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4.3 ディスプレイ

VRシステムを構築するディスプレイ・システムとしては、HMDが最も一 般的であるが、広い視野を確保することが難しいという弱点がある。 人間の視野角は周辺視を含めると水平で200度、垂直で170度あるといわれてい るが[17]、これらの周辺視をカバーするようなHMDを製作することは、現在の技術水準では難しい。 作業性を無視すれば、より広角なレンズを用いることにより、 画像を歪ませて広視野を確保すること も可能ではあるが、作業性を重視し、作業環境に操縦者がいた場合に見えるは ずの画像を提示することを目指すテレイグジスタンス [72][73]の場合、広い視野を確保することは難しい。 また、装着が煩わしく、長時間装着していると多くの人間にとって不快であるという欠点もある。 そこで、没入型ディスプレイの研究が進められている [8] [9][36][25][37]。 ただし、 没入型ディスプレイをテレイグジスタンス方式の操縦システム に用いる場合、操作者の身体やマスター装置によりスクリーン画像は隠蔽されてしまい、 対象に接近しての作業が非常に困難になるという問題点がある。 この弱点は、HMDを併用するか、マスター装置並びに、操縦者の衣服・手袋に再帰性反 射塗料を塗り、ヘッド・マウンテッド・プロジェクターを用いて隠された画像を投影 する[32][33]ことにより部分的に回避可能と予測される が、さらなる研究・開発が必要であろう。

Eimei Oyama 2001-11-10