酸化物超伝導体の臨界温度の上昇を試みています。

ビスマス系銅酸化物超伝導体にドープされたZn不純物の電子状態
産総研では、岡邦彦主任研究員と一緒に新規光学材料の育成を行っています。下の写真は、アルミナ(Al2O3)に、発光中心として様々な遷移金属イオンをドープして単結晶育成をおこなったものです。現在利用法を考慮中です。
