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産総研
last updated 2023.9.10
研究紹介

<<研究紹介>>
【セラミックス(金属酸化物等)の「常温結晶化」と「形態制御」】
セラミックス(金属酸化物等)は、古来より陶磁器などに用いられるとともに、現在では、様々な電子機器、光学機器等に用いられ、スマホやパソコン、自動車など様々な製品の中で活躍しています。

これらのセラミックス(金属酸化物等)は、数百℃での高温処理を行うことにより、結晶化させたり、目的に応じた形状へ成型したりしています。

一方、動物や植物の体内では、金属酸化物の微細な構造体が形作られ、利用されています。 動植物の体内での金属酸化物の合成においては、彼らの体の中での合成反応ですので、その多くが、常温、常圧の環境のもと、水溶液中で行われています。動植物の体内では、数百℃での高温処理を必要とせず、金属酸化物の結晶化が実現されているのです。また、目的に沿った、微細な構造体が形作られています。

これらの自然界での営みに学び、環境負荷の小さな、常温、常圧、水溶液中での、金属酸化物の合成を目指しています。また、様々な用途に沿った高い機能、新しい機能を発現させるため、水溶液中での結晶成長を用いた微細構造の制御を目指しています。

高温焼成や有機溶媒が用いられてきたセラミックスの合成において、エネルギー使用が小さく地球環境に優しい「常温、常圧、水溶液」でのセラミックス合成が進展することを願っています。

【ガスセンサ・ニオイセンサの開発】
セラミックス(金属酸化物等)の「常温結晶化」と「形態制御」技術を用いて、様々なセラミックス(金属酸化物等)の構造体を開発しています。 特に、ナノメーターやマイクロメーターサイズの、微細な構造を持った薄膜を開発しています。 また、開発した微細な構造膜を用いて、ガスセンサやニオイセンサの開発を行っています。

我々の呼気にはざまざまなガスが含まれています。また、皮膚からも微量なガスが放出されています。これらの生体ガスは、体の状態が変化することで、含まれるガスの種類や濃度が変化することが知られています。近年では、生体ガス中の成分と、病気やストレスの状態などとの関係も明らかになってきています。そのため、呼気や皮膚からのガスをガスセンサでモニタリングすることにより、病気の兆候をいち早く発見したり、体調やストレス状態を見守ったりすることが強く望まれています。

生体ガス中の各成分は非常に低い濃度であるため、低濃度のガスを検知できる、応答性の高いガスセンサが必要とされています。また、生体ガス中には様々な成分が含まれているため、多くの成分の中から、検知対象とする成分を識別する技術も必要となってきます。

半導体式のガスセンサには、ガス分子と反応する感応膜として、セラミックスが用いられています。セラミックスの感応膜の微細構造や表面構造などを制御することにより、より低濃度のガスが検知できるガスセンサの開発を目指しています。また、多くの成分の中から検知対象とする成分を識別するため、ガス選択性(様々なガスに対する応答性の違い・バランス)の異なる複数のガスセンサを組み合わせたシステムも有効と考えています。

名古屋大学と連携して、大学院生の受け入れも行っています。
【セラミックス(金属酸化物等)の「常温結晶化」と「形態制御」】や【ガスセンサ・ニオイセンサの開発】に興味のあるかたは、ぜひ、お気軽にご連絡ください。

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