カルデラ内の地形スケッチ

ヘリコプター観測および地上調査に基づく,2002年9月現在の2000年陥没火口内の地形区分を図に示す.地形名称は仮称.

観測の概要および火山活動の現況については, 産業技術総合研究所 地質調査総合センターの三宅島噴火調査のページ
を参照されたい.

陥没カルデラの基本的な構造は,2000年9月以降ほとんど変化していない.カルデラは比高400−450mの急峻な崩壊カルデラ壁で囲まれており,その中央部にほぼ平坦なカルデラ床がある.カルデラ床の標高は約250m程度である.カルデラ壁の裾部には崩壊堆積物からなる崖錘が発達している.崖錘の発達はカルデラ壁の局所的な崩壊に支配されており,2002年現在,比較的大型の崖錘はカルデラ北北東側のスオウ穴の直下と,南西側に発達している.カルデラ壁東側の崖錘はほとんど成長を停止しており,表面には深いガリーが発達している.カルデラ床の底部はカルデラ壁からの崩壊堆積物やガリーによる二次的な侵食による堆積物に覆われている.2001年3月ごろ南東側カルデラ壁で発生したやや大規模な崩壊による岩屑流堆積物のローブがカルデラ床中央部までのびている.2001年12月初めに発生した北側カルデラ壁中部の崩壊堆積物がカルデラ壁北部に分布している.カルデラ床には複数の水溜りが認められ,その水位は降水によって増減している.カルデラ床北西部には,2000年秋に出現した比高20−30mの「隆起マウンド」がある.
カルデラ南部のカルデラ壁の直下には,長径約400m,短径約250mの楕円形の火口が存在し,「主火口」と呼ばれている.主火口は2000年8月10日の噴火時に開口し,その後9月まで繰り返されたマグマ水蒸気噴火によって成長した.二酸化硫黄を含む火山ガスの大部分は主火口から放出されている.主火口の周辺には,2000年8月の噴出物からなる最大高さ約200mの火砕丘が発達している.主火口は二重構造になっていて,主火口の南側には竪穴状の火孔が存在する.竪穴火口の直径は200m程度で,深さは100m以上あるものと思われる.北側の火口との間には,竪穴火口を取り巻く低い火砕丘が認められる.北側の主火口底は北に向かって傾斜し,ほぼその全面が噴気地帯になっていて,硫黄に覆われている.北側主火口の火口底には,勢いよく火山ガスを噴出する近接した3つの噴気孔が存在する.この噴気孔はそれぞれ浅いすり鉢状をしており,その中心部から噴気が噴出している.噴気孔周辺には高温のため硫黄の付着が見られない.
主火口からその北西側にかけてのカルデラ壁基部には,噴気孔群が並んでいる.噴気は主火口に近いほど活発である.火砕丘に発達したガリー内にも噴気地帯が存在する.それ以外のカルデラ床には噴気は認められない.




作成:下司信夫 (産業技術総合研究所・地球科学情報研究部門)
国土地理院作成 平成12年(2000年)三宅島噴火地形図を基に作成した.


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