水分と湿度
「水分」は、気体・液体・固体を問わず、物質に含まれる水(水蒸気・水・氷)やその量・割合を表す用語です。一方「湿度」は、気体(JISでは空気としている)に含まれる水蒸気やその量・割合を意味します。従って、「水分」は「湿度」を含みます。
用語「微量水分」
水の量が極めて少ない場合は「微量水分」と言う用語が、気体に対しても使われています。極めて湿度の低い状態のことですが、「極低湿度」などとは呼ばないようです。
明確な定義は特にありませんが、おおむね霜点(そうてん)で-75 ℃、あるいは物質量分率で1 μmol/mol (ppm)近辺を境として、水蒸気量の多い領域を「低湿度」、少ない領域を「微量水分」と呼んでいます。霜点と物質量分率については、次に説明します。
気体中の微量水分の表し方
気体中の微量水分を表す方法として、「霜点」と「物質量分率」がよく使われます。ここではこの2つについて説明します。
霜点
図1(a)で示された、25 ℃で飽和している閉鎖系の水蒸気発生槽を考えます。この中には水の他に、1気圧の乾燥気体(窒素)が入っています。25 ℃で飽和している気体は、25 ℃で結露する気体とも言えるので、発生槽内の湿潤気体(=乾燥気体と水蒸気の混合気体)の露点は25 ℃です。図1(b)は-50 ℃まで温度を下げた場合です。(a)同様、飽和しています。この気体の露点は-50 ℃と言ってよいでしょうか?

-50 ℃で飽和した場合、水蒸気は露でなく霜となって現れるので、露点と言うのは少し変かも知れません。そこで(b)では、氷との平衡であることをはっきりと示すために、「霜点」と言う用語を使います。水は氷点以下で液相(過冷却)と固相のどちらの相をとることも可能です。 同じ温度でも、液相と固相とでは蒸気圧(発生する水蒸気量)が違いますので、過冷却水が存在する温度範囲では、露点(液相)と霜点(固相)の区別は大切です。
微量水分領域では水蒸気量が少なく、必ず氷との平衡になりますので、常に霜点と呼ぶべきでしょうが、混乱の可能性がないためか、あまり気にせず露点と呼んでいる場合もあります(本サイトのWelcomeでも、イメージのしやすさを優先して、露点-75 ℃と表現してます)。
物質量分率
物質量分率はモル分率とも言います。物質量がそれぞれnA, nBの物質Aと物質Bの混合物を考えた場合、物質Aの物質量分率xAは次式で与えられます。

この式を図1の状況で考えてみます。 ここでは簡単のため、乾燥気体の水への溶解及び加圧の影響を無視し、さらに水蒸気と乾燥気体を理想気体として取り扱います。nW, nGをそれぞれ水蒸気と乾燥気体の物質量とすると、水蒸気の物質量分率xWは、

で与えられます。温度Tでの水の飽和蒸気圧と乾燥気体の分圧をそれぞれeS(T), pGすると(2)式は、


国際単位系(SI)において、物質量の単位はmolを使いますので、物質量分率のSI(組立)単位はmol/molとなります(無次元)。微量水分領域では値が小さいので、μ(マイクロ:10-6)やn(ナノ:10-9)といった接頭語を使って、μmol/molやnmol/molで表します。SI単位ではありませんが、これらの代わりにppm (=μmol/mol)やppb(=nmol/mol)などもよく使われています。国際単位系についてはこちら。
霜点と物質量分率の関係


この式と(3)式を使って求めた、pG/Pa=101325における霜点と物質量分率の関係を表1に示します。
